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ゴールド 67 イングランド銀行の創設

イングランドでの大規模な改鋳開始に先立ち、1694年にイングランド銀行が創設されていた。

ウイリアムⅢ世はフランス王ルイ14世との戦争で多額の負債を抱えていたため、その負債を賄うためにイングランド銀行を創設した。

イングランド銀行は政府に120万ポンドを8%という妥当な利子で貸付け、その代わりに民間の最初の有限責任会社、いわゆる株式会社として事業を行うことが認められた。今日の銀行制度はこのころに確立されたこととなる。


だがイングランド銀行創設も周囲の大きな動きの中ではささやかな動きに過ぎなかった。1688年の名誉革命により、ずっとイングランド王政につきまとっていた宗教問題がついに解決し、イングランドはようやく国家としての発展に本腰をいれることができるようになった。


そして、イングランド経済全体に掛け売りが急速に広まると、当然ながら物価は高騰した。物価高騰の影響はあらゆる商品におよび、それは貴金属にも広がり、そして、生まれて間もない株式市場には投機の波が押し寄せた。

この高まる投機の熱はギニー金貨にまで及んだ。

ギニー金貨はシリング銀貨20枚に相当する金で作られていたが、銀貨は質が低下し続けていたため改鋳が実行されるという噂がいたるところに流れていた。

今日の人々もそうだが、状況が不確かなときには「より質の高いもの」に人々は飛びつく。人々は銀貨をギニー金貨に換え始めた。たとえ不利な条件でギニー金貨に換えることとなっても資産の価値を守ろうとしたのである。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン


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