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#08 『占い』

突然だが、あなたは占いを信じるタイプだろうか?

私はまったく信じない。
テレビや雑誌に出てくる星座占いなどはとりあえず見て鼻で笑う罰当たりタイプの人間だ。そんな私でもそれっぽい占い師による本格的な占いに行ったことがある。

あれは妻と結婚する前。初夏だったでしょうか。(←ちょwww偶然のダジャレ!)妻の会社の同僚が占い好きで、良い占い師さんがいるよという話を聞いたそうで、なら1回行ってみようかという感じで行ったのである。妻はマリッジブルーだったのか?私と結婚して本当に良いのか不安だったのか?まあそれはさて置き、占いを信じない私は逆にこんな機会は2度とないと思い、はりきって向かった。

当時私はゆったりめの古着ファッションにはまっており、Tシャツの上にラルフローレンのシャツを羽織りサファリハットを被るといったまるでスチャダラアニのような格好で、占い師の元へ。

マンションの一角にある占い師の賃貸物件、いや、占いの館のチャイムを鳴らすと、一見普通のおばさんに見える方がドアを開けて私たちの方を見た。あれ?部屋間違えたかも?と思った私は
「すいません、もしかしてあなたは…占い師さん…ですか?」と尋ねた。すると普通のおばさんはこう答えたのだ。
「はい」と。

なんということだろう。私は占ってもらう前に占い師を占ってしまったのだ。私は笑いを必死でこらえながら占い部屋へ上がった。

占い部屋はいたってシンプルで、まるで普通の賃貸マンションのようだった。なるほど、よく当たる占い師ほど占いデコレーションでごまかさずに直球勝負しているんだなと無理やり感心することで今にも笑いそうな自分の心を鎮めた。

そうこうしているうちに、100均で売ってそうな紙とボールペンを渡され、名前と生年月日を書かされた。ついに占いが始まったのだ。占い師はその紙を手元に置き、占いの辞書っぽい本を片手に何やら調べ始めた。
「そんなの見て占うなら自分でもできるわwww」と思ってしまったが、万が一、自分の今の心を見透かされたらまずいと思い、頭の中でサマージャム’95を歌って誤魔化した。

いよいよ占い師の口が開く。
「まずは、男性のあなたから占いましょうか」

きた!ついにきた!まったく占いを信じていないとはいえ、この時ばかりはちょっぴり緊張した。そして次の瞬間、占い師の言葉が私の度肝を抜いたのだ。

「あなたは長男だね?そして親に迷惑をかけて育ったね?」

!!!!!!!!
度肝を失った私はしばらく放心状態だった。まさか、まさかこんなことがあろうとは!!!!!!!動揺する私を見て口元がニヤリと緩む占い師。それを見て、再度動揺してしまう私。

「ご両親、あなたのことをとても苦労して育てたんだねー。ふふっ」

やばい!やばすぎる!!!どうしよう?どうすればいいのだろう??どうリアクションすれば正解なのだろう?顔面蒼白な私は意を決して、占い師にこう答えた。

「じ…じ…じ…次男です…。そして…どちらかというと親に迷惑をかけるどころか、手のかからない子供でした…」

なんとこの占い師、初っ端から完全に間違えていたのだ!!!なぜいきなり長男と決めつけたのだろうか?最初の占いくらい答えが曖昧なことを言えばよかったのに!!!なぜ私のことを親に迷惑かけてそうなやつだと思ったのだろうか?完全に古着ファッションを見ただけで判断してるだろ!!!それ占いでもなんでもない、ただの差別だろうよ(笑)。

まぁ、身なりで判断するのは一理あるので仕方ないけど、なぜ長男と思ったのだろうか。なぜ自信ありげに長男と言い放ったのだろうか。

はっ!!

えっ!!

まさか!!!

スチャダラアニっぽい格好だから「兄」だと思ったのか???えっ、えっ、だとしたら逆にすごい(笑)。となるとあれだ、気になる。確かめたい。スチャダラアニっぽい格好をしていたから私のことを長男だと思ったのか確かめたい。そう思った私は占い師にこう尋ねた。

「あの、占い師さん、私が長男ではなく次男であったことはお気になさらないでください。人間誰しも間違いはありますから。あれですよね。誰のせいでもないですよね。いや誰のせいかといえば私のせいですよね。いやそれは違うか。えーっと、誰のせい?それは、あれだ…」


占い師「夏のせい…」


やかましいわ!

100円くらい意志雄にあげてもいい、それすなわち、隠れイシシタン!