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#11_『写真』×『短歌』 I-Screen Meet

皆さん、こんにちは。I-Screenのmochi(以下、M)です。
熊本で「私から発信する」のコンセプトを基にさまざまな活動に取り組んでいます。
今回はI-Screen Meetと題しまして、お二人のクリエイターの方にご協力いただき、『短歌』×『写真』をテーマとし、合同で作品を制作いただきました。
対談形式で作品の紹介や、制作の裏話などをご紹介します!

それでは、本日は宜しくお願いいたします。

まずは、それぞれ自己紹介をお願いします。

歌人:姉川さん(以下、姉)

姉:姉川といいます。中学2年生の時に短歌を始めました。説明ができないような綺麗な短歌を作ることを目標に活動を続けています。よろしくお願いします。

M:ありがとうございます。姉川さんは以前インタビューをさせていただきましたので、もっと知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。

フォトグラファー:アヤカ(以下、ア)

ア:アヤカです。写真は去年の10月頃から始めました。これからもいろいろな写真に挑戦したいと思っています。よろしくお願いします。

M:よろしくお願いします。アヤカさんの方は一度ラジオにも出演いただき、写真のこともいろいろお話をしていただいています。興味がある方はこちらのラジオもどうぞ。

M:今回はアヤカさんに撮影した写真を提供いただき、その写真に姉川さんの方で短歌をつけていただき、新しい作品として制作いただきました。本日は3作品をご紹介します。

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Artwork No.1

たびのため可憐な蝶になる君は花の香の素を探しきれない_4

たびのため 可憐(かれん)な蝶になる君は 花の香(か)の素(そ)を探しきれない

M:早速ですが、姉川さん作品の説明をお願いします。

姉:こちらの写真から、旅行先で衣装を借りて撮影したことを想像しました。足元を見ると、足袋(たび)を履いていて、「旅」と「足袋」を掛詞(かけことば)にできるなと思い、「たび」は平仮名で表現しました。雰囲気からも昔を感じられたので、今はあまり使われない掛詞があうかなとも思いました。
 あとは花柄の美しい着物だったので、蝶々が寄ってくる様子も表現したいなと思い、このような歌になりました。

M:写真からの連想が素晴らしいですね!アヤカさん、こちらはどのように撮影された写真だったのでしょうか?

ア:こちらは今年の成人式で撮影した写真です。いろいろな振袖姿の方がたくさんいたので、おもむろに撮影した写真です。

M:今回写真に歌をつけていただきましたが、何か印象は変わりましたか?

ア:「たび」を掛詞にするとか短歌の知識はあまりないのですが、短歌にすることによって、写真のいろんな見え方が変わってくるのが面白いなと感じます。

M:そうですね。写真は瞬間を切り取るものなのでそこにストーリーはないのですが、歌がつくことで写真のイメージが広がって面白いですね。姉川さんが短歌を作る際に、意識していたことはありますか?

姉:写真は写真として素晴らしいものがあったので、写真に見えないものを持ってきたいなと思ったんですよね。そしたら、匂いは写真では伝わらないなと思って、下の句に「香」を加えました。そうしたら蝶々が寄っていく様子も自然と結びつくので。

M:確かに。写真に見えない部分が含まれているから、写真のイメージがより伝わってきてたんですね!

ア:匂いのことを短歌にすると、写真の生々しい様子が伝わってきて、私もいいなと思いました。

M:はい、ありがとうございました。それでは次の作品に移りたいと思います。

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Artwork No.2

雪も積もらぬ細木同じく庇梅の実を持つ子を握る父_3

雪も積もらぬ細木(さえぎ) 同じく庇(ひさし) 梅の実を持つ子を握る父

M:こちらも歌の解釈をお願いできますか?

姉:はい。情報量がすごく多い写真だったので、自分が一番目に映ったものを切り取ろうと思ったのですが、私は「人」がポンと出てきました。
 寒そうというイメージと、女の子が手につけている赤い手袋から、冬を越す植物を連想して、梅の実に結び付けました。この「実」という言葉は蕾という意味でも使っています。
 全体的に雪は降っているのですが、積もる場所が限られていて、その様子も歌に表してみています。

M:なるほど。情報量が多い中で、写真の様子が31文字の中にぎゅっと詰まっている感じがします。アヤカさん、こちらの写真はどのように撮影されたものですか?

ア:この日は珍しくすごく雪が降っていたので、雪の写真を撮ろうと思って外に出かけました。
 すると、可愛らしい親子が歩いている姿を見て、冬だけど心が温かくなるな~と思って、この情景を写真に収めようと思いました。
 親子が歩いて向かっている場面を撮りたかったので、少し引きで撮影しましたね。
 
M:私もこの写真を見て、枯れ木や雪のある寒々しい風景の中に親子の温かさを感じる、両者の対比が素敵な写真だと思いました。

姉:私は、歩いて向かっているという動作にはフォーカスできていなくて、握る、というところにいっていました。歌を作る際に、もう少し動きを表現できたらよかったな~と後から思いました。

