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スタイルの完成度を見せつけた多摩川クラシコ。優勝して新境地を開くことで手に入る、新しい強さもある。(リーグ第33節・FC東京戦:2-0)

 味の素スタジアムでのFC東京戦は2-0で勝利。

 前半に飛ばしすぎた代償で後半は押し込まれたものの、終わってみれば、順位通りの力の差を見せた多摩川クラシコだったと思います。

 しかも川崎フロンターレからすると、若手の起用も含めて、いくつかのチャレンジをしたゲームでもありました。

「半分、引率者の気分だったよ(笑)。全体的に若いし、30代は自分とアキ(家長昭博)ぐらい」

 試合後のミックスゾーンで、そう笑っていたのは中村憲剛(38歳)です。

 先発したフロンターレのフィールドプレーヤーの顔ぶれを見ると、30代は中村憲剛と家長昭博だけですからね。

 最終ラインは20代後半が中心ですが、ワントップは大卒2年目の知念慶、左サイドハーフは3年目の長谷川竜也、ダブルボランチに至っては大卒新人の守田英正と、高卒2年目で初スタメンの田中碧・・・・・トップ下である中村憲剛の周辺は、一回り以上年下でキャリアの浅い若手たちと組むことになりました。そんな中でも、チームとしてのスタイルをしっかりと機能させて、若手たちも伸び伸びとプレーして結果も出すことができました。そこは来季に向けた収穫ですね。

 もちろん、優勝したからこそできたチャレンジではありました。そして、チームというのは、新境地を開くたびに、こうやって新しい強さを手に入れていくものだとも思います。

 では、試合についてもたっぷりと。今回のラインナップはこちらです。

1.「チームとして本当に気合が入っていた。FWからスイッチを入れて、自分たちのリズムに持っていきたい。そういう気持ちはありました」(知念慶)。守備のスイッチを入れ続け、鬼気迫る勢いでボールをハントを敢行した前線の知念慶と中村憲剛。彼らは、なぜ守備であれだけ頑張れるのか?

2.「相手のボランチが、どちらかといえば守備に強いタイプだとわかっていた」(田中碧)、「自分はサイドバックの選手に入るタイミングで、『あそこのコースで狙っているよ』というのを見せられれば良いかな、ぐらいでした」(長谷川竜也)、「あそこで自分がいって、(田中碧が)ついてきたからこそ、ああいうパスミスが生まれる」(中村憲剛)。ボールの取りどころだった橋本拳人を狙った、ダイナモ・田中碧による絶妙な牽制と、それに呼応した連動性。必然で生まれた先制点を読み解く。

3.「今日のゲームは内容も素晴らしかった」(エウシーニョ)。いつもとは違い、幅を使った攻め筋を多用した理由。そして中村憲剛が効果的に機能させた、「大外からエウソン」。

4.「広島戦も悔しかったので」(長谷川竜也)。去年の最終節以来となった、今季のリーグ初得点。連覇後に再び動き出した、タツヤの時間。

5.「自分が結果を出せたのは不思議ではないし、出さないといけない場面だった」(知念慶)、「日頃の練習がレベルの高いもので、それが試合にいきている。それは感じました」(田中碧)。巡ってきたチャンスで結果を出す若手たち。彼らの自信になっているのは、麻生での日々の積み重ね。

6.(※追記:11月29日)「あの光景は全部思った通り。DFも全員思った通りに動いた。だから、超気持ち良かった」(中村憲剛)。相手を動かして、時間をコントロールして生み出した2点目。演出したケンゴの頭の中を読み解く。

以上、6つのポイントで冒頭部分も含めて全部で約10500文字です(※11月29日に、約2000文字のポイント6を追記しました)。今回は、いつものレビューとは少しだけテイストを変えております。

なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第33節・FC東京戦)

よろしくどうぞ。

では、スタート!

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