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起業家たちの思いを受け継ぐクラブハウス

2006年3月、ジャック・ドーシーが初めて「ショート・ブログ」なるものをインターネット上に投稿した。

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その1年後の2007年3月。

テクノロジーと音楽・映画の祭典と言われているサウス・バイ・サウス・ウェスト(SXSW)で、Twitterは「熱狂」を迎えた。

ツイッター運営は賢く、カンファレンスの廊下にスクリーンをたくさん設置し、そこにツイートが配信されるようにした。

SXSWの数百の参加者がお互いの動向・意見をTwitter経由でウォッチし合った。

パネリスト、スピーカーが相次いでTwitterについて言及し、参加していたブロガーもこの新しいプロダクトを押し売りした。

まさにお祭り。フェスのような感覚だったに違いない。

有名なテックブロガーらは、

「TwitterがSXSWを完全に支配している」「Twitterがカンファレンスを所有している」

と表現した。

最後にSXSWのWeb Award賞を受賞したTwitterのチームは、壇上に上がり、

「140字以下で感謝を述べたい。今そうした。」

と言い残した。

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その8年後の2015年。

SXSWでまた「熱狂」が起きた。

熱狂を巻き起こしたのは、ライブ配信アプリ、Meerkatだ。

「Twitterの再来」

そんな言葉が、当時学生だった僕の耳にも届くほどだった。

Meerkatは二人の共同創業者によって作られた。

ベン・ルービン(左)がMeerkatをローンチし、そのあと彼とSXSWで出会ったシマ・シスターニ(右)だ。

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(画像はGreylockのサイトより引用

ベン・ルービンのバックグラウンドは興味深い。

僕は大学で建築を学んでいる時に、空間について考え始めるようになった。空間は、人が交流し価値のある経験ができるようにするための新しい機会を、創出することできる。それが好きだった。

建築の勉強をはじめてから3年目に、僕の中で電球がついてひらめいた。空間や交流をデザインする新しいフロンティアは、デジタルにあることに気づいた。

ここからは、二人の共同創業者と、その会社への投資家であり取締役でもあったJosh Elman(下画像)との対談(2017年)を見てみたい。

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Josh:2014年に初めて君に会ったよね。Life On Airという会社を作っていたね。ライブ配信プロダクトをやっていた。Life On Airについて教えてほしい。2012年から4年半、何を考えてきたかも。

Ben:Life On Airのミッションは、物理的に離れているときに、最も人間らしい方法で人と人を繋げることだ。最初に君と会った時にやっていたのは、数多くあるモバイルでのライブ動画配信アプリの一つ。

Josh:なんでモバイルライブ動画が今だと思ったの?まだ早かったように見えたし、誰も十分な通信環境を有していなかった。君は何を見ていて、モバイルライブ動画のなにがエキサイティングに感じたのか?

Ben:モバイルライブ動画がエキサイティングだと感じているというよりは、今の(SNSの)パラダイムを考え直すことにワクワクしている。何かを投稿し、誰かが非同期的にそれに反応する。過去20年間で私たちはインターネットをそうやってハックしてきた。お互いをより近く感じるために、デスクトップPCベースの非同期的な小さなやりとりをしてきた。

Josh:(今なら)FacebookのいいねとかInstagramのいいねだよね

Ben:そうそう。Snapchat Storiesは没入的でリアルに感じるし、リアルタイムだ。だがそれでも超えられない非同期の壁がある。すごくリアルに感じるけど、非同期の反応をしているに過ぎない。ライブ配信やモバイルというツールは、相互的な自己表現やリアルなコミュニケーションを可能にさせる。そしてSNSの領域でここはまだそこまで探索されていない。これが、僕たちがLife On Airでやっていることだ。

Josh:僕が君を好きなのは、そうゆうところなんだよね。君とライブ配信の話をすると、(既存のSNSでは)人はみんなシェアして、交互に叫び返しているけど、ライブ配信は全く別だと君はいう。ある瞬間に一緒にいる。まさに今この部屋に一緒にいるように。(非同期と同期は)りんごとオレンジのように、全く比較できないものだ。君はこれにずっとこだわってきた。そしてMeerkatのコンセプトを生み出した。確か元々のYeevoというプロダクトをMeerkatにピボット(転換)させたんだよね。2015年の最初にMeerkatをローンチし、これはTwitterとかなり密接に連携されていて、いきなり跳ねた。そこでようやくみんな、君が見ていた景色(ビジョン)を見れるようになった。どうやってMeerkat、そしてその流行の瞬間までたどり着いたのかをぜひ教えてよ。

Ben:Meerkartに至るまで、3つのライブ配信アプリを試していた。そのうち2つは「ツイートしてライブ配信」という機能があった。君もYeevoからツイートしてライブ配信してたね(笑)

Josh:そうだね(笑)めちゃくちゃ恥ずかしかった(笑)え、何!?みんな僕を見ている・・・!となった(笑)

