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噂を信じちゃいけないよ ロンドン封鎖日記⑤

いつでも楽しい夢を見て生きているのが好きなのさ。

コロナ第7使徒COVID19、通称コビちゃんについて、僕らはまだ殆ど何も知りません。わからない事ばっかりで、次々生まれる変な噂の数々に僕らは毎日振り回されっぱなしです。

“感染力は強いが症状は人によってピンキリ。潜伏期間は長いが発症後は爆発的増殖。稀に得体の知れない意味深な症例を出す。”

それはまるで、人懐っこい割には相手によって態度をコロコロ変える、シャイなようでいて実はハードコアなパリピ、時折サイコな奇行を見せる、かなりトリッキーなエキセントリック転校生みたいな。

この正体不明の新人コビちゃんについて、色んなとこから色んな噂が出ていて、集めてみると結構面白い。僕らがどれほど何もわかっていないかを検証できます。

【コビちゃんの実態把握】

コロナ関連で現時点で実証されているのは、「たくさん検査」して「感染者を隔離」すれば感染拡大を抑えられるという、小学生でもわかるレベルの事実だけです。実際この初歩的セオリーを実直に守っている中国、韓国、ドイツは比較的事態制御に成功しています。

「検査数」

基本的にはPCR検査の実施数が検査数となる訳ですが、検査法の統一基準はまだ確立されておらず精度は不完全です。どの国も検査数は増えてきてはいますが、全人口比率で言えば微少過ぎてデータとしての有効数に達していません。達しているのは韓国くらいじゃないでしょうか。

「感染者数」

検査した中で陽性となったケースが感染者数になる訳ですが、全体の総感染者数はデータに基づいた推測値になります。なので「実際は2倍いる!」とか「10倍!」とか計算法によって推測値がコロコロ変わります。

「死亡者数」

死亡者数は(普通は)隠せないので比較的正確なデータですが、過去の死亡者の中の隠れ感染者や未発見の死者のカウント漏れの可能性もあるので、やっぱり完全ではありません。

結局のところ、正確な実感染者数を知るためには全国民を検査しなければならない訳ですが、とりあえず検査数が増えれば、実感染者数の推測精度も高まっていきます。逆を言えばこの基本となるビッグデータがなければ、解析も推測も対策の方針設定もできません

「感染率、発症率、重篤化率、致死率」

前途の推測値に基づく更なる推測値として導き出される数値なので、データが少ない状況では極めて低精度のフワッフワ数値と言えます。

感染者の数、場所、年齢、性別、どれも全てが不確実で、現在はまだデータ収集の真っ最中な訳です。「致死率0.2%」とか「8割は軽症」とか「若者は大丈夫」とかは現状のフワッフワ推測値に過ぎないので、鵜呑みにするのは危険です。そんな状況下で日本では「検査を制限する」という、通常ではあり得ない方針が取られたため、実態把握と推移追跡、推測が困難となりました。なので世界各国のデータや症例を参考に対策を立てている訳です。

【コビちゃんの生態調査】

インフルエンザの15倍の長さのRNAを持つと言われるコビちゃん。今のところ感染力、増殖力もインフルより強そうです。一般的には、コロナは寒くて乾燥している環境で活発化し、世代を重ねるごとに弱毒化すると言われていますが、コビちゃんに関してはこれもまだわかりません。トロピカル地域でも元気いっぱいです。

「症状1: 風邪」

倦怠感、悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、味覚臭覚異常、空咳。人によって症状の大小があり、無症状の場合も。治癒後の再感染例なども出ています。

「症状2: 肺炎」

症状1が進行すると肺炎を起こします。それが重篤化すると呼吸困難となり呼吸器や人口肺が必要になります。低酸素症を起こしているのに自覚症状のない「サイレント肺炎」なる症例もあるらしく、軽症だと思われたものが突然重篤化、発症から2週間前後で一気に死に至るケースもあるようです。

「症状3: サイトカインストーム」

免疫系の暴走で炎症が広がり多臓器不全に陥るケース。コロナ一族はHIV系列の祖先をもつウイルスらしく、免疫系に作用するような症例も多いようです。

「症状4: レアな特殊症状」

神経系・脳への感染で痙攣、認知・記憶障害の症例。肌の黒色化の症例。猫や虎への感染例。色々トンデモ系の噂も出ているようです。

症例がかなり多岐に渡っていて殆ど何でもあり病です。免疫の弱い高齢者や基礎疾患をもつ人は、基本どの病気に対しても弱いのは当たり前なんですが、誰がどういう理由で重篤化するのかもまだわかっていません。1ヶ月半で5万人のアメリカ人を殺したウイルスを「インフルと大差ないただの風邪」と言い切ってしまうのはさすがに少し無茶な気がします。反自粛とか経済最重視な人達の気持ちもわかりますが、僕はよくわかっていないものに自分や家族の命はかけられません。なのでもう少し様子を見守って、データ蓄積がコビちゃんの正体を暴くまでの時間を稼ぎたいと思う、どちらかといえば慎重派です。

【コビちゃんの出身地】

コロナ一族はコウモリを宿主にしている事が知られていて、ヒト感染のコビちゃんが最初に確認されたのは中国武漢市と言われています。が、キンペーちゃんが色々隠すので、出身地はまだ特定されておらず詳細もよくわかっていません。コビちゃんが天然ウイルスなのか、HIVハイブリッドの強化ウイルスなのかも学者によって見解が分かれています。

「武漢海鮮市場説」

最初のクラスターが発生したと言われる市場ですが、この市場にコウモリは売られていないだとか、市場に無関係な初期クラスターがあるだとかの情報から、第一感染の場所は別にあるのではないかと言う雲行きになってきています。

