見出し画像

第一村人発見! ロンドン封鎖日記⑧

まだその時ではない。

ボリス首相が劇画調に言い放ち、ロックダウン8週目以降の続行が決定しました。まあ予想通りですが、解っていてもかなりのダメージ食らいます。

とはいえ感染者数・死者数共に下がってきてはいるので、幾分の緩和は行われていくようです。リハビリ開始です。R値の上下に基づく5段階の警戒レベルの中で、現在は4から3に移行中の段階らしい。ハイリスクグループは結局のところワクチンまで自主隔離とか、依然として絶望進行には変わりないっすね。原則として、いかなる緩和においてもステイホーム・ソーシャルディスタンスは継続です。

アンロックプラン

まず今週から「エッセンシャルワーカー以外も仕事に行ってもいい」事になりました。「製造・建設業の仕事復帰を奨励する」とまで言っててちょっとびっくり。しかし「可能ならば在宅勤務」「公共交通機関の利用を避け、車か自転車か徒歩で出勤」「詳細はボスに従え」とかなり丸投げな内容。具体的なレギュレーションも無く、みんな「ちょ、つまりどっちなの」と混乱気味。そして月曜朝から早速地下鉄が超密状態に陥るという。グダグダやんけ。ブルーカラーは移民系の貧困層が多いので、またそこら界隈で感染が広がってしまうのか。だからフワッとした指示は禁物だというのに

更に水曜日からは「ソーシャルコンタクト」「時間無制限エクササイズ」がアンロック。ついに友達と外で会える!ピクニックオフィシャル解禁!というかこれらはもう既に結構な人達が勝手に事実上解禁しちゃってて週末は収集つかない感じになっているので、アンロックせざるを得なかったのかも。北欧の短かい夏の貴重な太陽、何人たりともロックする事などまかりなず。国民のストレス値だって要注意パラメータなのです。

これが上手く推移すれば、6月中には「小学校再開」、7月には「カフェ・バー・レストラン・ホスピタリティ業再開」がアンロックになる見通しだそうです。結構攻めてて意外。そんなに上手くいくのかねー。サービス業だって、たとえ再開が許可されても採算合わなきゃ開けられないだろうし。もしビヤガーデンが開いたとして、2m距離を取り合いつつ飲み会って可能なんだろうか。まあ試してみたいからとりあえず開けてみてくれ。

勿論、新たな集団感染なり何なりのトラブルがあれば即ロックバックです。一回緩めた後の再ロックはさすがに反発起きそうな気がします。それ程みんなもう辟易してる。封鎖緩和で先行する中国韓国ドイツとか、上手く封じ込めたかに見えた国々でも、緩和した途端感染増加してるので、なかなか一筋縄ではいきません。ほんとコロナまじウザい。ついにブチ切れて大発散し始めるパリピの出現も近い気がします。

ロンドンヴィレッジライフ

ロンドンはグレーターロンドンといって、複数のカウンシルが集まってできています。東京23区みたいなやつです。各カウンシルごとに人種コミュニティも異なり、それぞれ特色というかキャラクターがあります。東京もそうですが、「グレーター」になる以前はそれぞれ独立した町や村の集合だった訳です。それぞれのダウンタウンにタウンホールと教会と学校があり、駅があり駅前商店街がありパブ(大昔はホテルも兼ねていた)があって集落を形成しています。歴史のある都市だけに構成はほぼドラクエ世界。

ロックダウン中は買い物か散歩くらいしか外に出ないので、自分の住む地区から出る事がなくなります。たまに運動と気晴らしを兼ねてシティバイクで無人の都心まで遠出したりしますが、基本的には家からの徒歩圏内が行動範囲です。すると生活全般が、ロンドンにいながらにして村暮らしのようになってきます。

コロナ以前は、仕事も遊びも都心部を中心に、ロンドン中を縦横無尽に動き回っていました。仕事の後で、色んな地区に住む友人と会うには都心部が便利ですが、ロンドンも長く住むと、観光客だらけの都心部で遊ぶ事はほぼなくなります。(むしろ各ローカルエリアごとの特色がロンドン最大の魅力であり、他民族メガシティの醍醐味なのです。)

ロックダウンによりそれは一時的に封印されてしまいました。特別な用事がなければ、隣村まで行ったりしません。でも別にロンドン自体が消滅した訳ではありません。今でも行こうと思えばウェストミンスターだってバッキンガムだって自転車で行けてしまいます。2ヶ月会っていない友人達もみんな変わらずそれぞれの村に住んでいて、本気で会おうと思えば会えます。グレーターロンドンはそのまま、その中で僕らは今ローカルなヴィレッジライフを送っている訳です。

不思議なんですが、この伝統回帰的ライフスタイルは、同時に未来的ライフスタイルのように感じられる事があります。

荻窪村的未来像

インターネットやSNSによる情報流通は、一定の物事に関して物理的距離を消滅させました。「必ずしもそこに行かなくても良い」というオプションを増やしてくれました。となると今度は「実際に行くとしたらどこに行くのか」が重要になってきます。

かつて僕が地元広島から上京した時、初めて住んだのが荻窪でした。学校やバイトは新宿エリアで、歌舞伎町や三丁目で散々飲んだくれたもんでしたが(若かったあの頃)、一方で荻窪や吉祥寺での地元飲みも結構好きでした。店も人も都心部みたいにガッついてない、ローカル特有のユルさとユニークさ、歩いて帰れる気楽さが心地良かった。大東京の中の荻窪村暮らし。それはロンドンに移り住んだ今でも同じ事が可能です。

もしコロナ後の新世界が分散型社会に寄っていけば、都心集中はオワコン化して、このような伝統的な村文化が活性化していく筈です。それぞれの地域色がより濃くなり、その色に合う面白い人や店も集まって来ます。そうして村々は様々な方向性に発展し、それを訪ね合う面白さも増大します。都心部へは必要な時だけアクセスすれば良いのです。

このヴィレッジ型未来都市像は悪くない気がします。というかかなり良いかもしれない。今でも充分面白いロンドンが、もっと面白くなるかもしれません。

とにもかくにも、まずは地元パブが開いてくれない事には始まりません。もう宅飲みもZOOM飲みもいい加減飽きた。。。


xx





いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