『寅さん』を3本しか観てない私だが柴又に行って来た①




十数年前。

桂文紅師匠に落語台本の書き方を教わっていた頃。師匠はこんなことをおっしゃいました。

「あんた、寅さん観てるか?」



師曰く、寅さんこと映画『男はつらいよ』は、落語そのものであると。

そやさかいに、寅さんは観ときや。

師匠にそう言われた時、実は私は寅さんを一本も観たことがなかったのでした。
 子供の頃から寅さんはしょっちゅうテレビで流れていたのに完全にスルーしていた。

寅さんといえば、 腹巻の男が毎回お騒がせをしてマドンナに振られる話、というぐらいの捉え方でした。 

雑すぎやろ。

ファンの方々には申し訳ないことです。

だってさー、寅さんというキャラクターをモノマネから知ったのも、よぉなかったんやで多分。(出た!俺は悪くない、悪いのは社会じゃねえか的に責任なするやつ)

昔むかし、昭和の時代。

モノマネ番組では必ずと言っていいほど誰かが寅さんネタをやっていた。
 

♪チャーチャララララララー チャーラーラララララララーン

あののどかなオープニング曲とともに、腹巻でつけボクロをつけた原一平が現れて「ワタクシ、生まれも育ちも葛飾柴又」とやる。

おん。

さらっと原一平って書いたけど。

モノマネ芸が今ほど進化していなかった時代、
 田中角栄といえば「ま、このー」だったし
 森進一といえば「おふくろさんよ〜」だったし

寅さんといえば「ワタクシ」だった。

原一平さんをはじめいろんなモノマネ芸人が、記号のように「ワタクシ」を共有していた。

だから私の中で寅さんってこんな感じやなと完結していた。

それ以上でもそれ以下でもなかった。

でも文紅師匠が「寅さん観ときや」とおっしゃるからには、 観とかなあかんよね!とTSUTAYAへダッシュしビデオを借りて来る。

でも、見始めるとものの数分で寝ちゃう。

なぜだかどうしてもあの世界観に入っていけんかった。

結局、返却日がきて返す→借りる→寝る→返すの繰り返し。

 文紅師匠、ごめんなさい。
あの頃、ふわっと話合わしてましたけど師匠がご存命中、私、とうとう映画一本もコンプリートできてなかったです。

ABCラジオ「 こころ晴天」で、大の寅さんファンの上沼さんと、スパイダマーン推しのシャンプーハットてっちゃんが、一生折り合いつかない映画論を戦わせる壮絶爆笑回がたまにあるんだけど。

当時の私が味方につくとしたら完全にてっちゃん側で。

上沼 「スパイダーマンは私、絶対途中で寝てしまうねん」
てつじ「なーんでなんスか、それ!」
上沼 「だって、クモの力もった人間なんて現実におるわけないやん?_」

てつじ「そんなん言うんやったらお言葉ですけど、寅さんみたいな人も現実にお るわけないスやん!?」
 上沼 「あなたはね。あなたは日本の古き良き心がわからないのか!?」
 からの舌戦へいくやつね。リスナーさんわかるよね。

そんぐらい私にとって寅さんはスパイダーマン以上におとぎ話の存在だった。

そんな私が、ある時ふと、深夜のBSでやってた寅さんの第1作目を観たんです。

今まで全く噛み合わなかった歯車がカチリとハマった音がして、
気がつけば前田吟さんの婚礼シーンで大号泣。
 渥美清さんもさることながら、吟さんのお父さん役の志村喬さんがヤバかった。

父と息子の心情を優しい目線で描いていてたまらんかった。

なんこれ。寅さんて、こんなええ映画やったんかーーーーーーい。

開眼。


遅すぎるがな(by 文紅師匠)



それ以来、改めて寅さんを観ましたよ。
松坂慶子さんがマドンナの回と、寅さんがお母さん(ミヤコ蝶々さん)を訪ねていく回と。

 2本だけかいな(by 文紅師匠)


合計3本しか寅さんを観ていない私ですが、先日、柴又へ行って来たんでございますよ。という話にやっと繋がりましたよ皆様方よ。


超新規の私を、温かく迎えてくれる柴又駅前の寅さん。


寅さーん。こっち向いて。



こうかい?



お兄ちゃんったら調子いいんだから。


あははは。1人旅って1人で遊びがち♪


そして。

帝釈天へ向かう参道へ。



おおおお!

映画のセットそのままやん!(3本しか観てへんけど)




とらや。



武蔵も来たぉ♡


あ。2015か。武蔵がはるたんと出会うだいぶ前やんな。





そんでもっていよいよババーン!帝釈天へ到着。

さてさてこれから物語は面白くなってくるんですが、

ちょうど時間となりました。

『寅さん』を3本しか観てない私だが柴又に行って来た①、まずはこれまで。

②へつづく。

どんな切り方や(by 文紅師匠)



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