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得点を決めた阿部浩之と中村憲剛が意識し続けた「守備のスイッチ」。ボール支配率とボール回収率の両輪が生んだ圧勝劇と、その背景にあったもの。(リーグ第15節・清水エスパルス戦:3-0)

等々力競技場での清水エルパルス戦は3-0で勝利。

勝負を決める3点目のゴールを決めた際、中村憲剛は腕に着けていた喪章を天に掲げました。

「自分が1試合で2点取るなんて、めったにないこと。西城さんが力を貸してくれたのかな」

 試合後、そう話していました。まさに西城秀樹さんに捧げる勝利だったと思います。

試合に関して言えば、阿部浩之のゼロトップが面白いように機能し、攻守に圧倒し続けた前半だったと思います。そして後半は、立ち上がりこそ後手を踏みましたが、したたかに3点目を奪って勝負あり。中断前の大事な一戦を完勝に近い内容で勝ちきりました。非常に良かったと思います。

では、この試合の何が良かったのか。

そこはゲームレビューで詳しく掘り下げていきたいと思います。

 ラインナップはこちらです。

1.「自分は(ボールを)収めるとかフィジカルとかじゃない。スペースをみんなに空けたりとか、味方がやりやすいようにとか、うまい具合にやれるように考えていた」(阿部浩之)、「全体的に流動性を持ってやれたと思う。去年もやっていたし、違和感なくやることができた」(家長昭博)。阿部浩之のゼロトップは、なぜ渋滞が起きずに機能したのか。そこにあった、ある確信。

2.「ウチがよくないときは幅が足りなかったり、深さがなくて、足元ばかりになってスペースがなくなってしまう」(長谷川竜也)。幅と深さを取って、絶妙なアクセントを攻撃に加えていたタツヤ。彼が齋藤学よりも起用されるのには理由がある。

3.「あんまり縦に急ぎ過ぎないようにはしていました。1点取ってからは、追加点とリスク管理のバランスを見ながらやっていた」(大島僚太)。ほぼパーフェクトだった前半。ボールを動かしながらも、あえて縦に急がないことでクリスランのカウンター発動を封じた、中盤のゲームコントロールを読み解く。

4.「ケンゴさんとは、もともと(守備の)イメージが一緒だし、守備のスイッチを入れることができた」(阿部浩之)。「スイッチの入れどころがうまい。言わなくても、(プレッシングを)かけてくれる。むやみやたらに行くんじゃなくて、相手が嫌がるようなプレスをかけてくれる」(奈良竜樹)。得点を決めた阿部浩之と中村憲剛が意識し続けたのは、「守備のスイッチ」。ボール支配率とボール回収率の両輪が生んだ圧勝劇と、その背景にあったものとは?

5.「前も前で、『もっとラインを上げろ』という声も(後ろに)あった。ただ後ろとしてもプレスがかかってない状態で上げるのはリスクが高い。じゃあ、どうするか」(奈良竜樹)。相手のパワーに後手を踏んだ後半の立ち上がり。3点目を取るまでの時間帯に、チーム内で起きていた齟齬と、改善すべき修正案とは?

6.(※5月22日追記)「10年から14年までの4年よりも、14年から18年の4年のほうが自分は良い選手になった・・・・気がする」。あの瞬間から4年。代表発表前日に、37歳の中村憲剛が語ってくれたこと。

以上、5月22日にポイント6として、中村憲剛に関する内容を追加しましたので全部で12000文字のレビューとなっております。ボリュームたっぷりです。ぜひ読んでみてください。

なおプレビューはこちらです。➡️試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第15節・清水エスパルス戦)

では、スタート!

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