見出し画像

23 切ないハロウィン

ハロウィンの夜、僕は仕事終わりで、渋谷のホームに立っていました。周りにちらほらと仮装した人がいて、「今日も渋谷の交差点は騒がしかったのだろうか」と思いを巡らせていました。

僕自身は、お客さんからお菓子をもらったりしたので、それだけで十分ハロウィン感を味わいました。それでハロウィンが終われば良かった……

乗り場に並んで電車を待っていると、近くの階段からピエロのメイクをした長身の男の人が現れました。真っ白い顔に、赤や緑の模様。服は血に染まったシャツです。当たり前ですが目を惹きます。

『ジョーカー』がやっているからか、そういえばピエロメイクの人が他にもいました。今年はやっぱりこれなんでしょうか。

気になってその男の人をちらっと見ると、なぜかとても悲しそうな顔をしています。片足立ちで、ぐったり疲れているようにも見えます。でも、格好がピエロ100%です。

「バッチリ仮装してなんでそんなに悲しそうなの!」と内心ツッコんでしまいました。しかもピエロのメイクのせいか、余計に悲しそうに見えます。

どうせなら楽しそうな仮装が見たい、と言ったら完全に僕のわがままですが、せっかく賑やかな場所に賑やかな格好で来たのだから、もう少し楽しそうにしても良いんじゃないかと思いました。

ピーク・エンドの法則により、僕の今年のハロウィンの思い出は、最後に見たあの悲しそうなピエロさんです。あの人に一体なにがあったのか。ちょっと案じてしまいます。今年のハロウィンは、んー、切なかった。

気に入ってくださいましたら、ぜひお気持ちを!