Ben:何がダメだったのか、振り返った時に理解したことは、ワークする時もあるけど、ワークしない時の方が多かった。まず、ライブ配信という行為はとても骨が折れる。感情的にも負荷がかかる。じゃあそれ以外を全てシンプルにしたらどうか?可能なかぎりシンプルに。プロダクトに関するノイズが、ライブ配信の体験だけからくるように。インターネットに存在する物で、最もシンプルにライブ配信をする方法が何かを考えた。誰かが一瞬でオーディエンスの前に行けるように。過去の3つのプロダクトで失敗した。Live on Twitterというのは変わりないけど、どうやってアプローチしよう?登録からライブ配信まで、2クリックで行けたらどうなる?ライブ配信というメディア形式と、Twitterというメディア形式は、インタレスト(趣味趣向)・グラフという意味でたくさんの共通点があった。Twitterで相互フォローしている人はMeerkatでも自動的に相互フォローとなる仕様にした。誰をフォローするか、しないかも選ばせない。ライブ開始についてのツイートをするかしないかも選ばせない。Twitterの延長のプロダクトを作り、全部自動的にやってあげた。Go Liveというボタン一つでライブ配信ができる。Meerkatに人がいなくても、ツイートにより、人が入ってくる。

プロダクト開発において、強いステートメント(価値を表現するメッセージ)があることと、使い始めた瞬間から、あらゆる不明点を無くすことが大事。ステートメントはめちゃくちゃクリアであることが大事。ユーザーが簡単に言えるように。「ツイートしてオーディエンスにライブ配信したいからMeerkatを使う。」「友達とグループFaceTimeがしたいからHousepartyを使う。」最初はめちゃくちゃシンプルである必要がある。全ての不安や不明点を取り除く。

Josh: ライブ配信について一緒に長いこと話してきた。そんな中で君はMeerkatを出して、これが飛び跳ねた。小さなプチバズとかじゃなくて、Twitterでフォローしている全員が2クリックでライブ配信し始めた。行ったり来たりしていろんなことを試した。友達や有名人がライブ配信をしてるのを見るのはこの上なく面白かった。2015年のSXSWは凄かったし、SXSWでリアルタイムで何が起きてるのかを見るのも最高だった。あの時、これからはずっとこうやってライブ配信をしていくんだろうなって思った。

それが、、、Facebook、Twitter、あるいは今はもう無きMeerkatで、最後にライブ配信を見たのがいつか分からない。何が起きたのか?あの時の凄まじいエネルギーはどこに行ったのか。何がダメだったのか?

Ben:ライブ配信には二つの問題がある。まず、ライブをしたり、リアルタイムで見れるのはエキサイティングだと感じる。だがエキサイティングだと言う人は、(現実とは)異なるビジョン(視点)を持っている。

現実は、99%の有名人、芸能人じゃない人は、毎日ライブするような人生じゃない。それは僕も含めてだ。僕たちがライブするのは、この部屋にいるみんなも含めてだけど、友達が結婚した時、道で火事が起きている時、Rihannaがピンクのドレスを着てサンディエゴの街中を歩いている時とか(笑)。僕が最後にライブしたのは、砂漠にいた時だ。6週間も前のことだ。ライブというのは、自分をそこに放り出すし、編集もできないから、とても感情的に負荷がかかる。加えて観客も、楽しめるコンテンツが無いといけない。毎日ライブをする人の属性として唯一メイクセンスするのは、芸能人とメディアとニュースだ。99%の人がそうでは無いから毎日のプロダクト、毎日の習慣にはならない。そこに大きな会社は作れない。

Meerkatをピボットさせる上での大きな議論は、何百万人もの人が毎日きて、自分を投げ入れる、インプット・メディアにできないと、長期的に続くビジネスを作れない。そうじゃないと基本的にケーブル・カンパニー(有線放送会社)を作ることになる。そしたらコンテンツの戦いになる。コンテンツで戦うためのお金が足りない。FacebookとTwitterの世界と比較すると、3歩も4歩も遅れを取る。ソーシャル・ネットワークの一番のイノベーターがやっていることは、人が毎日戻り、自分(のコンテンツ)を少しプラットフォームにインプットする習慣を作らせること。それがmoat(堀)になる。ライブ配信をするための最もシンプルな方法でやっても、人は戻ってこない。

ジミー・ファロン(テレビ司会者/コメディアン)が現れて、五千人、七千人が見てる。すげえええって思ったし、Redbull、NBA選手、NFL選手。最大で4万人が見ている時もあったし、世界がライブ配信に期待していたけどね。

Josh:Meerkatのすごいエネルギーのあと、TwitterがPeriscopeを出してきて、FacebookもFacebook Liveも出してきた。そんな中、さっきBenが言ったみたいに、Meerkatが思ったように行かない。Twitter vs Meerkatっていう話じゃなくて、たくさんの会社がこの分野をただ証明しようとしてたんだよね。

Sima:私はライブ配信することは心地よくなかったし、10歳下の弟も心地よくないと感じていた。諦めた方がいいのか?でも何かがここにある。どうすればワークさせられる?そこで行き着いた考えが、友達とか、誰か大切な人がライブ配信をしたり、あるいは私たちがライブ配信をしている時に知り合いが入ってきた時が一番エキサイティングだよねと。(外の世界は、Meerkatはメディアとかインフルエンサーメインになっていた)

Josh:まだ覚えている。Meerkatを使っていて一番良かったのは、数人の友達がサンフランシスコのレストランでライブ配信を始めた。20人くらいの友達が見てた。そこにいる一人が思いつきでFaceTimeで友達に電話をかけはじめた。僕はネットフリックスを見てたんだけど、通知がきた時に、ネットフリックスを止めて、友達とハングアウトした。有名なスターのステージを見るよりも、こっちの方がMeerkatの魔法的な瞬間だった。

Sima:全員の成功の指標は、ネットフリックスを止めさせることができるかだね(笑)

Josh:Ben、君がこの会社の創業者で、バブル/流行のど真ん中にいて、たくさんのお金も調達し、たくさんの人に(うまくいくと)約束をして採用して、そしたらうまくいかないかもしれないと頭をかきはじめた。何を考えていたの?どこで光が見えた?

