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新装再編版「スラムダンク」を語る〜第5巻:宮城リョータの名前がカタカナの理由と、彩子の謎。

新装再編版「スラムダンク」を語る。今回は第5巻のレビューです。

第5巻のタイトルは「宮城と三井」。

 表紙の考察からいきましょう。
表紙は宮城リョータ。隣には彩子がいます。

よく見ると、宮城の顔にはいくつかの絆創膏が貼られています・・・となると、時期的には三井襲撃事件の直後でしょうか。6巻になりますが、「#72 START」の日曜日午後では、練習中の宮城の顔に絆創膏が貼ってあります。右側の大きい絆創膏がないので、その傷が治ったあたりの時期なのかもしれません。

 宮城の名前ってカタカナで「リョータ」なんですよね。その理由なんですけど、これも「漫画がはじまる」で作者が明かしています。

リョータの場合、もう今となっては漢字をあてられないんです。花道が人の名前をあだ名で呼ばない時は、必ずカタカナで呼ぶんですよ。それで花道に「リョータ君」って言わせていたら、カタカナになっちゃった。それで漢字があり得なくなってしまって。そこが作者としては弱腰のことろなんですけど。

だそうで(「漫画がはじまる」より)、花道発信でカタカナになってしまったようです・笑。

 名前といえば、マネージャー・彩子の名字は最後まで謎でした。これはスラムダンク界の七不思議の一つと言われてますね(残り6つは知りませんが・笑)。

 実際、彩子の名字に関しては、明らかに隠していた節も見て取れます。例えば、「#200 Aランク豊玉 Cランク湘北」の扉ページでは、インターハイ参加の申し込み表が掲載されていて、湘北の各選手の生年月日がわかるようになっています。

花道が4月1日生まれ、流川が1月1日生まれなこと、2年の潮崎と角田が同じ中学出身だったことなどが密かに明かされています(安田と宮城が同じなのは本編でも触れられています)。

 そういったいろんな情報が読み取れる表なのですが、マネージャーの名前欄は見切れて隠してあったので、おそらく何か隠したい理由があったのだと思います。結局、その理由が明かされることはありませんでしたが、もしかしたら真相は、リョータと同じように最初に書きそびれたぐらいなのかもしれませんが。

あと、この表を丁寧に見ていくと、湘北高校の校長は、高長渡士(こうちょう わたし)、神奈川県高体連会長は、南多良 寛鱈(なんたらかんたら)とも読めて、かなり適当です・笑。

帯カバーのコメント:「オレがチームを強くして・・・試合に勝って・・・それで彼女が笑ってくれれば最高さ」

 リョータが花道に彩子さんへの思いを語った場面で、これにより犬猿の仲になりかけた二人がわかりあった瞬間でもありました。

さて本編。

#50 遅れてきた男から #65 靴を脱げ までの16話を収録。

 陵南戦が決着して、2年生部員・宮城リョータの登場、そして三井のバスケ部襲撃事件です。#65のラストで木暮くんから主犯である三井がバスケ部であるという事実が明かされています。

 インターハイ予選に向けて、神奈川県内のトップである海南大付属と翔陽の名前が初めて登場します。ただ彩子さんは、海南大付属を10年連続インターハイ出場と紹介してますね。実際は16年連続でしたから、ここは彩子チェックが甘いともいえます。

 そして宮城をシメるために、3年生の三井が登場。連載当時トレンディ俳優として人気だった江口洋介を思わせる長髪ですね。ただガラと表情が悪過ぎます・笑。

 この三井バスケ部襲撃事件の頃のスラムダンクは、どう読んでも喧嘩漫画で、たまたまこの時期にジャンプを手に取った人は、スラムダンクをゴリゴリの「不良漫画」だと思って読んでた人が多かったのよく聞く話です。

当時のジャンプは「ろくでなしブルース」とか「BOY」なんかも掲載されてましたからね。ろくでなしはボクシングもやっていたし、「BOY」もバンドやったりしてましたから、主人公が赤い髪のスラムダンクもそういう路線だと思われても無理はないかもしれません。改めて思うと、この喧嘩編の最中、「よく人気が落ちなかったなぁ」と感じますね。

 異彩を放っているのが「ケンカのプロ」と呼ばれている鉄男という人物です。

・・・この鉄男って、何歳ぐらいなんでしょうか。

周囲(手下)は鉄男さんと呼んでいて、高校生の中にいるから大人びていますが、実際には二十歳前後なのかな・・・と思っていたのですけど、堀田は「鉄男」と呼び捨てているから、年齢的には高校生3年生とタメっぽいですね。学校に通っている風ではないので、高校を途中で辞めて・・・という感じなのでしょうか。ちなみに堀田は、井上先生が熊本の古着屋で一緒に働いていた人の名前だそうです。

 鉄男は「ケンカのプロ」とのことですが、三井が公式戦出場停止だ、廃部だのとバスケ部員を脅している間に、体育倉庫からモップをすばやく持ち出してきて、三井に「ちがう反対 ここで」とアドバイスするあたりにプロぶりが垣間みれます。ただこの修羅場でも「これはルカワの分」ときっちり(笑いも)入れて来る花道のルカワ嫌い・・・徹底されていてウケます。

「#59」の扉ページでは、なぜか見開きでキャラクターが勢揃いで螺旋状に並んでます。

 これは週刊少年ジャンプ誌上で行われたキャラクターの人気投票結果です。1位:桜木花道 2位:流川楓 3位:赤木剛憲 4位:仙道彰 5位:水戸洋平・・・・と続いて順位が下になるほど、扱いも小さくなっている。最後は、ほとんど米粒です。確かジャンプ誌上だとちゃんと名前が表示されていたような気がします。

 リアルタイムの思い出でいうと、連載中に木暮くんの「三井はバスケ部なんだ」という発言は衝撃でした。しかも翌週から三井寿の回想編が何週にも渡って始まるもんだから、本当にビックリしたもんです。


5巻のレビューは以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

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スラムダンクの新装再編版を語る。


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