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生存戦略〜! ロンドン封鎖日記②

Patient zero (第一感染者) とバレて炎上したらどうしよう。

ロンドン封鎖からはや…何週目だっけ…少なくとも3週以上謹慎してます…。上海在住の友人は「2週目くらいがキツいよ〜、その後は慣れるw」とか言ってたっけ。ま慣れるというより色々麻痺してきますね…(遠い目)。

前回、#clapforyourcaresに感動して、ええ話や〜的な事書いた矢先、ロンドンにも春がやってきまして、週末に大勢がピクニックに繰り出す→公園封鎖→政府からお叱りを受けるという体たらくです。変な噂を信じて5Gのアンテナを壊す人(謎)とか、麻痺してきてるけどまだまだパニックの最中なんだなあと。そら93歳の女王もコメント出しますわ。更には首相のボリスさんまでICU入りしちゃったし、ナイトメア収まる気配まるで無し(五七五)。

さてついに日本も緊急事態宣言ですか。こっちから見てると今更感満載ですが…。とりあえずwelcome to the club。今やこの惑星上の全人口の半数以上が何らかの行動制限下にいるらしいですよ。世界のトレンドに合流でインスタ活動も捗りますね。

とまあ冗談はさておき。

現在色んな国が、色んな状況下で、色んな対策を打ち出しています。感染状況、経済状況、医療システム、文化に伴う国民行動、社会保障、其々全て異なりますが、感染爆発してしまうと大量死に突入するのは同じなので、みんなあれこれバランスとりながら、其々の対応を取っています。

世界共通ミッション、お題は「ワクチンが普及するまでの1〜2年の間、可能な限り死者数を抑えて、できれば経済も殺さない」です。感染者と死者の発生は止められないので、基本的にはその拡大速度を抑える対策になります。

【パターン1・放置】

特別な対策を打たず、自然収束に任せるパターン。ウィルス対策に限って言えば最速で収束・集団免疫獲得に至る可能性もあります。が、新型コロナの場合はその間に壊滅的な数の死者が出てミッション失敗です。国民の大量死は結局経済にも大打撃を与えます。

中国も当初はこのパターンだったと思われます。が相当数の死者(未カウント含む)の発生を受けて、ただ事では無いと慌てて都市封鎖に突入しました。そこからの事後対応・人権などものともしない必殺強権発動には目を見張るものがありましたが、事態を悪化させた隠蔽体質は、前科アリという事もあって今後国内外から糾弾されていくだろうと言われています。ソビエト体制はチェルノブイリ後に崩壊しましたが、絶賛自作自演でお祝い中のキンペーさん、まだまだ大ピンチです

実はイギリスも一瞬だけこの方向に行きかけましたが、各国のデータを見てリスクが高すぎると判断、即セミロックダウンに移行しました。2週間経った今の結果論で言えば、イギリスも既に6千人を超える死者を出しており、アメリカにおけるカリフォルニアとニューヨークの死者数差なども考えると「死者数を抑えるには早期封鎖がベスト」という結論が出たとも言えます。

他にもエルサレムがヤバイだとか、途上国などでは「対策したくてもできない」ために感染爆発に陥る事態が懸念されています。

【パターン2・完全封鎖・ロックダウン】

全国民が自宅隔離で、最低限必要な外出のみ許可されます。即効性のある唯一の対策です(というかそれしかできないとも言う)。経済は大打撃を受け、人権も制限されますが、人命は救われます。

イタリア・スペインなどは感染爆発してからの事後対処だったので、大量の死者を出してしまいました。既に隔離5週目に入っており、国民も相当疲弊しています。中国では物資配給やID追跡も含めた完全隔離が8週続きました。インドでは食糧難のプチ暴動も起こっています。

【パターン3・部分封鎖・セミロックダウン】

基本自宅謹慎ですが、幾らかの外出は許されています。リモートワークとライフライン以外のビジネスが止まるので、経済は打撃を受けますが、政府がその補填を保証します。

イギリスは今このパターンです。効果が出ているとの報道もありますが、実感としては…正直よくわかりません…。これだけの労力を割いているので効果アリと信じたいですが、イギリスも順調にイタリアの軌跡を踏襲しています…。

【パターン4・自主的な自粛要請】

スウェーデンがこの方法を取っているようです。イギリスもロックダウン前はこれでした。日本も緊急事態宣言で大騒ぎしてるっぽいですが、一部の都市のみで強制力も無し、補償も後手後手で、ちょっと何がしたいんでしょうか…。欧米のような大被害が出ていないが故のこの対策なんだと思いますが、死者が増え始めるまで動かないのはどこも同じですね。増え始めた時は既に遅しなんだが。どの道経済的打撃はあるし、今後の世界的な落ち込みの煽りも絶対避けられないんだから、今あるアドバンテージを生かしてこの際しっかり封じ込めだけでもやっておけばいいのに、と個人的にはどっちつかずの中途半端感は否めませんが、まあミッションクリアの必勝パターンなんてまだ誰にもわからないという事です。とにかく日本で大量死が起こらない事を切に願うばかりです。