Ben: 2015年の7月あたりの取締役会でのメイントピックは、なぜMeerkatをピボットさせる必要があるか?だった。たとえ取締役のメンバーだったとしても、外からは、なぜライブ配信がうまくいかないかを理解するのは難しかった。$15Mをくれたばかりの人に対して、Josh、これはうまくいかないと言うのは、創業者にとってすごく勇気がいることだ。

Josh:うん、そのとき、僕は君を全く理解できなかった。

Ben:でも君と、Greylock(Joshが所属する投資会社)のために言っておくと、Twitterがいろいろ仕掛けてきた時も、君はタームシート(法的拘束力が無い投資契約書)でコミットしたことを覆さなかった。創業者が君のところにきて、これはうまくいかないと断言し、ピボットする必要がある、こうやってピボットする。と言ってきて、君は、「君(Ben)が言うことは理解できないけど、君をサポートすることが僕の仕事だ。3ヶ月ごとのマイルストンを設定して、僕が間違っていることを証明してほしい」と言った。

Meerkartをリリースしてから4ヶ月。ずっと頭に引っかかっていたのが、ライブ配信で唯一価値のあるプラットフォームを作ることに成功した会社が、Twitch(ゲーム配信)であるということだ。Facebook Live、TwitterのPeriscope、Meerkatと彼らが違ったのは、彼らが重要視していた指標は、配信者に関するものだった。他のプラットフォームは視聴時間の指標ばかりを見ていた。これはプロダクトを作り、成長させる上でとても大事だ。僕たちも配信者のリテンション率を見続けた。そしてワークしていないことに気づいた。グロースはしているが、データを見ていくと、配信者のリテンションが悪い。視聴時間はグロースしているけど。有名人、メディア、ニュースにはいいけど、そこはFacebookとTwitterの方が絶対うまくやる。取締役会を重ねる中で、ピボットを検討し、Housepartyに繋がっていった。

そう、実はMeerkatは、あのHousepartyの前身だったのだ。

Josh: 何が次のインサイトだったの?何がHousepartyを生んだ?

Ben: Instagram、Whatsapp、Facebook。(唯一の例外がTwitterだけど)彼らの成功の根底にあるのは、みんなが毎日プラットフォームに4回以上確認しにきて、何かをするということ。

普通の人、9時から17時まで仕事がある人が、普通の生活をしている人が、とても楽しく使うことができた。

Josh:その多くが友達との会話だよね

Ben:うん

Sima: そして議論が行き着いたのが、Meerkatの一番好きなところを話し合ったら、家族のことだった、友達のことだった。でも、私たちはステージのために最適なメディアを作り上げてしまった。パフォーマンスをしないといけない。でもほとんどの人がパフォーマーじゃない。じゃあその反対は何か?居心地がよくて、行きたくなるような場所は何か?ハウス・パーティーのように。そこからは、誰を知りたいかではなく、誰を知っているかというネットワークにフォーカスするようにした。

Josh:そうだね。「映画館から、リビングルームに。」という君たちが使っていた比喩を覚えているよ。じゃあちょっとHousepartyについて説明して欲しいな。

 Ben: Housepartyはグループビデオチャットをするための一番シンプルで早い方法。アプリを開くだけで友達と一緒にいられる。電話やカンファレンスを設定してミーティングをスケジュールする必要もない。一番基本的な前提は、誰もが2、3人、安心してFaceTimeできる相手がいる。そしてもしかしたら20-30人くらい、会えたら最高だけど、わざわざ電話をしたりカンファレンスコールをするってなったら違和感がある相手がいる。次に悲しいことに、Joshがもしベストフレンドと今夜話したいってなったら、Google Hangoutのリンク付きのグーグル・カレンダーで、今夜21:00から3分だけ電話しようという招待を送ったりしない。電話というのは数百年間、とても感情的で、負荷もかかるものだった。16歳のアニーに電話しても、出ないだろう。どうしたの?ってテキストで返ってくるだろう。これは、ソーシャル・メディアがいかに非同期をベースに進化してきたかを示唆する。それはそれで良いんだけど、人と人が会って話したりする人間的な、同期的なやりとりを喪失してしまった。

Josh:君たちは、「僕たちはMeerkatのチームとしてすごく注目されているけど、今やっていることをまだ世界に知らせたくない」と言っていたね。Housepartyをどうやって広げていった?

Sima:とてもハードだった。私たちは、エキサイティングな何かに取り掛かっている実感はあったけど、たくさんのプレッシャーがあった。外の世界の人たちは私たちをMeerkatのチームだと捉えている。

Meerkatからの大きな学びの一つは、インフルエンサーとかハイプ(ブーム)を元にしたGo-to-marketについてだ。それは何がワークして何がワークしないかを発見するための数字をごまかしてしまう。だから真逆のアプローチをとった。インフルエンサーなし、ハイプもなし。アイオワ州でうまくいけば、何か意味があるモノだと分かる。「いとこネットワーク」と呼んでいる。友達や家族のネットワークから広がる物を作った。

Ben:誰も、君たちが出しているアプリだとは気づかなかったんだよね。

Sima:若い人たちに使ってもらおうと思った。ティーンからはじめてどうなるか見たかった。Z世代は私たちの世代よりも興味を抱くのでは無いかと考えた。私の世代は忙しいし。ユーザーからあらゆるDMをたくさんもらった。それを元に改善し続けたのが、Go-To-Marketの始まりだった。

 Josh:これは何かあるぞ、Housepartyの中心に会社を据えようと思ったきっかけは?

