見出し画像

新世界の神となる ロンドン封鎖日記④

みんな、少しだけオラに元気を分けてくれ。

人間一人ができる事なんてたかが知れてるけど、みんなの知恵と力を持ち寄って、マンモスをやっつけた。ピラミッドを建てた。海を渡った。空を飛んだ。月にも行った。核融合まで制御した。フリーザもやっつけた。そうさ、俺たちが力を合わせれば何だってできる!みんなの力を一点集中、「協力」こそが人類を地球の覇者にまでした、俺たちの無敵の能力!!

のはずだった

2020年、ミクロのウィルスによってその能力は完膚なきまで無力化されました。人類がその知恵と力、富を集中させて、5千年かけて築き上げた強固な近代人間社会。それはロックダウンとソーシャルディスタンスという形でバラバラに分断されてしまいました。一点集中禁止!まさかの絶望チャプター。

皮肉にもパンデミックは人間が集中している場所ほど被害が大きくなります。ロンドンパリニューヨーク。まさに人類覇権の象徴を、正面から堂々とピンポイントで狙い打ちされた気分です。悔しい。一極集中は人間の特技であると同時に弱点でもあった訳です。でも実は自分達も薄々感じてはいました。人口の一極集中、富の一極集中、それらが生み出す格差と不均衡は社会の分断を生み、自身を蝕んでもいました。最小コスト最大利益を追求するキャピタリズムの呪い。それは社会資本主義なる謎システムを駆る中国への一極集中を呼び、その結果の手痛過ぎるしっぺ返し。何事も過ぎれば毒、偏れば病むって事ですね。大体コスパ野郎なんてモテる訳ないんです。

しかし人類は諦めない。弱点が明白なら克服すればいいだけの事。別にパンデミック初体験でもないし、特技が失われたわけでもありません。これまでの方法が封じられたなら、別の方法でまた特技発動させるまで。どうってことねーぜ。この経験を糧に、人類は次のステージへ急速にシフトしていく事になるでしょう。合言葉は「分断から分散へ」。その鍵となるのはテクノロジー。すでに始まっていたそれは、コロナのおかげで超加速です。逆襲ターン開始です。

【分散型社会】

自粛やロックダウンによって多くの人がネットワークを活用しています。テクノロジーは「繋がりながら分散」を可能にします。今現在ロンドンで暮らしていて、中枢都市に住むアドバンテージは未だ大きいですが、仕事だけに限って言えば必ずしも都心に住む必要はなくなりました。クライアントもチームメイトも海外である事が増え、ビデオミーティングも普通の事になっています。むしろ「毎日都心部に通勤する」時間や金銭的コストの方が大きくなっている事は前々から言われていて、リモートワークも進んできていた矢先でした。もちろん職種によりますが、僕の場合は例えば田舎や海外に住んでリモートで仕事する事はもはや現状のすぐ延長上に過ぎません。サポートの枠組みがあと少し整備されるだけで即移行可能です。

今まさにそんな「必ずしもオフィスに行かなくていい」状況を多くの人が経験中な訳ですが、そういう人が例えば数十万人いれば、都市集中は緩和されます。在住地域に関係なくスキル次第で世界中のクライアントに繋がれるような枠組みができれば、人口は更に分散され地域毎の需要が生まれて地方経済も活性化します。加えてAIやロボットが単純労働を担えるようになれば、手の空いた労働力が新たなビジネスを生むかもしれません。そしてそれはコストも競争率も低い「地方」から「全世界相手」のビジネスになる可能性が高い気がします。需要も供給も分散分散。これもいわゆる「マス脱却」というやつです。

医療や教育だって今後リモートが加速して、場所に関係なく受けたい診療・講義を受けられるようになるかもしれません。既にyoutuber講師は人気を博しています。僕はかつて広島から上京したクチですが、それは当時望んだ学科や職業が都市部にしかなかったからでした。今やそういう制限はどんどんなくなっています。技術的にはもう可能、後はやるかやらないかの決断だけの問題です。

【分散型価値観・人生観】

今や映画も買い物も都心に出る必要がなくなって、更に「オフィスにも縛られずどこにでも住める」となったら、みんなどこに住むんですかね。日本だとやっぱり沖縄の地価が跳ね上がったりするんでしょうか。それとも安い山奥で大豪邸に住んだりするのかな。そこで通勤などに取られる時間やお金が浮いたら?仕事の後にサーフィンだとか、畑仕事や料理、アートや音楽、子育てに最適な地域とか、それぞれの価値観に沿った色んなチョイスが生まれて、地域ごとの多様な文化を形成していくんじゃないでしょうか。なんか楽しそう。

