金本位制への信仰は非常に強固だった ゴールド93
1870年代を通じて国際的な金本位制が確立されたおかげで、投機、過剰投資、過当競争などから生じる避けられない危険を大きくせずに済むことができた。
それは何故なのか?
各国の中央銀行
あらゆる危機、災難が噴出しそうなとき、その危険信号の役目を金の流出が果たした。
そして、中央銀行はその危険信号を感知すると、利率を上げることで即座に防衛行動をとることができた。
それでも金の流出が止まらなければ、各国の中央銀行が協力しお互いを助け合った。
そして、より大きい民間金融機関と各国中央銀行が協力することもあった。
信頼性は問題とならなかった
危機に直面したとしても、各国間の信頼性は問題とならなかった。
各国間で安全が守られるため、信用貸しの返済が可能となり、返済することで信頼性が回復し、それによって体制全体の機能が維持された。
しかし、これらの便宜は強国の間だけで図られていた。
周辺の国々 -合衆国を含む- に便宜は図られず、金銀の蓄えが底をつくことも多かった。
金本位制は宗教
各国は、金本位制への信仰は非常に強固だったので、それぞれが思い切った手段をとることができた。
特別な場合 -ほとんどが戦時- に自国通貨と金との交換を一時的に停止しつつ、そして何も起こらなかったように事業を続け、最終的に金本位制へと戻った。
自国通貨と金との交換を一時的に停止することによって退蔵している金が保護され、危機が去った時に金本位制を放棄しないで済むということを誰もが理解していた。
これらの先例は、1925年のイギリスの金本位制への復帰の決定に大きな影響を及ぼした。
第一次世界大戦のあいだ停止していた金との交換を同じ比率で再開するという以外のどんな方針も、これらの先例のおかげで考慮されることはなかった。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン
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