 Ben:テストしていて、これは爆発する。何かが起きているとチームの全員が感じた。こんなにも早くHousepartyを出せた理由の一つは、2015年10月から2016年2月までの間、チームがPOC(実証テスト)を通じて何かを感じて、すごくワクワクしていたからだ。

 Sima: ピボット(方向転換)の期間で、誰も会社を去らなかった。ピボットはとても辛いにもかかわらず。その理由は、私たちがプロダクトを使ってみて、世に出す前から、私たちはこれを信じていたから。真逆のGo-To-Marketをとり、Meerkatで得たブランドの資産を使わない選択にも繋がった。

Ben:会社内でAmazingなディベートがあった。このプロダクトを「Meerkat with the Friends」と呼ぶか「Houseparty」と呼ぶかだ。Simaが「Meerkatじゃ無いといけない!」って言って、僕は「Housepartyじゃ無いといけない!」って言って、その1ヶ月後には、逆にSimaは「Housepartyじゃ無いといけない!」って言って、僕は「Meerkatじゃ無いといけない!」って言って。最終的に、独自の名前、独自のブランドを与えてとても良かったと思っている。

Josh:いとこのネットワーク、大学とかに広がって、たくさんフィードバックをもらうようになって、たくさんの人が使うようになって、使い続けてくれて。いつからエンジニアチームを増強し、これを元にビッグ・カンパニーを作ることを決めた?

エンジニアを増やし、オペレーションをUSに移す決断が一番難しかった。ユーザーベースから伝わってきたエキサイティングさで決めた。ソーシャル・メディア、DM、メールでたくさん声をもらって、私たちは人が困っていたところを掘ることができたんだなと。ビタミン剤ではなく、ペイン・キラー(痛みを取り払うモノ)を作れたとわかった。人はHousepartyを必要とした。Nice to Have(あればいいモノ)ではなく、Must to Have(なくてはならないモノ)だった。アプリの人気に火がつきはじめ、バック・エンド(サーバー)が落ちた時、ユーザーのみんなが、「どこに行った!どこに行った!アプリが機能しない!」と騒ぎまくった。私たちが対処する間、ユーザーは誰も離れなかった。みんな必要だった。あればいいモノではなかった。

キャンパスに行ってユーザーと話した時に、何度も聞いた声が「自分でいられる。他の場所のように洗練されたバージョンの自分である必要がない。私に新しい物をくれた。」と。私たちはこれをポスト・セルフィー時代と呼んだりした。私と私のBFF(Best Friend Forever)、それはサマー・キャンプの友達、高校の友達、家族かもしれないが、どのグループにせよ、私たちは、シンプルで、自然発生的に繋がる方法を与えることができた。

Josh:Facebook、Instagram、Snapchat、Twitterとか、毎日使って会話をしシェアするところがある中で、ライブの同期的なソーシャル・メディアが必要な理由について。

Ben:毎日アプリにきて50分以上使うのが理想だ。技術的制約により、世界は人間的なコミュニケーションから離れ、非同期なマイクロ・インタラクションをするようになった。より繋がっているように感じるが、人間味が弱くなってしまった。例えば、お母さんが君に、「面白いね」って言う代わりに、Facebookで「いいね」しないといけない。友達とリアルタイムに一緒にいて、一緒に話す、そんな異なるタイプのコミュニケーションの場があることがとても大事だと思う。まだ完全に解決したとは思っていないが、同期的なSNSとは何を意味するのか。Facebook、WeChat、Snapchatがある世界で、これらは非同期に整理されているからこそ、2017年以降、オンラインであること、プレゼンスとは何かについて、同期的な領域で大きい機会が広がっていることに楽観している。

Sima:私たちにとっては理解するのが難しい。私たちにとって同期性とは懐古するものだが、今のZ世代にとってはこれは全く新しいものだ。今まで無かった、新しいコミュニケーションの形。それが、彼らが最初にプラットフォームに来て、愛してくれた理由だと思う。Z世代に対して、他の世代がHousepartyにくるまでは時間がかかった。

Josh:最後に、二人に質問。Housepartyを使っていて一番好きだった瞬間は?

Ben: 確実に、お母さんが僕たち息子とHousepartyを使ってくれた時。僕の一人の弟はベルリンにいて、もう一人の弟はイスラエルの軍にいて、もう一人の兄が大学で勉強していて、お母さんがはじめて一人でディナーをしていた。でもHousepartyでみんなで集まって。その時、Whatasppで、「Housepartyやろうぜ!」みたいなやりとりは無くて、お母さんがただアプリを開いたら僕が入ってきて、「お母さん!」って言って、そしたらもう一人の弟が入ってきて、またもう一人の弟が入ってきて、お母さんの表情がどんどん変わっていくのが見て取れた、みんなに会えてハッピーに見えるお母さんが。よし、この体験を、全てのユーザーに届けられたら。毎日じゃなくても、1週間に1回でも。

 Sima: 東海岸にいる友達がアプリに入ってて、もう一人はシカゴにいて、もう一人はサンディエゴにいる友達、みんなHousepartyの部屋にいて、私はその時車を運転していたけど、クレイジーなFOMO(コンテンツや繋がりを逃してしまう恐怖)を感じて、車を止めてアプリを開いて、「なんの話をしてるの!」と聞いたら「なんでもないよ〜(笑)ハングアウトしてるだけだよ(笑)」って。その瞬間、「だからこのアプリを作ったんだぁ・・・!」って思った。もうニュースフィードにはそのような自然発生さがない。Housepartyはそうゆう、高校の新しい駐車場の溜まり場かのような感じ。

Josh:最高だね。本当にありがとう。

このように、アメリカでティーンの必須アイテムとなり、飛ぶ鳥を落とす勢いのHousepartyはその後どうなったのか?

