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「空も飛べるはず」 (リーグ第13節・ガンバ大阪戦:2-0)

パナソニックスタジアム吹田でのガンバ大阪戦は2-0で勝利。

中三日でのアウェイゲーム。しかもリモートマッチという難しさもあった中で、しっかりと勝ち切りました。

 前節からスタメンの入れ替えは3人。プレビューでは登里享平→車屋紳太郎、旗手怜央→脇坂泰斗、三笘薫→長谷川竜也と予想しましたが、左サイドバックは車屋紳太郎ではなく旗手怜央がインサイドハーフからスライド、そして車屋紳太郎はセンターバックとして谷口彰悟の位置に入りました。今シーズン、鬼木監督は谷口をけっこう休ませますね。

「名古屋のところで同じスタメンが連続していました。この3戦目をどうするのかは名古屋戦が終わってから決めようと思っていました。思った以上に、疲労が見受けられました。無観客ですし、自分たちからアクションを起こせるようなものを取ること」(鬼木監督)

 鬼木監督が選手に求めていたのは、「アクション」だったと言っています。前節名古屋戦の翌日、「チャンスの数が(名古屋戦は)少し少なかった」と指摘していたんですね。3点は奪ったものの、前節のシュート数は7本(前半4本、後半3本)で、シュート数二桁を記録することが常であるフロンターレにとっては、チャンスの数を多く作るよりも、少ないチャンスをしっかりと仕留めたという試合でもありました。

 鬼木監督はそこに満足していなかったのでしょう。得点を多く取るには決定力を上げていくことが必要で、そのためにはチャンスの数を増やすことが大事だと考えているタイプです。

だから、ビッグマッチの後、コンディションもメンタルもタフな状態でも、どれだけ自分たちから「アクション」を出せるのか。実際、そうした仕事をフレッシュな左サイドが生み出してくれたと思います(これは後に触れますね)。

90分を通じてピンチはあったものの、勝利は妥当だったと思います。

では、そんな一戦のレビューになります・・・ラインナップはこちらです。

「川崎に対して下がると押し込まれてしまうので、前を取りながらどんどんプレッシャーを掛けていけと言われました」(一美和成)、「だから、ある程度、僕たちとしては想定内でしたね」(昌子源)。いつも通りの川崎と、ガンバの想定内で進んでいた前半の攻防戦。両者の思惑とは?

■「ジェジエウ、ショウゴさん(谷口彰悟)という素晴らしい選手と競争していく上で、結果を残さないといけない」(車屋紳太郎)。左サイドエリアから生み出された、この日の「違い」。車屋紳太郎が攻撃で見せた、左利きCBである3つのメリットとSB経験者としての1つの武器。

■「三笘選手、長谷川選手のところでやられましたが、彼らはまずはゴールに行きますよね。前に一枚いても抜くし、取られても抜きに行く。僕はデイフェンスなので、すごく嫌だなと」(昌子源)。勝敗に直結した左サイドの攻防戦から考えさせられた、「相手を見てサッカーをする」とは何なのかという話。

■試合後の昌子源が口にした川崎フロンターレの強さ。その言葉から感じ取れた、チームが正しい方向に向かっているという確信と自信。

「なかなかスーパーマンのように上に飛んで行くことはできませんけど」(L.ダミアン)。まるで空を飛ぶように。レアンドロ・ダミアンが好きなマイケル・ジョーダンの話。

■(※追記)「そういう小さなことですけど、それが前節のああいうゴールにつながった。徐々にですけど、そういう面白さを感じてきています」(旗手怜央)。追加点を生んだ「駆け引き」と「奪い切る強さ」に凝縮されていたハタテらしさ。そして、掴み始めた守備の醍醐味。

以上、6つのポイントで全部で約13000文字です(5月10日に追記しました)。今回は戦術的な分析よりも、割と読み物的な内容が多めなので、そのスタンスで読んでもらえると幸いです。

なお、プレビューはこちら。答え合わせにどうぞ。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第13節・ガンバ大阪戦)

では、スタート!

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