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シャニマス・イクォール・HIPHOP(シャニマスとはHIPHOPである)

歴史的真実を参照すれば、シャニマスとはHIPHOPである。
これは音楽性の話だけではなくあり方や振舞い……そしてREAL。そういったものが、シャニマスをHIPHOPたらしめているのだ。
以前、シャニマスとHIPHOPの関係でこのようなツイートをした。


実のところこれはかなり正鵠を射た意見ではないのかと思い、この記事で改めて書くことにした。かなりざっくりとした話になるが、なんとなく言いたいことは伝わるのではないかと思う。たぶん。

過去記事はこちら

まず、歴史的真実をただ列挙するだけでもシャニマスがHIPHOPであることは一目瞭然だ。
たとえば放課後クライマックスガールズの「よりみちサンセット」ではファンクの名曲「黒いジャガーのテーマ」を思わせるようなイントロにはじまり、そのままラップやコーラスに繋がることから、これ一曲で黒人音楽の歴史を内包しようと試みていることがわかる。
クリスマスの越境イベント「明るい部屋」では小糸を含めた283プロのメンバーが教会で聖歌を唄う仕事があったが、これは実録映画『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』で9発の弾丸に撃たれ、死の淵を彷徨ったあと復活して十字架を背負ったステージに立った50CENT(=ギャングスタ・イエス・キリスト)に対する礼賛であると解釈できる。
またシャニマスは幼馴染4人組ユニット「ノクチル」が存在するが、地元の幼馴染の友人という概念はホーミーというスラングに訳すことができる。ついでに言えばノクチルはスヌープ・ドッグ、ウォーレン・G、Nate Doggからなる地元の幼馴染ホーミーで構成されたヒップホップユニット「213」を意識しているのは間違いない。浅倉透がスヌープ・ドッグ的であることは、言うまでもないことだろう。

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とはいえ、これらの要素はシャニマスがHIPHOPであることを示す表面的事実に過ぎない。
個人的にもっともシャニマスがHIPHOP的であると言えるのはそのストーリーテリングの手法やテーマの伝え方である。
ここで引用するのが先程の画像である。ケンドリック・ラマーは当代最高のラッパーであるのは多くの人が同意することだろう。そのケンドリック・ラマーのストーリーテリングは、非常に多重視点的であることがこの図では示されている。

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引用元:エミネムとケンドリック・ラマーが共感される理由を考える。ストーリーテリングと多重視点

恐らくシャニマスを愛好するものにとってこの図が如何にシャニマス的かは一目瞭然だが、これをさらにシャニマス用に嚙み砕くとこういうことになる。

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シャニマスは物語に乗せてテーマを語り、シャニマスオタクに向けて様々なメッセージを発信している。また、シャニマスはアイドルの実在感をなによりも大切にするが故に、アイドルをシステム的に扱うことへの自己言及を物語の中で度々行っている。このことに関しては過去の2記事で扱っている。

つまりシャニマスはアイドルたちの物語を通してシャニマス自身に語りかけていることになる。そのシャニマスコンテンツを摂取したシャニマスオタクはシャニマスについて語るというわけだ。
すなわちシャニマスは意図的か、そうでないにせよ非常に高度でHIPHOP的なストーリーテリングを行っていることになる。
さらにこれらの多重視線的ストーリーテリングを突き詰めていくと、戦後思想界の巨人・吉本隆明が『ハイ・イメージ論』で語っていた世界視線と普遍視線の重なり合わせからなる高次元映像に当てはめることができる。
また、吉本隆明は文学の持つ芸術性(の一端)は「登場人物、語り手、作者、読者が重なり合う世界」だと述べている。シャニマスがそういうコンテンツであることはシャニマスオタクならば深く同意してくれるはずだし、それがHIPHOPに繋がってくることがうっすら見えてきたと思う。
このことについて深く踏み込むと長くなるのでまたの機会にするが、簡単に図解するとこういことだ。

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厳密に言えば「カンフー映画=HIPHOP」なのでこの図は正確ではないが、なんとなく概要は掴めるはずだ。

おわりに

先日行われたノクチルの新シナリオイベント『さざなみはいつも凡庸な音がする』では、揺らぎがあるからこその不変であり絶対的なものという意味で「さざなみ」という言葉が使われていた。たとえ波打ち際を棒で打ち据えたとしても海はいつもそこにあり、さざなみはいつも凡庸な音がするに違いない。
そういう意味ではシャニマスはHIPHOPであるという事実は常に揺らいでいる。
だからこそ一見不確かに見えるものでも、それはシャニマスはHIPHOPであるという事実を補完するものに他ならない。
つまり、シャニマスはHIPHOPであるという事実は絶対であることが完全証明されてしまったのだ。わかったか。
なのでシャニマスが好きな人はHIPHOPを聴いて見るといいし、HIPHOPが好きな人はシャニマスをやってみるといい。そこにはきっと、いつもアイドルマスターシャイニーカラーズがいる。

あとがき

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このnoteのヘッダーにした画像なのだが、これはノクチル実装当初に浅倉と樋口の関係性を考察した時に用いた図である。
こうして様々なコミュを経た今なら言えることだが、この図はあまり正しいとは言えない。特に【UNTITLED】樋口円香を読んだあとならよりそう思える。しかし今にして思えばシャニマスとHIPHOPの関係を最初に指摘した図であり、これがなければこのnoteは無かっただろう。

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