上記のインタビューから3年後に、Co-founderのBenが、別のインタビューで赤裸々に明かしている。

Ben:プロダクトはグロースしているが、$70Mのキャッシュを持っている会社に期待されるほどのグロースではない。エンゲージメントは凄いが、全てティーンの周辺だ。次の資金調達ラウンドを裏付けるほどのグロースが足りない。ユーザーのサイズ、ちなみにかなりデカかったが、エンゲージメントが高いコミュニティはマネタイズするほどデカくなかった。行き詰まった。一体何が起きている?となった。何百万人もの人が毎日使ってる。

質問:ビッグ・カンパニーにとって、驚異となり、防御するために買収しないといけなくなるようなグロースではなかったってことだよね。FacebookがWhatsappやInstagramを買ったように。

Ben: その通りだよ。Josh Elmanが言ってた。外れ値、例外すぎると。ソーシャル・プロダクトはこうはならない。なぜこのように行き詰まってしまうのか、と。

質問: 普通は上がるか、下がるかのどちらかだけど、これは横這いだったということだよね。

Ben:そうそう。グロースしてるよ。でも足りない。

その答えは、高校ではみんな毎日同じスケジュール。喋れるときはみんな喋れるし、喋れない時はみんな喋れない。Housepartyはプレゼンスをベースにしたプロダクトだ。宿題をやっている時、試験がある時、旅行にいくとき、などなど基本的に共通しているから、自分が空いてる時は、相手も空いてる。空いてない時は、相手も空いてない。大学になるとこれが全て変わる。みんな違うスケジュールを持つ。そんなアクティブじゃなくなる。考え方も変わる。高校はみんなと友達になりたかった。みんなを知りたかった。高校の駐車場にいたい。大学では新しい人を知りたかったり、別に知りたくなかったりも。セルフ・アイデンティを発達させ、この人ととは友達になりたいけど、この人とは友達になりたくない。時間の使い方や、誰と話すかも選択的になる。

グロースの観点で面白いのは、グロースのデータだけ見ても何が問題か気づかない。ユーザーがあちこちでいきなり消える。全くメイクセンスしない。データをクラスターごとに照合していった。いつ高校が始まって、いつ高校が終わるか、などのデータとマッチさせていった。すると、やっと分かった。あぁ、人は大学に行くときに離れていく、と。素晴らしいプロダクトがあるけど、ここで、売るか、ピボットするしかないと悟った。

このように、Housepartyはリアル・グラフに乗っかったグロースで限界を迎えた。その結果Housepartyはどうしたか?

悩み抜いた末に見出した答え。

それは、ゴリゴリのバーチャル・グラフの会社に、買収してくださいと提案をすることだった。

そう、フォートナイトだ。

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2019年6月にフォートナイト運営会社のEpic GamesがHousepartyを買収した。

リアル・グラフだけでは限界があるなら、バーチャル・グラフの繋がりも取り込む。

既に、ハウスパーティーで通話しながら一緒にフォートナイトで遊ぶ人もいた。

そして、ゲームのSNS化というのは、次にくる大きな波の一つだった。詳細は以前このnoteで書いたとおりだ。

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まだまだ続くぞ!疲れた人はここでいったん休憩しよう!

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エネルギーが有り余っている人はそのまま行っちゃおう!

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Meerkat、Housepartyがこの領域の先駆者となり、開拓していく中、他の様々なチームもこの領域に挑んだ。

インターネット黎明期にナプスター(音楽ファイル共有ツール)を共同創業し、音楽業界に革命を起こしたショーン・ファニングとショーン・パーカー。

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Napsterの興亡を描いた「Downloaded」というドキュメンタリ映画では次のように語られている。

ショーン・ファニング:
ナプスターについての話題は業界のみんなが緊張するけど、ショーン(パーカー)とはチャットベースのコミュニティ、IRC(Internet Relay Chat)で出会った。(そうゆうのが良いなと思っていたから)Napsterも作った。音楽を通して人と知り合う方法が欲しくて作った。時々そこが見落とされてたりするけど、僕らが提供しているのは、個人的な情報を共有し、同じ興味を持っている新しい人と出会い、会話をするための場だ。

ショーン・パーカー:
現実で人が音楽を発見する方法はまさにそれだ。自分と似た音楽を聞いてる友達がいたり、友達から全く新しい音楽を教えてもらったり、それでCDを買いに行ったり、みんなそうやって音楽を体験している。

Aaron Guadamuz(エンジニア):
僕が知る限り、メインストリームで人々がオンラインでソーシャル・ライフを送ったのは初めてだった。Napsterが解体された数年後にFriendsterが出て、Myspaceが出て、当然Facebookに繋がっていった。みんなNapsterをファイル共有サービスとして語るけど、あれはソーシャルの種だったと思う。

音楽業界からの強い批判を受け、ナプスターが解体された後、この二人のショーンは別々の道を歩む。ショーン・パーカーの方はFacebookの社長にまで上り詰め、映画The Social Networkにも出てくる有名人になった。

一度離れた彼らが2016年の頭に再び集まった。

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(画像はCNN Businessより引用)

