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「そういうところを全員で共有できればもっと隙のないチームになる」(奈良竜樹)。風間グランパスとの対峙から学ぶ、鬼木フロンターレがさらに強くなるためのヒント。(リーグ第27節・名古屋グランパス戦:3-1)

 等々力陸上競技場での名古屋グランパス戦は3-1で勝利。

 試合前のメンバー発表では、風間八宏前監督とエドゥアルド・ネットの名前がアナウンスされたときに、フロンターレサポーターからの拍手が起こっていました。現在のチームの土台を作った指揮官と、そのエッセンスを中盤で担っていたピボーテが、等々力のピッチでどんなものを表現してくれるのか。楽しみな一戦でした。

 一方、現指揮官である鬼木達監督は、この試合に向けてこんなことを話してました。

「お互いに自分たちのサッカーを貫くという形でやってくる。面白いゲームにはなると思います。ただ、自分たちがウェイトに置かなくてはいけないのは勝ち切るということ。そこはこだわりたい」

 結果的に面白い試合になるかもしれないけど、自分たちから面白い試合にしようなどとは微塵も思っていないんですね。大事なのは、あくまで勝つこと。鬼木フロンターレは、勝つことによりシビアになる方向に舵を切って、チームとして成長してきました。

 そしてこの一戦でも、それを示す結果になったと思います。

3-1で勝利したものの、悔しいところがあるとすれば失点を許してしまったことでしょうか。リーグ戦では等々力競技場で6試合連続無失点でしたが、ついにその記録が途切れてしまいました。特に奈良竜樹は、ジョー対策がうまくいっていただけに対応を悔やんでましたね。

 では、そんなゲームの詳しいレビューです。今回のラインナップはこちら。

1.「やりながらバイタルエリアを使えた。相手のディフェンスによって、(選択を)変えられる判断があった」(阿部浩之)。大外を使った大島僚太と、ミドルを決断した阿部浩之。前半の2ゴールから読み取れる、十分な時間があるときの川崎流バイタルエリア攻略法。

2.「こないだまでのチームメートで、名古屋でも彼中心に回っている。ネットのところを潰す。リズムを出させない。そこが名古屋の攻略のひとつ」(中村憲剛)、「そこが名古屋の始まり。意図的に狙ってやれたのはよかった」(阿部浩之)。名古屋のテンポを狂わせるために、フロンターレが遂行し続けた「エドゥアルド・ネット包囲網」とは?

3.「体をくっつけると、そこで明らかで体格差であったり、パワーの差が出てしまう。あんまり強さを出せる局面を作らないようにしようと思ってました」(奈良竜樹)、「ショウゴくんと奈良ちゃんを中心にフタをしてくれていたと思う」(大島僚太)。連続得点中のジョーを、いかにして沈黙させたのか。フロンターレ守備陣がやり続けていた、3つのポイントとは?

4.「2-0にした後は、3−0にできるチャンスもあったけど、それができなかった。そこは反省材料」(家長昭博)、「あそこは堪えなくてはいけなかった。出たら潰さないといけない」(奈良竜樹)、「悪い時間帯があるのもわかっていたので、焦ることはなかった」(車屋紳太郎)。失点はなぜ起きた?6試合で途切れた等々力の無失点記録。そして今後のために目を向けるべき、リードしているときの試合運びの話。

5.「そういうところを全員で共有できればもっと隙のないチームになる」(奈良竜樹)。風間グランパスとの対峙から学ぶ、鬼木フロンターレがさらに強くなるためのヒント。

 以上、5つのポイントで全部で約9000文字です。
いかにして緻密なプランで勝ちに持っていったのか。ぜひ読んでみてください。よろしくどうぞ。

なお、プレビューはこちらです。➡️試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第27節・名古屋グランパス戦)

では、レビュースタート!

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