【第2ステージ以降】

このミッションが長期戦である事は確定しています。いずれにせよロックダウン+社会保障を1〜2年も続ける訳にはいかないので、感染拡大を抑えつつどこかのタイミングで順次封鎖解除していく必要があります。情報収集・精査・解析・検証・整備して、社会の体力が尽きる前に次の手を打たなければなりません。先んじて封鎖を解除した中国の動向に注目したいところです。

【ミクロとマクロのサバイバル】

パンデミックの動きを俯瞰で見てみると、まさに「国家」とか「人類」という大母体が悪風邪をひいたみたいに見えます。以前「働く細胞」のパロディ漫画を描きましたが、例えば人ひとりを細胞ひとつと見立てると、「ミクロ視点:細胞がウィルスに感染して母体が疲弊していく様」は、「マクロ視点:人がウィルスに感染して社会が疲弊していく様」にそのまま投影できます。

じゃあ酷い風邪をひいた時僕らはどうするのか。不要な活動を一切止めてベッドで安静にします。栄養をとり体温調節をして、体の回復に専念します。フラフラなのに「でも仕事に行かなきゃクビになっちゃう」とかやってると容態は悪化するし、最悪命の危険に晒されてしまいます。

という風に考えると、欧米が一時経済を犠牲にしてでもロックダウンに踏み切るのは理に適っている気もしてきます。国家が人の集合体である以上、国民の大量死は国家の存続を危うくします。新型コロナのように、基幹細胞が大量にやられると、母体はなす術なくあっさり命を落としてしまいます。

もちろん経済破綻だってそれはそれで恐ろしい事態ですが、それは栄養とか血流といった二時的問題であって、命あっての物種というか、生きてさえいれば経済復興のチャンスはあるんじゃないでしょうか。

ウィルスというのは、単細胞生物の発生以前から存在し続ける原始生命体(一応RNAを持ち自己存続しようとしている)で、細胞乗っ取り型の生存戦略です。云千万種のウィルスが日々ゲノムを書き換えながら変異して、あーでもないこーでもないとトライ&エラーを繰り返しながら自然選択を生き残ろうとしています(そんな意思がある訳では無いですが)。そして100年に一度くらい、大ホームランをぶち当てる訳です。

一方、多細胞の進化ルートで複雑な構造を持つに至った人類ですが、細胞で構成されている以上この究極的にシンプルなエイリアンの脅威は今後も延々続きます。この脅威に対して人類側は知識の伝達と蓄積で対抗します。しかも現代社会は物理的接触を断っても尚情報伝達を維持できる「テクノロジー」を獲得しています。これらの叡智を駆使して、人類はいずれこのミッションを乗り越えます。そして今後の同様な事態に備えた対策を考え出すでしょう。まるで体内で免疫抗体を生み出すみたいに。これは太古から続く生存戦略のせめぎ合い。今回のミッションは1〜2年の間生き残ったもん勝ちのサバイバルです。アニメ化決定。

【ところで】

去年の11月末、僕は日本への帰省ついでに、ロンドンへの道すがら北京観光に寄りました。中国は今高度経済成長真っ只中です。80年代前後のかつての日本のように、アッパーな人々は海外旅行で爆買いし、地方で中流化した人々も国内旅行鳩バスツアーみたいなのが大盛況です。北京でもどこに行っても中国人団体観光客で溢れていました。北京っ子は東京っ子と大差ないくらいモダンで都会的なんですが、地方からの観光客というのはちょっとした衝撃です。まず服装からしてまるで違うし、唾やら鼻水やらをそこら中に飛ばしまくってて、正直もうドン引きです。こういう時空を超える程の格差が中国にはあります。

そして…。かかってしまったんです。僕も。なんか変な風邪に。

それは中国滞在3日目の事。最初の症状は「激しい倦怠感」でした。ホテル前の階段を数段上がっただけで、次の一歩を踏み出すエネルギーが無くなったような感覚に襲われました。「観光疲れかな」くらいに思ってたら、続いて咳が始まりました。現地で大気汚染用のマスクを買っていたので、ロンドンに戻るまでずっとつけてました。

休暇を終えて仕事に戻ろうとした朝、やはり激しい倦怠感。体を動かすエネルギーが出ずソファにへたりこんでしまいました。そしてそこから丸3日間ベッドの中。飲み食いは普通にできてたし、発熱や体の痛みなどもそれ程無かったように思いますが、酷い咳が2週間くらい続きました。

これ迄生きてきて寝込む事なんてまずなかったし、あったとしても一晩で回復してたので、「歳とった+休暇疲れ+仕事イヤイヤ病かな」とも思ったのですが、今思い返してもやっぱりあれは今までに体験したことのない明かに異常な風邪でした。今となってはあれが新型コロナだったのか不明ですが、場所とタイミング的にはあり得る状況だったよなあと。

という事はですよ…まままさか僕がPatient zeroだったのか!このロックダウンは僕自身が引き起こした自業自得だったんだ!みんなごめんなさい!などという妄想を展開させると暇潰しにもなるし、感染拡大防止の責任感も芽生えてオススメです。


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いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