ある日のこと(とうもろこし)

「わからん。」

と思ったとき、その声色は二通りある。
わかりたいぜ〜〜〜!と、わかりたくないぜ〜〜〜〜!のふたつ。今ね、唐突に「わからんし、わかりたくない」と思った。
心底わかりたいと思える世界があるんだから、そこで生きる時間をもっと増やせるようにするのが、今年の一番の仕事だよなぁ。

お正月の連休最終日。
中学校のときの部活の顧問の先生から、電話が来た。どうやら昨年の秋頃に地元でわたしを見かけた別の先生がその顧問の先生にそれを伝えたそうで、「はて、なんでこの時期に地元に?何か不幸でも?」と気になったそうだ。
実はさいたまから移住してきましたと伝えると、早く言ってよ〜〜〜と先生はごきげんだった。お酒を飲んでいるんだろうけど、ごきげんなひとと目的のない電話をするのは好ましい。還暦を過ぎても先生はまだまだ元気だそうだ。今年のうちには会いに行こうかなぁ。

この先生に言われた「作家になりなさい」「お前は誠実」のふたつの言葉をわたしは14歳の頃から大事に抱えている。お守りのようなものだ。陸上部のキャプテンだったわたしに、文学の話をしてくれたひと。

担任でもあったから、我が家の家庭の事情を知ったうえで「お父さんにいっぱい甘えてください」と年賀状に書いてよこしてくれた先生。それを読んだ母がどんなふうに思うかまでも、考えてくれてただろうと今は思う。

先生に会って言いたいな。わたし、今も書いてますって。

今日のわたしは全く使い物にならなくなっている。
昨夜は3時に布団に入って朝、ほとんど眠れてないまま起きて子どもを保育園に送り出し、玄関からそのまま布団に戻った。寝ようとして目を閉じても頭の中が忙しい。こんなときは深呼吸だと思うけど、息を吐ききれない。苦しくて浅い呼吸のまま、少し眠って、仕事だ…とスマホを握る。けれどわたしはスマホを握ったまま、何もできずに布団に転がっていた。もうさすがに労働せねば、と思い、気合いだけで起き上がった。
廊下を歩くさまが異様だったみたいで、夫に突っ込まれる。最大限に気力を振り絞って歩いたのだけど、デスノートに出てくる悪魔みたいな歩き方だったと自覚はしている。
パソコンを机に持ってくるのも一苦労。服を着替える元気もないのでパジャマのまま仕事をし始めた。カスみたいな脳みそで仕事を進める。いよいよ元気がきれそうだったけど、スタバに来たら多少は背筋がのびた。けれど、音楽が頭に入らない。雑音にまとわりつかれている感じで、やっぱり本調子とはいかないんだった。

低気圧ってすごい。強い風でいろんな物が舞い上がるなか、春の嵐の後、気圧がぐんぐん上がるところでわたしの身体はどんどん地面に近づいてる気がする。重い。重いよ。

あれはなんだったんだろう。次の日にはわたしは悪魔ではなくなっていた。腕と足が異様に伸びて、更に背中も丸まっていたような感覚だったけど、次の日の朝には、しゃきっとしたのだ。これが、ふつうだよなぁと思う。

ああでも、やっぱり姿勢は悪いかも。胸をはって、みようかしら。

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