そして、Airtimeというプロダクトをローンチした。Housepartyのようにグループビデオチャットで、かつYouTubeやSpotifyなど様々なコンテンツも用意されていた。

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(画像はTechCrunchより引用)

FacebookがBonfireというHousepartyクローンを出したりもした。

そして2016年12月にはAirpodsという革命的なデバイスが登場した。

2017年からは、多くの人がVTuber、TikTokに目を奪われている中、

国内外を問わず、次の音声の時代に向けてひそかにプロダクトを磨き込む人たちが出てきた。(僕もそのうちの一人だった。)

Dabelの井口尊仁さんはサンフランシスコで孤独を感じ、2016年の終わりに、babyという、非同期の声で知らない人と繋がるアプリをリリースされた。

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(画像はBRIDGEより引用)

babyは2017年にballという、グループで声で語り合うアプリに進化した。

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(画像はBRIDGEより引用)

そのballも程なくして、24時間で声の投稿が消えるソーシャル、音声版Snapchatとも言えるプロダクトに進化した。(かなりイケてるアプリだった)

そして途中からは「声」だけでなく、「音」のソーシャルっぽい可能性も模索するようになった。

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この度重なるピボットの延長で、非同期ではなく、同期的な音声配信アプリ、Dabelが生まれることになる。

声で知らない人と繋がれるアプリ、KoeTomoを運営する八尾憲輔さんが、アプリ上のユーザーが、「寝落ち通話」という言葉を使っていると言っていた。

(今では普及した言葉だが、中高生が通話を繋げたまま寝て、朝起きたらおはようって挨拶した後にはじめて電話を切ると言う行為だ)

国内で有名どころのVoicy、Stand.fm、Radiotalk、Pitpaあたりはとても早かったと記憶しているし、他にも、音声系のアプリはたくさんあった。世界的に見ても、日本は音声プロダクトでかなり先頭を走り続けてきた。

日本以外のアジアは中国のHimalayaだったり、Baiduが出したLisPon(日本ユーザー多い)、韓国発のSpoonなどなど。

2017年11月。日本の20代前半のチーム、Piconが出したプロダクト、トークルーム。友達と一緒に通話しながらYouTubeが見れるというものだ。

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(画像はpiconホームページより引用)

COOの渋谷 幸人さんは、アーティストがフォートナイトでライブをしているのを見て、こんなツイートをしている。

友達とYouTubeを一緒に見るアプリから始まり、People Firstとか、プレゼンスとか、常時接続の時代を最初から見据えていたことが伝わってくる。

2018年にはアメリカでTTYLという、Housepartyの音声版プロダクトがローンチされた。

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23歳のAusten Ma、25歳のAlex Maというこれもまた若くてイケイケのチームだ。

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(画像はForbesより引用)

2019年の頭には、2008年から今に至るまでFacebookの取締役に座っていて、後にClubhouseのリード投資家にもなることになるマーク・アンドリーセンが、これから音声が来るという考えを明かした。

2019年4月には米国ではビデオチャットをしながら画面共有ができるSquadなんかも出て話題になった。(後にTwitterに買収されることになる)

巨大IT企業も水面下では動き出していた。

アンカー(Anchor)というのは2015年にローンチされた、音声版TwitterとしてGoogle Venturesなどから出資を受けて注目されていたプロダクトだった。

アンカーはとことん音声ファーストを追求したプロダクトだった。例えば、耳にスマホを持ってくると、ボタンを押さなくても自動で録音が始まる機能があったり。

SNS領域の起業家たちがAcqui-Hire(買収を意味するAcquireと雇うことを意味するHireを組み合わせた造語)されて集結したFacebookのNPN(New Product Experimentation)チームが2019年の終わりに最初に実験したプロダクトも、みんなで一緒に同期的に音楽を聴けるアプリだった。

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(画像はTechCrunchより引用

過去noteで紹介した、mixiの作業通話アプリ、mocriなんかもある。

いろんなプロダクトを大量に紹介し長くなってしまい申し訳ないが、何が言いたかったというと、

同期型とか、音声とか、この辺に何かがあると、今までのSNSとは違う、より人間らしいコミュニケーションの形を感じた起業家/チームが、手探りであらゆる角度からアプローチし挑戦をした歴史があったのだ。

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疲れた人はまた休憩!

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ここから一気に最後まで駆け抜けます!

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そしてパンデミックのロックダウンの真っ只中に生まれたクラブハウス。

ここでいったん、Housepartyの話に戻ろう。Housepartyを登録したてのユーザーのUI/UXを見てみる。

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友達のBenからアプリの招待を受け取った。どんなもんか見てみよう。

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アプリをダウンロードするのに数分、アカウント情報を登録して、通知などの許可を与える。

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このへんからお茶目さも出てきて面白くなってくる。

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僕にこのアプリが一体なんのアプリなのかを見せて説明する前に、まずスマホの連絡先へのアクセスを与えるように聞かれる。

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そしてこの画面にたどり着く。

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何も起きない・・・。

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僕が知らないのは、その間に僕の友達全員に、次のような通知が行っていたことだ(Adrienが初めてHousepartyに入ったよ、Hiと言おう!)

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彼らは(通知から)アプリを開くだけで、

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僕と一緒に!