「武漢ウイルス研究所説」

海鮮市場から32km離れているこの施設では、衛生・軍事目的でウィルスの研究が行われていたと言われています。何らかの手違いで、未完成のウイルスが漏洩してしまい、海鮮市場で拡散したと。しかしこの施設内で該当のウイルスはデジタルデータのみだったという情報もあります。米軍も数年前から注視していた施設であり、ノーベル賞学者の発言も含めて米国のプロパガンダである可能性もあります。

「武漢疾病対策予防センター説」

海鮮市場からほんの280mにあるこの施設には、実際に実験用動物が保管されており、セキュリティも杜撰だったという話です。もし軍事目的だったとしたら大自爆です。つーか武漢どうなってんだ。バイオキャピタルか何かなんでしょうか。あっちではウイルスも漢方のノリなのか。「自国民を使い、WHOをも取り込んでわざと世界拡散させた」とかいう陰謀論も、なかなかブッ飛んでて好きです。

「米軍持ち込み説」

中国の人口削減や経済的打撃を与えるためのショックドクトリンとして開発されたウイルスが、米軍によって武漢に持ち込まれた説。中国側からのプロパガンダですが、これまたなかなかドラマチックで映画1本作れそう。もしこれが本当だったとしたら米国も盛大な自爆な訳ですが、しかし真相は深い闇の中。

【奇跡の一族】

そんな謎の転校生コビちゃんですが、日本での状況はかなり特殊です。ヨーロッパ基準から見た日本の対応は本当にもう正気を疑う無防備さに見えるんですが、日本人の死亡者数が、その人口分布や年齢分布、地政学的にも他国に比べて圧倒的に低い事実が、各国の専門家を困惑せています。というか日本人自身も困惑してます。誰にも理由がわからないので、ホルホル自賛して良いものなのかもよくわからず、更なる憶測や噂が生まれています。

「人種説」

日本人は1万年前に既にコロナに出会っていた!日本人、特に縄文系の血系はコロナに強い特殊な白血球型を持つらしい説。それは太古からコロナ一族との死闘を何度も経てきたサバイバーの末裔である証。多くの御先祖様の犠牲の上で獲得したカミカゼ抗体。なんかジョジョ2部みたいでロマンチックです。

「食文化説」

大豆、海藻類、発酵食品の摂取がウイルス感染と重症化を防いでいる説。そんなん和食のほぼ全てが該当するじゃん!フコダインがサイトカインストームを抑制、紅藻エキスがウイルスのエンベロープを破壊、発酵豆類が腸内フローラを調整して体内ミトコンドリアを活性化。ワカメと豆腐の味噌汁シールド展開。前回の納豆ジョークもあながち外してなかったのか…。ちなみに「鬼は外」は本来「疫病退散」で、風邪の季節が始まる節分でのコロナ対策だったとか。これまた御先祖様の知恵袋。

「文化行動説」

握手、ハグ、キスをせず、礼で済ませる非接触文化。靴を脱ぎ、風呂に入り、手洗いうがいマスクを教育する清潔な生活習慣。これらも実は歴史の疫病経験則から文化として浸透定着した可能性。

「既に免疫獲得してる説」

新型コロナは実は発生当初から日本に何度も入ってきていて、現在は第4〜5波である説。度重なるコロナ来日で、日本人は既に一定規模の免疫を獲得しているんだとか。というか欧米に比べてアジアの被害が小さいのは、単にそういう往来が茶飯事で慣れているという事なのかも。今年の風邪は〜みたいに、毎冬中国から当たり前のように新作が届くような文化は、イギリスにはありません。

他にもBCG説とかありますが、もしこれら全てが多かれ少なかれ影響しているのなら、自覚がないだけで実は日本人は高度に訓練された対コロナエキスパート民族である可能性も無くはない。奇跡の国ジパングの民。

何もかも他国と異なる独特の動きを見せる日本。ただの平和ボケかと思いきや、実は奇跡の一族かもしれないなんて、だてに世界の東の最果てでガラパゴってきた訳ではないという事ですね。でもそれもあくまで未実証の憶測や仮説です。もし来月大被害が出ちゃったら「やっぱりただの平和ボケじゃん」という事になり、世界中から「言わんこっちゃない」の雨あられになるので気をつけましょう。

【噂を信じちゃいけない】

80〜90年代にかけて、HIVウイルス/エイズが世界的に猛威を振るいました。当時のパニックの様子は、多くの映画や資料で知る事ができます。僕はまだ子供だったので理解していませんでしたが、MTVとかでミュージシャンやアーティストが集まってAct Against AIDS運動をしていたのは覚えています。

正体不明、治療法も無い謎のウイルスによって、多くの人々が次々死んでいく状況の中で、ケーススタディを積み重ねてHIVウイルスというものについて学習、対抗していきました。30年経った今、HIVは死の病ではなくなり、初の完治患者が報道されるまでに至りました。エボラ熱などと同様、ウイルス攻略にはそれ程の時間がかかるという事です。

現在、各国で封鎖解除の動きが始まり、次の段階の対策を検討中です。そんな中、たった3ヶ月前に初めて見つかった新型のウイルスについて「これはこうだ」と言い切ってしまっている情報があったら、まあまず噂レベルの眉唾情報として僕は受け取ります。だってわかってる事なんて殆ど無くて、わかるには時間がかかるんです。だからできるだけ被害を抑えながら学習の時間を稼がなければなりません。

たとえ噂レベルだとしても情報収集は大切だし、そこから妄想を広げるのは楽しいですが、安易な噂を信じてリスキーな行動に出る前に、一旦冷静に考えてみるのがいいんじゃないでしょうか。


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いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