石川はるか

役者・作家・照明その他もろもろ。肩書が行方不明な演劇人です。ひまじん企画という表現企画…

石川はるか

役者・作家・照明その他もろもろ。肩書が行方不明な演劇人です。ひまじん企画という表現企画を主宰しています。noteでは主に、小説の投稿を。 BOOTHにて戯曲、短編詩集などの販売も行っています。https://ishikawaharuka.booth.pm/

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愛の商人~魔女~ 第二章:兄妹

 「ねえ、あたし、悪い?」  少女が言った。その視線の先にいる少年は、少女の腕の中にいる小さな身体を見つめている。少年は、少女の問いに答えることができないでいた。「キルは悪くない」その一言が、少年にはどうしても言えなかった。  「お兄ちゃん。」  少女がまた口を開く。固まり始めた血だまりが不快になったのだろう。抱えていた小さな身体をごろりと床に転がして、少女はしきりに腕をこすっていた。  少年は息を詰めた。床に転がった小さな身体と、目が合ったのだ。まだぐにゃりと柔らかい

    • 愛の商人~魔女~ 序章/第一章

      序章 光  真っ白な世界。この色を白と呼ぶことを、僕はついさっきまで知らなかったわけだけど。遠い昔、ひそかに夢見たはずのこの光を、今の僕は呪います。僕に与えられたこの光は、僕の大切な人を奪う光だから。悔しいほどに綺麗なこの色は、大好きな人が消えていくときの色。  周りを見渡す。白い光は次第に晴れて、ついさっき開かれたばかりの瞳は、本当の現実を映しだす。燃え落ちた木々。まだあちこちに残る炎の残骸。それから五感が少しずつ、現実を立体的にしていく。乾いた地面の感触。肉の焦げる臭

      • note始めました

        何人かの知り合いがブログみたいに使っていて、ちょっとだけ興味を持っていたnote。私は、ブログはもっぱらアメブロ派なのですが、同時進行でnoteを始めたのには理由があります。  小説を、書いてみようと思って。初めましての方に自己紹介するならば、私は役者やったり戯曲書いたりしている、しがない演劇人です。最近、戯曲の販売なんぞを始めました。そこで思った。戯曲というのは、完成された舞台作品あってこそのもので、戯曲単体ではなかなか読みにくいのでは?私の戯曲は長台詞や情景描写が多くて

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