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僕の友達が部屋に入ると、その友達の友達にも通知がいき、パーティーに参加できるようになる。

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アプリを使い始めてからわずか1分未満で、既に二人の友達と楽しんでいる。

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「楽しい友達たちがウェルカムしてくれるのが、一番最高の体験だ。」

このバイラルの仕組み・・・ 似てる・・・似てる・・・Clubhouseに。

(Clubhouseを使っている皆さんはご存知の通り、壇上にスピーカーとして上がった瞬間に、全フォロワーに、「○○さんが○○さんと話しています」という通知が行く。登録したてのユーザーがいた場合も通知がきて部屋を作るように促される。)

似ている、それもそのはずだ。

Clubhouseとは何か?サービスの歩みと創業者(前編)によると、

シード・ラウンド(創業間もないベンチャー企業がおこなう資金調達)で、同社は少なくとも100万ドル(約1億円)を集めたとされ、The Informationによれば、以下の面々が投資家として加わっていた。

グループ動画チャットHousepartyの創業者ベン・ルービン
・以下略

このシード・ラウンドは2020年2月に実現している。

すなわち、2020年4月にClubhouseがはじめてローンチし、アメリカのスタートアップコミュニティでバイラルが起きる前だし、当然アンドリーセン・ホロウィッツが$100mnのバリュエーションで投資をリードする前だ。

Ben Rubinは、プロダクトの設計段階からアドバイスをしていたであろうことが分かる。

すなわち、Meerkat時代の失敗や、Houseparty時代の同期型プロダクトに関するあらゆる知見は全てClubhouseの創業陣に共有されているだろう。

ビデオで自分の日常を中継するのではなく、あくまで音声で、会話、議論、ディスカッションにフォーカスをしたClubhouse。海外旅行だったり、非日常的な経験をしていなくて、会社や家の中にずっといる人でも、自分が得意なビジネスの分野について考えていること、意見を言うことなら誰にでもできる。

有名人・メディア・ニュースでない限り、99%の人がライブ配信なんてしないというMeerkatが直面した課題を、Clubhouseはある程度突破している。

そして次にHousepartyが直面した、高校から大学に上がった時に、人付き合いに対する考え方も環境もスケジュールも変わってしまって同期的にコミュニケーションすることが減るという課題。

スケジュールが違くても、音声によって同期的に繋がるハードルはかなり下がっている。歯医者で治療を受けながら壇上で話している方もいたくらいだ。

そしてビジネスマンというのはティーンほど価値観や人付き合いが変わったりする年齢層ではない。ビジネスSNSから始めることで、Housepartyの課題もある程度解決しているように見受けられる。

JAFCOでライブ配信アプリSUGARの投資も担当した髙橋イリアさんに、高校生から大学生になった時の変化により、Housepartyのグロースが停滞したという話を去年した時、イリアさんは、

面白いですね。となると、僕はそこはやっぱりビジネスマンとの相性がいいと思っています。ビジネスSNSに可能性があるんじゃないかと。

と言っていた。

なるほど、確かにビジネスマンは日中は基本的に会社で働き、夜は家に帰るか、たまに飲みにいくかくらいのはずだ。会社員の生活リズムは似ている。

よって、コロナが収束したあとも、ビジネスマンは継続して使う可能性が高い。

そしてJosh Elmanも、以下のスレッドで紹介したように、Clubhouseは一過性では無いと考えている。

リアル・グラフをベースにしたSNSが、同時に同期型のプロダクトであった場合、若者からボトムアップで広げようとすると、どこかで行き詰まることも、Clubhouse創業陣は当然知っている。

実際にアメリカでも上位のクラブハウサーは、テック界隈のビジネスパーソンだ。

僕自身も使ってみて、ビジネスやスタートアップととても相性がいいなという感想を抱いた。

もちろんHousepartyのように、Clubhouseが高校生層に火が付く可能性も大いにある。特に日本は独自の進化を遂げていて、ビジネスのみならず芸能人や様々なエンタメコンテンツが日々膨れ上がっている。これを目当てに集まった高校生が、アプリ上で友達とのソーシャル体験をすることになんの不思議もない。

ここまで書いてきて、思い出されるのが、けんすうさんのこのツイートだ。

シリコンバレーは、プラットフォームがすごい作れる環境なんです。iOSとか、Androidとか、FacebookとかGoogleとかTwitterとか、全部シリコンバレーから生まれています。(中略)さらに、たとえば「FacebookやTwitterで、グローバルにサービスを広げたことがある経験がある人材」とか「各国の政府とやり取りをして、規制を逃れるためのロビイングができる人材」とかに関しても日本にはほとんど人材はいません。

シリコン・バレーの集合知とはエンジニアリング力のみならず、まさにこれだ。すなわち、C向けサービスのど真ん中でプロダクトを作り、酸いも甘いも知り尽くした人たちがプロジェクトに参画し、過去の点を繋ぎ合わせて線を描き、次の世代へと託した。

まるで、ゴールド・ロジャーや白ひげの船に乗っていた起業家たちが、脈々と流れ続ける "Dの意思"を受け継ぎ、次の世代に託すように。

画像17

(画像:漫画ワンピース 602話より)

音声SNS「Clubhouse」はTwitter登場時に似てるが、Twitterとは全く異なる」の記事にはこう書かれている。

明らかに、彼らは音声SNSの未来で大きな賭けに出ています。その勝者をClubhouseにするぞという関係者の強い集合意思が働き始めているように見えます。

ルフィーを海賊王にさせる、という関係者たちの強い集合意思。

そして、このような状況を受けて、黒ひげが黙っているはずもない。

画像18

(画像はVanity Fairより引用)

Twitterと連携したライブ配信サービスPeriscopeを作り、TwitterのAPIの使用も規制することでMeerkatを潰したように、Twitter Spacesでもう一度Clubhouseを潰しにくるTwitterのジャック・ドーシー。

Twitterはこのnoteでも紹介した画面共有アプリのSquadを買収し、チームごとSpacesに吸収した。

Twitterが買収先のSquadのサービス終了も発表していることから分かるように、「画面共有」や「コンテンツの同期的消費」だけではSquadはグロースの臨界点を突破できなかったことが分かる。

(※ 物語っぽくするためにTwitterがMeerkatを潰したと書いたが、実際はTwitterのPeriscopeがサービス終了したように、そしてMeerkatのインタビューからも分かるように、MeerkatはPeriscopeがいなくてもそもそも成り立たないモデルだった)

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そしてこれから日本勢はどう動くのか?

