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ゴーストの囁き ロンドン封鎖日記⑥

攻殻機動隊2045見たんだけど、もはや現実の方が先を行っててびびる。去年のBBCドラマ衝撃作「Years and years」よりも更に先行っててマジびびる。

ロンドン封鎖から丸6週間経過。イギリスは結果的にイタリアと並び欧州最大の被害を出しています。その被害の殆どは欧州最大都市ロンドン周辺です。感染爆発のピークは過ぎましたが、下降曲線はまだ緩やかです。

今週、コロナサバイバー・ボリス首相が公務復帰、ロックダウンの継続が発表されました。やっぱまだ続くのか…。もはやロックダウン前の生活なんて遠い思い出。そしてこの先はNewNormalの世界線。コロナ以前には戻れないのだという事を実感として理解し始めています。

さてコロナパニック・フェーズ2移行期間という事で、ここで一度基本に立ち返ってみます。アニメの中間総集編エピソードみたいなやつです。

【フェーズ1・おさらい】

そもそもなんでどこの国もこんなに苦労してるかというと「できるだけ死者を出したくないから」です。気付いた時には既に感染が広がっていた、欧米への第一波直撃。そのまま感染を放置すれば、高齢者を中心に大量の死者が出てしまいます。しかしロックダウンで経済を長期間停止させれば、逆に今度は経済破綻による自殺や他殺、餓死などの二次的被害者が出ます。

どちらの死者も完全に防ぐ事ができない状況で、どんな死をどれだけ許容するかという、それは苦渋の命の選別なのです。イギリスやドイツでは当初から政府が「全員は救えない」と割とはっきり言い切ってました。それでもできるだけ多くの命を救うため、ロックダウンや給付金も含めた最大限の対策を講じます。もしこれが「誰が何人死のうが気にしない」という国であれば何も苦労は無い訳ですが、そんな国誰も住みたくありません。

それはつまり「生存」という最も基本的な人権の尊重であり、自分の権利を守る為には他者の権利も侵害しないという、近代社会の根幹にある理念です。「ロックダウンは人権無視」とか言ってる人たちは、根本的な理解がズレてますし「民主主義の敗北」とか言っちゃう人も直情的過ぎです。

例えばコロナの「致死率2%」を信じたとして、感染者の50人に1人は必ず死ぬ訳です。人口1.3億の日本国民全員が感染したら260万人死ぬ事になります。イギリスでの1ヶ月半の死者数2.6万人の100倍です。ちなみに日本では年間10万人が肺炎で死亡しますが、その26倍です。勿論そんなのは極論で、全国民感染など起こらないし、検査が進んで感染者母数が増えれば致死率も下がります(医療崩壊が起きれば跳ね上がりますが)。ざっくりそれくらいの規模感の話だという事です。

そんなのやだどうしよう。じゃあ「潜伏期間2週間」を信じるとして、例えば3週間程完全ロックダウンを行えば、理論上は新規感染は無くなり、感染者も自然治癒または発症して隔離治療に移行するので、アウトブレイク終了です。中国型対策ですね。勿論これも極論で、実際にはキーワーカーや買い物などの人の動きはあり、家庭内・院内感染などの変数もあるので、そんなに簡単ではありませんが、理論上はそういう事な訳です。

人口密度の低いスウェーデンや比較的高齢者の少ないブラジルなどは、コロナによる死者を許容して経済活動を維持する選択をしました。リスキーな社会実験ですが、正解は誰にもわかりません。

一方、厳しいロックダウンを2ヶ月近く続けているイタリアスペインですが、今のところ自殺者などの報道は聞こえてきません。経済破綻や自粛鬱で即死する事はないので、これは中長期的被害として現れてくるという事でしょう。その規模はちょっと推定不能です。例えば日本では毎年2万人が自殺していますが、今年はどうなるんでしょうか。

【フェーズ2・予告】

欧州各国では新感染者数・死亡者数ともに下降傾向にあり、段階的な封鎖解除が始まっています。しかし「年内いっぱいはソーシャルディスタンス継続」であると既に各国政府が明言しています。つまり人が集まる系の職種やイベントは今年中の回復は無いという事が確定です。巷では手洗いマスクもすっかり定着しましたし、今後第一波のような壊滅的な被害は避けられるとは思いますが、秋頃からはまた緊張が高まりそうです。イギリスの冬は長い。

もし本当にアウトブレイクを脱したのであれば、そこからは「検査と隔離」「クラスター追跡」が主な対策となっていきます。新たな感染者流入を防ぐため、国境審査も厳しくなると思われます。感染を制御下に置きながら、ワクチンやその他治療法の確立を待つ事になります。