ア:写真というのはパッと見て、どこに目が向くのか人それぞれ違うんですが、歌がつくことによってどこに注目しているのかという意図が伝わるのでいいなと思いました。また、「握る」という言葉だったり、手袋を「梅の実」に表現していたり、とても面白いなと思いました。

M:歌があることで親子にフォーカスがより当たりますね。

ア:質問なんですけど、短歌ってどんな時に作るんですか?写真を見て短歌作るのはすごく難しそうだな~と思ったんですが、、、

姉:正直、写真をテーマに歌を作ったのはこの時が初めてでした。やってみて、自分は結構苦手な方だなと感じていました(笑)。
 一週間写真をじっと見ても歌が何も浮かばなくて、逆に一週間写真を見ない週を作ったんです。そうすると写真の不鮮明な部分ができるんですよ。赤い手袋も一週間見ないと忘れていて、だからここにフォーカスを当ててみようって感じで歌を作り始めました。
 すごい鍛えられましたね(笑)。

M:なるほど。とても興味深いお話をありがとうございます。
 アヤカさんは作品としての写真を撮る時はどうやって撮影していますか?

ア:私はお店に行って食事をすることが多いのですが、この食べ物を他の人にも紹介したいな~と思ったら、その食べ物が良く映えるように、作品として撮影します。
逆に今回のように歩いている時の写真は、たまたま見つけた瞬間を自分の感性で撮影していますね。

M:常にカメラを持ち歩いているからできることですね。短歌はメモさえできれば後から作品を作ることができるので、そこは短歌と写真で違うところですね。
 次が最後の作品になります。

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Artwork No.3

返信が遅れる君は目の前の冷たいスマホを暖炉に変える_3

返信が遅れる君は 目の前の冷たいスマホを 暖炉に変える

M:では、こちらの歌も説明をお願いします。

姉:実はこれが一番最初にできた作品で、写真を見て、10秒、15秒で出来た歌です。
 
M:もはや反射神経ですね(笑)。

姉:そうですね。すぐに出来た歌はその新鮮さを残せるように、あまり手を加えないようにしています。

M:なるほど。歌にも鮮度みたいなものがあるんですね。不思議です。歌の詳しいところを教えてもらえますか?

姉:はい。この写真は手とスマホと台にピントがぱっと合っていて、手の人物が見ているのと同じ状況、、、スマホに集中している様子を表しているなと思いました。そんな中、スマホには何も映っていなくて、冷たい感じがするけど、手は暖炉にかざすように見えて、、、
 短歌を作る時間よりも今話している時間が長いので、後付けの理由でいうとそんな感じだと思います。(笑)

M:本当にいろんな作品の形があるんですね。アヤカさん、この写真を撮影された時のことを教えてください。

ア:この時は、この手の人物と一緒にご飯に行ってたんですが、手の動きがエロかったというか、素敵だなと思って撮りました。(笑)

M:さすがに、姉川さんの歌のような状況ではなかったですよね。(笑)
 こちらも短歌がついていかがでしたか?

ア:めちゃめちゃいいなと思いました。
 ただのこういう写真に物語性ができて、全然違う写真に見えて面白いと思います。

姉:なんか写真を撮った時の意図を聞くと、自分がすごいロマンチストみたいなこと言ってるなって思ってしまいました。

M、ア:wwwwww

M:一般的には歌が先にあって、それに合わせて絵や写真がつくと思うので、その逆をすることでよりよい創作活動になっていると思います。歌が変わるときっとまた写真の印象が変わるでしょうね。

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M:ここまで作品を3つ紹介いただきありがとうございました。
 お二人とも初挑戦のことだったと思いますので、最後にお一人ずつ感想をお聞きしたいと思います。
 姉川さんからお願いします。

姉:写真には写せる枠が決まっているように、短歌には31文字という枠があって、写真の中にピントが合っている部分と、あっていない部分が1枚の中にどちらも絶対あるように、短歌の中にもはっきり表現する部分とあいまいにする部分があって、短歌と写真はとても似ているなと感じました。
 私は今回、写真のあいまいな部分に注目して歌にしてみようと思って挑戦しましたが、歌に対する考え方に変化が得られたなと思います。
 短歌はどうしても文学なので、そうでない芸術の分野と関われた今回のような取り組みはとても楽しかったです。ありがとうございました。

M:ありがとうございます。アヤカさん、お願いします。

ア:私はただ写真を提供しただけなので、意図とかをめちゃくちゃ考えた訳ではなかったのですが、人の捉え方や見方によって写真自体に物語性が生まれたり、フォーカスする場所を変えて歌を作っていただけて、写真に対する幅が広がりました。

M:ありがとうございました。
今回、作品の提供だけでなく、インタビューにご協力いただきありがとうございました。
お二人のこれからの作品にも期待しています。

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<本日のゲスト>
姉川さん
Twitter:https://twitter.com/anegawa0822
note:

アヤカさん
Instagram:
https://instagram.com/fox__1__a.t?igshid=3posf343j0o1
https://instagram.com/fox1.photo?igshid=hdj9b9u18iu

一緒に作品を制作いただける方やインタビューを受けて下さる方を募集しています。
記事を読んで下さったみなさん、ありがとうございました!


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