既に種はたくさん播かれている。

「優しいインターネット」を標榜するStand.fm。

Stand.fmはそもそもClubhouseは別物、別の空間だと感じている。

そしてバーチャル・グラフをベースにした通話コミュニティYay!

バーチャル・グラフに振り切るという判断は、Houseparty停滞の事例を見ても納得がいく。

そして過去にtoricagoさんと共同主催したnoteのお祭りで紹介した、

ゲーム配信を基軸に、「脈打つインターネット」を標榜するMirrativ。

最初は僕も実験的に覗いただけのアプリだったが、この時期にどハマりし、実は今でも毎日使っている。僕が所属するMirrativ内のスモールコミュニティは、完全に一つの居場所になった。

あるいはそもそもリアル・グラフとバーチャル・グラフを区別しないパラレル

パラレルのCo-Founderの青木穣さんにTwitterでその理由をきいてみたら、

区別していない理由として、SNSって匿名とか実名とかの論争って多いと思うんですが、そもそもFortniteとかRobloxとかってそういう次元ではなくて、アバターが存在しているから匿名と実名のちょうど中間みたいな状態になってるなーと思っています。

パラレルもまさにそんな感じで、別に匿名・実名とかバーチャル・リアルとか関係なくなってくると思ってるし、現にティーンはその区別もうしていないよねってところに張っていますね!

匿名でコメントされてもその人って存在感薄いけど、匿名のアバターにコメントされると存在感ちゃんとあるみたいな感じです。

パラレル運営元のReactの名前の由来は、

React Inc,は、「リアルの世界とバーチャルの世界をつなぐ」をコンセプトの元にし、「Real」「Connect」という二文字から、「React」と名付けられた会社です。

だそうだ。

ご覧のとおり、つよつよな投資家陣。

スクリーンショット 2021-02-06 23.06.45

(画像はReactのホームページより引用)

中でも作業ライブ配信00:00 Studioを運営しているけんすうさん、Stand.fmの中川綾太郎さん、VR/ゲーム領域の最前線にいる国光宏尚さん。

音声とか通話とか、常時接続の時代に向けて、全員が同じ方向を向いていることが分かる。

5年前の2016年に、「世界のIT企業をワンピースに例えてみたよ!」という記事の最後でこう書いた。

そこで、最後はNewspicksの言葉で締めくくろう。

10年後、
マーク・ザッカーバーグ、41歳。
ジャック・ドーシー 49歳。
ラリー・ペイジ、53歳。
ジェフ・ベゾス、62歳。
エヴァン・スピーゲル、35歳。

この10年で、また新たなスター起業家が誕生し、彼らを苦しめているに違いない

10年後どころか、同じ年の2016年に中国でTikTok/Douyinが生まれ、その後世界を席巻し、一部の国では月間平均使用時間がFacebookを超えた

4年後の2020年にアメリカでClubhouseが生まれ、世界を席巻しつつある。

C向けサービスはもう出尽くした。

SNSは起業家がやるには難しい分野だ。

いろいろ言われている。難しいことは間違いないだろう。

2007年にiPhoneが発売されてから、もう14年も立った。

それでも、スマホというデバイスでこれだけ新しいプロダクトが続々と出てくる。

5Gはもうはじまっている。

近年中にApple Glassが発売され、拡張現実の世界もくる。

VRも既にどんどん普及している。

コロナでそうだったように、

人々の生活はこれからまだまだ変わる。

Clubhouseでさえも、最後の終着点ではない。

C向けサービスは終わったどころか、まだ始まったばかりだ。

10年後に使われるプロダクトは何か。

10年後のSNSの景色はどうなっているか。

ここから逆算し、挑戦する起業家が必ず出てくる。

点と点は繋がっていて、未来に続く線になっている。

それを捉え、次の点を作る起業家が現れる。

10年後、
マーク・ザッカーバーグ、46歳。
ジャック・ドーシー、54歳。
ラリー・ペイジ、57歳。
ジェフ・ベゾス、67歳。
エヴァン・スピーゲル、40歳。
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ティム・スウィーニー 、61歳。
チャン・イーミン、47
歳。
ポール・デイビソン、50
歳。

この10年で、また新たなスター起業家が誕生し、彼らを苦しめているに違いない。

(終わり)

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最近Twitterも頑張っています!(@ishicorodayo

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↓HousepartyのインタビューやUIのソース

資本主義のビジネスの世界だとどうしても競争・勝ち負け・マネタイズという論調になってしまうが、そしてそれが良い循環を生むことも分かっているが、インタビューでBenが紡ぐ言葉を聞きながら、素直にHousepartyやClubhouseをはじめとするプロダクトと、その根底にある思いに敬意を示したいと思いました。TwitterやFacebookもしかり。

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