【分散型政治経済】

地域の分断は世代の分断でもあります。今回のコロナでは高齢者に高い負荷がかかっています。直接的な感染発症リスクはもとより、自粛生活におけるインターネット利用や旧態然な公共システムなど、二次三次的問題も顕著になりました。特に世界一の高齢化社会である日本では、政治やメディアを動かしているのも高齢世代で、緊急時対応も時代遅れの後手後手となってしまいました。先端技術と共に成長してきた若い世代にとってはさぞやもどかしい事でしょう。これを機に政治における分散、世代格差是正・国政集中是正の流れも起こってくるんじゃないでしょうか。ていうか起こせ。若者は選挙行け。立候補しろ。ボーイズビーアンビシャス。

世界経済において、社会主義も資本主義もオワコン化となると次はどうなるんでしょう。意識超高い系の人たちはサステイナブルとかエコとか言っていますねー。スペインではベーシックインカム始めるかもって話も出ています。今はどの国もテンパってて鎖国ムードが高まっていますが、一時的な落ち込みはあれグローバリズムは止まらない気がします。例えば病気が怖いからって廃藩置県前の日本に戻るとか想像できません。今や世界は複雑に繋がり過ぎていて、ひとつの問題だけのために巨大なメリットは捨てられません。現在の生活水準を捨ててまで鎖国したい人は多くないんじゃないでしょうか。極端にナショナリズムに舵を切ったアメリカは孤立傾向にあり、逆に中国の世界侵食に寄与する形になっています。

【新世界到来】

来年ワクチンが完成しても、経済問題は一朝一夕にはいきません。いずれにせよこの先2〜3年は世界中がゴタつくのは確定で、それに伴う経済大混乱も不可避です。世界再建サバイバルはまだまだ続くという事です。でも既存構造が揺らぐ状況は群雄割拠下克上のチャンスでもあり、ニューヒーローやドラマが生まれる時です。絶望感と同時に若干ワクワクしてる自分もいます。

1週間の自粛要請の後、イギリスがロックダウンに踏み切ったのが4週間前、その時点での死者数は300人くらいでした。みんな「そこまでやる?」って思ってました。丁度今の日本の状態がすごいデジャヴ感。1ヶ月経った現在のイギリスの累計死者数16000人。既に311の総被害に匹敵、更にまだ増えています。それでも身近な危険を全く感じないので「人間っていっぱいいるんだなー」などとこの期に及んでまだ呑気。今はまだ静かに回復専念中のイギリスですが、ボリスが現場復帰する頃には色々動き出すんじゃないでしょうか。邪悪で狡猾な大英帝国の本領発揮が見たい

アメリカでは73歳のトランプがサポーターたき付けて仮想敵中国とのプロパガンダ合戦を煽ってます。給付金のお陰で支持率は悪くないようですが、しかしさすがにもう無理な気はします。もし再選されても、このカオス状態からの回復という難題はTwitterブラフ芸だけでは切り抜けられません。下手打つとアメリカ全土マッドマックス化です。

ヨーロッパも大打撃を受けてEU崩壊危機です。少なくともユーロは瓦解する気がします。国ごとの金融政策が取れないのに、非常時にドイツフランスは助けてくれない事がバレました。「知ってた」by イギリス&難民。スペインイタリアは頼みの綱の観光業も封じられてHPもMPもほぼゼロです。

そしてやっぱり何よりも注目なのが中国です。歴史的大騒乱が起こるといわれる60年に一度の庚子年を見事に体現して見せた2020年の主役です。この状況下でも野心を隠さず空気も読まずに突き進むブレない中国ですが、しかし今回はやらかし過ぎたかもしれません。全世界を怒らせてただで済む筈もなく。自爆ダメージに加え、もし全包囲網経済制裁なんて受けた日にゃ、国内一気に困窮→反乱革命まであり得る風向きです。プーチンが苦い顔で見つめています。ジョーエキゾチックより100倍面白いキンペードキュメンタリー。もう目が離せません。

欧州は感染爆発のピークを過ぎ、毎日の死亡者数もやっと減少に転じ始めました(と言ってもまだまだ相当数ですが)。ロックダウンが続く中、スペインでは一部職種が現場復帰を始めた模様。第2波3波に警戒しつつ、コロナパニックは次のフェーズに移ろうとしています。

世界はこのまま分断され、戦前にまで戻ってしまうのか。それとも新たな分散型連携社会が構築されるのか。このカオスを捌き切ってポストコロナ新世界の王となるのは果たして誰なのか。ここからが本編です。

【余談: コロナキラー】

スペイン人のパートナーが「日本で死者が増えない理由はなんだろう」と聞くので「日本人だけが食ってる何かがコロナに効くんじゃね?梅干しとか納豆とか」と超テキトーに応えたら、「それだ!納豆菌だ!中国人ですら食わない納豆がコロナキラーに違いない!」とか言い出しました。それ面白いな。世界中で納豆パニック買いと奪い合いが起きて、各地で納豆生産が始まり納豆長者が生まれ、納豆が世界の国民食として定着しちゃう未来。…マジでそうだったらいいのに。


xx

いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