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いつもの「違い」を出せずに無得点。必要だったのは「何が起きるかわからない。だからこそ 」という発想だったかもしれない。(リーグ第27節・ヴィッセル神戸戦:0-0)

 ノエビアスタジアム神戸でのヴィッセル神戸戦は0-0でした。

 川崎フロンターレとしては珍しい、1点が遠いゲームとなりました。

ミッドウィークに天皇杯・清水エスパルス戦がありましたが、主力の多くは中一週間空いていましたし、戦術的なトレーニングもしっかりやっていました。コンディション面でのバラつきがあったとはいえ、そこはさほど不利な面ではなかったと思います。

 にもかかわらず、攻撃面がうまく機能しませんでした。

フロンターレの迫力ある攻撃が展開できているときというのは、グループとして同じを絵を描きながら、個々の選手たちのポジションが流動的になってゴールに迫っているときです。

 そういう流動的な攻撃が成立しているのは、「ボールを失わない」という味方の信頼感があるからです。その上で「こうすれば、こうなる」という確信が共有されていることで、ポジションレスになったり、チームのバランスを崩してゴール前に攻め込んでいけるわけで、周りも思い切りの良さが出せるわけです。

バファリンの半分はやさしさでできているかもしれませんが、フロンターレのパスワークは「味方との信頼感」でできていると言っても過言ではありません。

しかし、選手間にここでギャップが生まれてしまうと、フロンターレでは攻撃がつながらなくなります。この試合では流動性があまりなく、小林悠が前線でのポストプレーの競り合いで潰されたり、家長昭博、阿部浩之も含めた前線も孤立気味でした。

では、その辺の要因は何だったのか。現地取材を含めた分析でレビューしております。

今回のラインナップはこちらです。

1.「つなぐのだったら、自分は出る必要ないので」(長谷川竜也)、「本人に聞いたら『仕掛けたい』ということだった」(車屋紳太郎)。「つなぐ」ではなく「運ぶ」というプレーで、試合終盤に何かを起こそうとしていた左サイドでの仕掛けの狙いを読み解く。

2.「リズムが出なかった。パス、トラップの全てに気を使わないといけない状態。そんな中でどう戦うかを想定していたが、最後までうまくいかないまま終わってしまった」(小林悠)。誕生日弾ならず。いつもの「違い」を出せなかった理由。

3.「確信的にボールが止まらない」(中村憲剛)。その現象が、チームとしての試合運びにどう影響したのか。そして痛恨だった攻守のリンクマン・大島僚太の負傷交代。

4.「こういう場所だったら、流れに関係なく点が入ることがある。どっちも集中していたと思うし、何が起きてもおかしくないピッチ状態」(中村憲剛)。必要だったのは、「何が起きるかわからない。だからこそ 」の発想だったかもしれない。

5.サッカーにおける「確実性」と「非確実性」とは何か。あらためて考えてみる。

以上、冒頭部分も含めると全部で約8000文字のレビューです。ポイント5はいつもとはちょっと違うテイストです。

なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第27節・ヴィッセル神戸戦)

では、スタート!

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