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ゼロから歩き出そう。 (リーグ第21節・横浜FC戦:2-0)

6月2日はニッパツ三ツ沢球技場での横浜FC戦でした。

試合は2-0で勝利。日本代表とU-24日本代表で主力5人を欠いた中での一戦でしたが、見事に勝ち切りました。開幕からの負けなしも継続中です。

試合後の選手たちは、ものすごく喜ぶというよりも、ちょっと安心したといった表情でした。長谷川竜也が明かします。

「代表組がいないから勝てないと言われないように、全員が心の底では思っていたと思う。苦しい時間帯もあったが、勝ち切ることができて、チームの層の厚さを見せることができたと思います」

勝たなくてはいけない試合だったのはいつもと変わらないですが、普段以上のプレッシャーもあったのかもしれませんね。

とはいえ、一番プレッシャーを感じていたのは、おそらくこの選手でしょう。

 右サイドバックでスタメンを飾ったイサカ・ゼイン。この日が記念すべきプロデビューとなりました。

開幕から負けなしのチームで出るわけですから、緊張しないわけはありません。

ただチームメートがうまくサポートしていましたね。

 例えばキックオフのボール。小林悠が下げると、それを受けたジョアン・シミッチは、そのまま右サイドのイサカ・ゼインまで届けてくれました。

緊張している選手には、まずはボールを触ってもらう。最初にボールフィーリングを確かめさせて、試合にもすんなり入ってもらう。あれは、シミッチの優しさですね。

 ちなみにこれは中村憲剛もよくやっていました。例えばデビュー戦の新人や移籍した若手、途中交代で入ってきた選手などとプレーするときは、その選手にいったんパスを渡したり、まずボールタッチをさせるんです。記憶に新しいところだと、2014年の谷口彰悟のプロデビュー戦がそうでしたね。あと2018年に、鈴木雄斗が劇的な決勝弾を決めた柏レイソル戦もそうでした。

 ファーストタッチが難しい場面で巡ってきてミスをしてしまい、メンタル的にリカバーできず、そのままドツボにはまってしまう選手もいますからね。なのでシミッチも、こういう何気ないパスに「優しさ」を込めるんだなぁ、と思うと、なんか嬉しくなりました。

もっとも、パスを受けたイサカ・ゼインは、距離を詰めてきた圧力に少し焦ったのか、家長昭博に向かって蹴ったフィードが合わずに、タッチラインを割ってしまいましたが・・・どんまい!

・・・とまぁ、そんな感じで始まった試合の詳しいレビューは本文でたっぷりと。お品書きはこちらです。

■「全員が勝つために何をするのか。わかった上でやってくれたと思います」(鬼木監督)。主力5人不在のゲームで送り出した顔ぶれと組み合わせ。絶妙だった指揮官の「塩梅」を読み解く。

■「相手の技術の高さに振り回されてしまって、前半は自分たちの時間をほぼ作れなかった」(高木友也)。前半のハーフコートマッチを際立たせた、選手たちの技術と目。巧みな互換性を見せた長谷川竜也と登里享平の左サイド崩しと、それを加速させた左CB車屋紳太郎の配給力。

■「自分たちのコミュニケーション不足でした。任せるなら任せる、自分が行くところは行くと、ハッキリしないとああやって重なって失点になってしまう」(古宿理久)。ゴールに不思議なし。何かを起こそうとしていたジェジエウの攻撃参加と、何かが起きるボールを供給した家長昭博。そして不運なミスを見逃さないスナイパー・小林悠。

■「スピードを殺さずにアウトでかけたが、うまく良いパスが出せてそれが得点につながった」(脇坂泰斗)」、「GKとDFの間を狙うときは弱いボールよりも、シュート性のボールを出すのは、練習からやっている。そこは狙い通りのパスが出せた」(長谷川竜也)。俯瞰的ではなく、平面的に観戦できるニッパツだからこそ感じられた技術の凄み。

■「薫やレオがこれだけ活躍しているのに、自分は何をしているんだと思うこともありました」(神谷凱人)、「この景色を見せてもらったことに感謝しつつ、悔しさが一番にありました」(イサカ・ゼイン)。プロ2年目で刻まれた出場試合「1」。三笘薫と旗手怜央の活躍の影で、2人が去年から向き合い続けてきたもの。

■(※追記)「あそこのピッチで強気でできないと、この先も厳しい。練習から、もっと強気なプレーの判断、選択を増やしていこうという気持ちになっています」(イサカ・ゼイン)。ゼインが振り返るプロデビュー戦の記憶。試合を経て、自分に感じ始めている変化とは?

以上、6つのポイントで全部で約13000文字です。プロデビューを飾ったイサカ・ゼインと神谷凱人に関しては、試合後のメディア対応はなかったので、これまでの取材から彼らが抱えていた思いを書き残しております(6月7日に、イサカ・ゼインの後日取材でポイント6を追記しました)。ぜひ読んでみてください。

なお、プレビューはこちらです。イサカ・ゼインのスタメン、左サイド攻撃の主体など、狙い通りの展開でもありました。答えあわせにどうぞ。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第21節・横浜FC戦)

では、スタート!

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