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轟音

先日、友人と飲みに行ったのだが
2軒目のスナック的な店で
カラオケで騒ぐ一団と遭遇した

5~6人の中年男性グループで
サザンやらブルーハーツやら90年代のヒット曲を
窓がビリビリするような音量で歌っているのだ

私は轟音というものを久し振りに聞いた

選曲と外見から察するに私と同世代
彼らは酔って妙な勢いが付いているのだろうが
こちらのボックスにいる我々は轟音のせいで会話が出来ない

文句の一つも言ってやりたかったが
同世代の異様なハイテンションを見せつけられたせいか
少し萎えてしまった

『失われた世代』と呼ばれる我々は
未だに喪失し続けている
拠り所や道標を、日々の糧を

あの夜、私達は喪失して喪失して
空洞になった心の空間に向けてどぶどぶと水割りを注ぎ込み
リンダリンダを反響させていたのではないか

しっかしうるさかったな
やっぱり文句言ったほうが良かったか
カラオケボックス行けよって、それはまた違うんやろな

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