見出し画像

68 久しぶりの友達と忘年会

めちゃくちゃ久しぶりの友達に会って忘年会をした。学生時代からいつも一緒にいた友達なので、会っていなくても関係が切れるようなことはないくらいの友達なんだけど、やっぱり会うと緊張というか、一緒にいた時の空気感を思い出すまでに少し時間があった。

髪型もだいぶ変わっていて(今までに見たことないくらいの短髪プラス後ろでちょい結びというなんとも前衛的)、声のトーンが今まで聞いたことないような響きになると、それだけでなんか別人のような感じがしてピリっと気が一瞬揺れた。なんてことない瞬間なんだけど、大人になったせいかそういう空気の違和感に敏感なのかなと思うと感慨深い。

その後もう一人スーツを着た友達が仕事帰りに合流して(この3人で会うことが多かった)、しばらく話していたらあっという間に前と同じ空気に戻った。バカな話をいくつもして、店で一番の大声を出しながら(迷惑(笑))、久しぶりにお腹が痛くなるくらい笑ったりもした。

自宅の最寄りの駅からここに来るまでのひとりの道で感じたけれど、こんなにワクワクしながらどこかへ向かうのっていつぶりだろうと思った。楽しいことはもちろんいっぱいあるけれど、なんというか、心の底から、気が疲れることなく、不安なく、そんな感じでただ「楽しい」へ向かう感じ。

「友達」というのは人間関係の一種なのかもしれないけれど、僕たち3人の間を友達と言うのは(もちろん親友と言うのも)なんか違うというか、呼びようがない、つまり逆に言葉の方がチープになってしまうということなんだけど。その、3人の間にあるものってなんなんだろうと、今ふと考えてみてる。答えはきっとないし、言葉にした瞬間きっとそれも違うと思ってしまうんだろう。

自分の妹の存在もそうだけど、多分僕の中で、この人とは縁とか絆とか、そういう「間」が生まれるような関係じゃなく、自分の中にちょっと取り入れちゃってるくらいの感覚があるんだろうなと思う。自分の一部にかぶさりかかっている感じ。

ここまでの関係はとても貴重だなあと思う。今から新しく作るというのは多分ほとんど無理なんじゃないかな。僕にもある程度の防壁が出来てしまったし、自分から相手の懐に入るのも勇気のいることだし。

逆にそこまでいってからお別れになってしまった関係も過去にあったな。そのお別れはとてもとても悲しかったし、文字通り自分を切り離すような痛みがありました。

何度も話していることなんだけど、中学生の美術の授業で粘土を扱うコマがあって、粘土と粘土をくっつける時のことを教わった。水に溶けるタイプの粘土だったので、くっつけたい面と面に水をつけると溶けた部分同士でやがて接着されるというものだった。で、それだけではなくて、僕が今でも面白いと思って覚えていることが、面と面がまっ平らなまま水をつけても強度はイマイチなので、お互いの面を細い棒で引っ搔いて一度傷をつける。面にできたいくつもの溝が噛み合う形でくっつけば強度も高くなるという教えだった。

これはつまり人間関係でも同じなのかなという話で、礼儀正しくきちんとした態度では、いつまで経っても「その程度」の関係で、やはりそれ以上の関係になりたいのであればちょっとツッコんでいく必要があるな、と。思い切った冗談を言ったり、ちょっと茶化してみたり、イジワルしてみたり。

そういうのがうまい人っているよなあ、懐に入るのがうまい人、僕はあんまりそういうことができないから憧れるなあ、と思うと同時に、最近はちょっと違って、僕は結構人を選んでいるのかもしれないと気づいた。交友関係を広く、ツルむのが好きという人は人を選ばず仲良くなろうとするけど、僕は多分作品作りへのこだわりとかと似ていて、人に対しても選り好みを自然としているんだと思う。

なんか、こういうとすごく嫌な人間に思われるかもしれないけど、僕はなんだかんだ自分への自尊心というか、自分の潜在能力に期待を多いにしていて、その分「自分が興味を持てるほどの何かをもっているか」みたいな視点で人を見ている気がする。本当は人ってそれぞれ面白くて何かしらのエピソードがあるので無下にしてはいけないんだけど(そのつもりももちろんないんだけど)、自分の「好み」という画角に初めから狭めて過ごしているからか、面白い人はいてもその画角に入ってこない。厳密に言うとそういうことなのかもしれない。取材能力としてはあんまりよくないね。

ちょっと話がそれるけどふと今「審美眼」という言葉が浮かんだ。審美眼という言葉は、美を見極める能力のことだと辞書に書いてあるけど、審美眼のその眼自体の画角、視界の広さ狭さもひとつの重要な基準なんだと気づく。どんなに優れた眼でも視界に入ってこなければ見極めようがないものね。

まあ、ということで、今日はなんの話をしてたんだがブレブレではあったけれども、とにかく良き友達と良き時間を過ごせましたということで。良い年末を過ごしています。みなさまもよい年末を。

ちなみに、サムネの写真は今年じゃなくてだいぶ前のものですが、映ってるのは会った友達のひとり。ちょうど顔が隠れているから(笑)良いかと思ってあげちゃった。こういう仲です。

気に入ってくださいましたら、ぜひお気持ちを!