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君死にたもう事なかれ ロンドン封鎖日記⑨

ほろびずとても何事ぞ。

封鎖緩和と共になんだか冬が戻ってきて、寒いので敢えてまた引き篭もっています。幾つかの職種が仕事再開、今のところ大きな変化もありませんが、世間が若干リラックスしてきている空気を感じる今日この頃。

地球全体がネガティブオーラに包まれてる2020年。なんだかみんな怯えてるし、その反動でやたら怒ってる人も多いし。たまにはポジティブなニュースのひとつくらいないのかと思ってたら、日本からこんなん来ました。

『厚労省まとめ、4月の自殺者が前年比20%減。過去5年で最大の減少幅。』

世界中の人々が、破産失職おマンマ食い上げで首括ろうかって時に、敢えて逆へ行く相変わらずの日本です。

「あらゆる悩みはすべからく人間関係に起因する」とはアドラー談でしたか。通勤通学、職場や学校での対人ストレスが無くなって絶望回避とか、いかにも日本ぽいです。しかしその分、非常事態解除と共にメガ五月病襲来か。Twitter社は希望者に永久在宅勤務許可を出したらしいですが、もしこの傾向が持続するなら、自粛や在宅は意外と日本人を幸せにする鍵なのかもしれない。引き篭もり大正義。オタク大国でオタクスキルを活かさずしてどうする。

逆に引き篭もらない系の人達にとっては今は本当に辛い世の中です。多動的な人達は欲求不満過ぎてSNSで全方位に喚き散らしてる感。イギリスは「2ヶ月で死者3万人」なので封鎖やむなし感はありますが、日本みたいに被害が少ない状況では理不尽感も増すでしょうね。まあアメリカ8万人みたいなワーストケースの発生実績がある以上、日本としても安全の科学的実証が必要なんでしょう。カミカゼ抗体は今のところ制御不能の神秘の魔法です。

しかしまあ人間てのは難しいもんですね。関わらなければ孤独で死ぬ。関わってもストレスで死ぬ。経済が止まっても死ぬ。何かっつーとすぐに絶望しちゃうつくづくセンシティブな生物です。

〜〜

合わないカタチに押し込み続けて、気付けば世界ワーストクラスの幸福度、トップクラスの自殺大国。

戦中戦後からバブルに至る間で完成された「24時間戦うジャパニーズサラリーマン」はまさに昭和の呪いの顕現です。全員がひとつの目的を目指す単純化された環境下では、教育も労働も画一的でシステマティックな統一フォーマットが効果を発揮します。しかしそれは同時に個性の抹殺でもあり、イノベーションを阻害するばかりか、ひとつの致命的欠陥による全滅のリスクを高めるものでもあります。

とかく無個性みたいに言われがちな日本人にだって色んなタイプの人がいて、それぞれ能力を発揮できる環境も異なる訳で、どっちかをどっちかに無理に合わせるんじゃなく、住み分けてどっちも活かしてこそ高幸福度の明るい未来がやってくる。それが本来の適材適所ってやつで、それが多様性社会ってやつです。単一民族集団主義国家である日本はその辺の経験値が圧倒的に不足しています。今回のコロナパニックだって、(不謹慎な)見方によっては日本はまた経験値を得損ねたと言えなくもない。

平成という時代は、昭和の呪いに抗いつつもズルズルと食い殺されましたが、令和は(意図せず)いきなりジェットブーストでブッ飛ばしています。この初速を生かして今度こそ呪いを断ち切る事ができるのか。止まらず行っちゃえ、このままブッちぎってしまえ。

そして願わくば誰も絶望する事のない世界を。誰もが個性と能力を発揮できる環境を。

この世ひとりの君ならで。


xx

いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