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『売上を、減らそう』(佰食屋 中村朱美)ブックレビュー

まず、タイトルのインパクトが強烈なこの本。フェイスブックで大学の友人がレビューしていたので、釣られて内容も見ぬままAmazonで買ってしまった。一日100食しか出さない異例の飲食店、『佰食屋』。なにかのニュースか番組かで、見たことはあった。
・どんなに売れても100食のみ。
・事業拡大に興味なし。
・営業時間3時間半。
・スタンスは「倒産さえしなければいい」。安定的な低空飛行を続ける。

その業務の成り立ちや、経営者の考えに興味があった。読んだ感想としては、『一経営者としての信念がしっかりしていて、貫いている』ということ。すべての経営者が目指す姿ではないだろうし、できるものでもなければ強要するべきものでもない。ただ信念を達成するために大切にしているものが非常にロジカルで、納得感があった。要点は以下。

100食のみ売れば帰れる仕組み=従業員は来客が楽しみになる=接客レベルが上がる=顧客満足度が上がる=口コミが増える=また100食が売れる、の仕組みが成り立つ(P24)
従業員の採用基準は『今いる従業員と合う人』。決まったメニューを同じように売ればいいので特別な熱意やスキルはいらず、誰でもできる業務(P115)
簡単な業務だからこそ繰り返しで誰でもできるようになり、次第に『考える余裕』が生まれ、結果としてロボットにはできない心のこもった仕事ができる(P120)
早く完売した日は早く帰るのではなく普段後回しになっている業務を行うことで質を上げ、いつも通りの時間に帰る(P144)
クレド(行動規範・信条)は『会社は明日の責任を。みんなは今日の責任を』。(P174)
特殊なスキルを必要としない採用基準が従業員の多様性をうみ、結果様々な視点が備わりお客様の多様性にもつながった(P202)
人の集まりが会社(一人でできないことだからこそ会社がある)。だからこそ人間関係を最優先にした経営に(P209)
安定的に低空飛行をすることで絶対黒字になる経営(=穏やかな成長)を(P232)

人の採用基準のところで『限られたメニューを100食売るだけだから特別なスキルはいらない』からの『生まれた余裕が考える余裕につながる』のあたりはとても感銘を受けたなぁ。まさに“正のスパイラル”で採用から質の向上まで繋がっている。
このお店、、、僕も京都までいくことがあったら、僕もぜひお邪魔したいな。

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