スペインでは世代別に時間を区切っての外出許可が出ました。7週間ぶり待望の封鎖限定解除ですが、それでもまだイギリスより厳しい。今後は各地域毎に警戒レベルを設定して、同レベル区間のみの移動が許可されていくようです。マジでSF映画とかゲームみたい。その流れだとマドリッドの封鎖解除は最後になりそうです。こんな風にして、分断された箇所が順々に修復再接続されていくんですねー。体の傷の回復みたいです。ロックダウン完全解除まではもう一踏ん張り。今のところ順調みたいですが、変なトラブルとか第二波とかが起きて再ロックとならない事を祈る。

オーストラリアは中韓がやってるような感染者追跡アプリを導入するようです。欧米でもGoogleApple合作の匿名GPSアプリが導入されるかも。

新型コロナウイルスの発生源、拡大経緯の検証も本格的に始まります。中国が情報開示や衛生基準の整備を拒否すれば、再発のリスクにより当然世界からハブられます。世界の工場として大躍進を遂げた中国なので、ハブられれば大転落です。

自分が世界の一部である事を理解できない国、この絶望感や新世界観を共有できない国は、今後加速度的にガラパゴス化していく事になります。

【フェーズ2・日本編】

一方、超人口密度+高齢化社会というコロナの大好物でありながら、奇跡的に爆発的被害を免れてる日本です。それはとても幸いな事ですが、しかしその理由はまだ誰にもわからず、国内感染の実態も誰も知りせん。一定数の隠れ感染者がいる事は確実で、実際に被害も出ていますが、データが乏しいので、既にピークアウトしたのか、それともこれから発症の爆発が起こるのかも確証が持てません。隠れ感染者がいる以上アウトブレイク終了の目処も立ちません。

となると、世界における日本の立場も難しくなってくる可能性があります。例えばクラスメートがみんな検査して回復してる中、ロクに検査もしない日本君はみんなから避けられてしまいます。いくら自分は元気だと言ったところで、裏付けがないと信用は得られません。それ程の重傷とトラウマを世界各国が負ったからです。別にいじめでハブにしたい訳ではありません。せざるを得ないのです。同調圧力云々ではなく、リアリティとして同水準にないものは相応の扱いを受けるという事です。

グローバルスタンダードとはそういう事で、鎖国するという事はそういう事です。もうオリンピックどうこう言ってる段階ではありません。

【コロナSAC】

前回の日記ではコロナに関する色んな噂を集めてみましたが、時間が経つにつれてその噂の輪郭も段々見えてきています。

https://note.com/isa_happyfield/n/nb2caf063648e

武漢女医の手記では、コロナウイルスは気道常在菌の分泌物に触れる事で覚醒、感染モードに切り替わり、全身に様々な症状を引き起こすという経緯が昨年12月末時点で既に記されていました。最新の情報では「新型コロナは血液・血管に感染するのではないか」という説が出ています。免疫系細胞に作用した結果血液凝固が起こり、微小な血栓が身体中に拡散して様々な合併症を引き起こすのだとか。肺炎も、その他の脳梗塞、心筋梗塞、腎不全、つま先変色などの多岐に渡る様々な症例も、実は血栓による二次的症状である可能性が示唆されています。

勿論これもまだ仮説の域を出ない情報ですが、輪郭が見えてくる事で背後の関係性や対策も見えてきます。変異の多いウイルスのワクチン作成は困難なため、対処療法の確立の方が当面現実的な場合もあります。HIVウイルスのように、殲滅はできないまでも無力化できる方法が見つかるかもしれません。

世界中の賢い人達が情報を並列化して、総力を上げてコロナの攻性防壁を引き剥がしていきます。これはスペイン風邪の頃の人類にはなかったアビリティです。リアル世界のスタンドアローンコンプレックスみたいで胸熱です。

このコロナパニックとロックダウンの経験は世界中の多くの人間の死生観や人生観、世界観に大きな影響を与えています。経済活動再開に際して、各国の動きはこれまでとは若干違ったものになっていくんではないでしょうか。

2015年に国連が採択した「SDGs」というものがあります。2030年までの達成を目指す、世界を持続させる為の17の開発目標の事です。既に5年経っていますが、今のところ「サステイナブル」なんて意識高い系のお花畑オサレ理想論的扱いでした。誰もが目先の経済最大化最優先で、米中なんかはむしろSDGsとは真逆の方向に突っ走っていました。しかしそれがいきなりウイルスなんかに徹底的にぶっ壊されてしまい、人々の意識は大きく揺らいでいます。調子に乗りすぎて頭ぶっ叩かれた子供みたいな動揺困惑の表情。そこから何かを学んで、今後ポストヒューマンとして覚醒するのか、それとも相変わらず目の前のキャンディを追い続ける子供のままなのか。

人々のゴーストは今何を囁いているんでしょうねえ。


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いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