第60号:「Never Too Late 」バスケットボールプレイヤー・田臥勇太選手から学ぶ3つのポイント。そして彼のプレーを初めて生観戦したときの話。

(配信日:2016/12/14)

 いしかわごうです。でんでーん!


 先日、NHKの「アスリートの魂」で、プロバスケットボールプレイヤー・田臥勇太選手のドキュメントが放送されていたんですよ。

 田臥選手といえば、バスケットボールの最高峰NBAのコートに立った
唯一の日本選手です。

 漫画「スラムダンク」には、最終回から10日後を描いた「あれから10日後」というストーリーが存在します。

 もともとは、作者の井上雄彦先生が廃校になった高校の黒板に描いた
イベントで公開されたもので、それは田臥選手がNBAデビューを果たした
2004年の出来事でした。

 そのため、「あれから10日後」のラストシーンでは、田臥選手を思わせるセリフが出てくるほどです。

 一番有名な日本人バスケットボールプレイヤーと言っても
過言ではない存在です。

 Jリーグ初代チェアマンとしてもサッカーファンにもお馴染みの川淵三郎氏。今年開幕した日本プロバスケットボールリーグの「Bリーグ」の立ち上げを牽引した人物でもありますが、彼はBリーグの成功は田臥勇太にかかっていること、そして田臥にはバスケ界のカズこと三浦知良になって欲しいと公言しています。


 そんな田臥選手は現在36歳。
どういう覚悟でバスケットボールと向き合っているのか。
それを丁寧に追った番組でした。


 見ていて印象に残ったポイントが、3つありました。

 ここでは、それについて語りたいと思います。

 一つは、彼のスキルです。

 田臥選手は身長173cm。
バスケット選手としては小柄。しかし身長差を補うだけのスピードと、抜群のパスセンスがあります。彼のパス技術の代名詞として、ノールックパスが紹介されていました。

その名の通り、見てないはずの選手にピンポイントでパスを通す技です。
目線をうまく使うことで、守備側のディフェンスのタイミングをずらしたり、遅らせたりしているわけです。
 
 あれだけ巧みにノールックパスを使いこなせるというのは、「見ていないはずなのに、見えている」という確信が本人にはあるわけです。きっと「コートを俯瞰して把握する能力に優れている」からなのでしょう。

この能力はバスケットボールに限らず、サッカーでも共通していますよね。

サッカー選手でも、ピッチという平面にいながら、
まるで空からピッチ全体を俯瞰しているようなタイプがいますから。

日本人だとガンバ大阪の遠藤保仁選手や川崎フロンターレの中村憲剛選手。

彼らは、反対側の場所にいる選手の動きまで視野で把握し、
客席から見ないと気付けないようなスペースに、
寸分の狂いもないパスを届けてしまいます。

 いったい頭の中がどうなっているのか。
中村憲剛選手本人に聞くと、ボールが来る前に自分が見た場所と
味方と敵の位置を観て、「1秒後にどうなっているのか」という
未来の絵をイメージするようにしているそうです。

例えば、右にいる味方から自分にボールが来そうだなと思ったときに、
その前に逆側の左を見て展開するイメージを描いておけば、
サイドチェンジしたときに大きなチャンスになるかもしれない。

 そういう予測する習慣をつけておくことで、
まずボールを持ってから行き当たりばったりでプレーすることがなくなります。

予測していたからこそ、周りから「いつ、そんな遠くまで観ていたの?」と
驚かれるような場所やタイミングでパスを通すこともできる、というわけです。すべて、次のイメージを予測する習慣が生み出すプレーだそうです。

田臥勇太選手のノールックパスも、同じ原理なんじゃないかと思っています。

ここから先は

1,702字
この記事のみ ¥ 100

ご覧いただきありがとうございます。いただいたサポートは、継続的な取材活動や、自己投資の費用に使わせてもらいます。