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必見!2021年冬アニメはこれが面白い!

 さて、2021年冬アニメも第1~2話が続々と出揃ったことで、「これは見ておくべきだ!」という注目株の新作アニメをご紹介します。

ワンダーエッグ・プライオリティ

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【スタッフ】
  原案・脚本:野島伸司
  監督:若林信
  キャラクターデザイン・総作画監督:高橋沙妃
  アニメーション制作:Clover Works

【キャスト】
  大戸アイ:相川奏多
  青沼ねいる:楠木ともり
  川井リカ:斉藤朱夏
  沢木桃恵:矢野妃菜喜

 Clover Worksが送る、奇々怪々アニメーション作品
 いわゆる「セカイ系」と言われる部類の作品に該当するのではないかと思います。

「タマゴを割って、セカイを変えろ。」

14歳の少女・大戸アイは、深夜の散歩の途中で出会った謎の声に導かれ、不思議な「エッグ」を手に入れる。
「エッグ」を持て余していたアイが、翌日昨夜の場所に再び向かおうと玄関のドアを開けると、そこはなぜか、どこかの学校の校舎に繋がっていた。
不気味な雰囲気漂う校内の様子に戸惑い逃げ込んだトイレで、アイは謎の声に促され、ついに「エッグ」を割ってしまう……。


 主人公の大戸アイが迷い込む世界は何とも不気味であり、怪奇なんですよね。ホラーのようでもあるし、登場する「怪異」が何とも気持ち悪い

 第1話だけでは「不気味」「怖い」「気持ち悪い」といったような雰囲気しか掴めなかったです。正直、この雰囲気は人によって好き嫌いが分かれるタイプのアニメだと思います。もう一つ言うと、アフレコに一抹の不安を感じたのは否めない部分ではあります。

 しかしながら、オリジナルアニメということもあり、話の展開が読めないような内容ではあるので、視聴者を驚かせてくれるような展開があれば…と期待したくなるタイトルです。

 余談ですが、今期のClover Worksは『ホリミヤ』『約束のネバーランド Season 2』の計3作品を抱えるヘビーワークっぷりで、所属アニメーターの方々の労働環境は大丈夫なのかと心配になります。1つの制作会社で多くても、1クール2作品程度しか目にしたことがないですからね。
とはいえ、今期4作品も抱えるライデンフィルムほどではないですが。


ホリミヤ

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【スタッフ】
  原作:HERO・萩原ダイスケ「ホリミヤ」
  監督:石浜真史
  シリーズ構成・脚本:吉岡たかを
  キャラクターデザイン:飯塚晴子
  アニメーション制作:Clover Works

【キャスト】

  堀 京子:戸松遥
  宮村伊澄:内山昂輝
  石川 透:山下誠一郎
  吉川由紀:小坂井祐莉絵
  仙石 翔:岡本信彦
  綾崎レミ:M・A・O
  河野 桜:近藤玲奈
  井浦 秀:山下大輝
  沢田ほのか:麻倉もも
  柳 明音:福山潤
  進藤晃一:八代拓
  谷原マキオ:千葉翔也
  井浦基子:金元寿子
  堀 京介:小野大輔
  堀 百合子:茅野愛衣
  堀 創太:寺崎裕香

 2タイトル連続でClover Works制作の作品紹介となります。個人的にですが、今期新作の中では本命と言えます。

「繋がって、絡み合って、世界は日々、変わってく」

クラスの人気者で派手なギャルの堀京子と、暗くて目立たないオタクの宮村伊澄。
本来交わるはずのない二人はある日偶然、お互いの秘密を知ってしまう。
互いのギャップに驚きながらも「秘密の共有者」になった二人の距離は急速に縮まっていく。


 00年代を感じる、爽やか系青春学園ストーリーといったところで、「友情あり、恋愛あり」といった青春真っ只中の人間ドラマを楽しむ青春群像劇でしょうか。

 1話時点で登場するキャラクターに不快な部分はなく、爽やかな部分が目立っていました。かと言って、あっさりしている訳でもない。特に1話は石浜監督自ら絵コンテと演出に入られているので、キャラクターのモーションも華やかでした。作風的にもClover Worksと原作の相性はかなり良いかと思います。

 その他にも、登場するのがスマホではなく折りたたみ式携帯電話、いわゆるガラケーなんですよね。『イエスタデイをうたって』のような時代背景を考慮した作品でもない限り、原作ではガラケーだったとしても基本的にはスマートフォンに差し替えられてしまうことが多いかと思います。だからこそ、私のようなアラサー世代にとって『ホリミヤ』は何処か懐かしさすら覚えます。

 同じ学園ものの新作で『弱キャラ友崎くん』がありますが、個人的にそちらより『ホリミヤ』を推したいですね。


SK∞エスケーエイト

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【スタッフ】
  原作:ボンズ・内海紘子
  監督:内海紘子「Free!」「BANANA FISH」
  シリーズ構成・脚本:大河内一楼
  キャラクター原案:内海紘子
  キャラクターデザイン:千葉道徳
  総作画監督:千葉道徳・菅野宏紀
  アニメーション制作:ボンズ

【キャスト】
  暦レキ:畠中 祐
  ランガ:小林千晃
  MIYA:永塚拓馬
  シャドウ:三宅健太
  Cherry blossom:緑川 光
  ジョー:松本保典
  愛抱夢アダム:子安武人
  菊池 忠:小野賢章

アニメーション制作の老舗・ボンズが送る、スケートボードアニメです。

「そのとき俺は確かに見たんだ。この沖縄に舞う、白い雪を─…」
スケートボードが大好きな高校二年生・暦レキがハマっているもの――
……それは"S"。
「Sエス」とは、閉鎖された鉱山をスケートボードで滑り降りる
ルール無用の危険な極秘レースだ。
中でも、そこで行われる「ビーフ(決闘)」に多くの人々が熱狂していた。

暦レキはカナダからの帰国子女で転校生・ランガを「S」に誘う。
スケートボードに乗ったことのないランガだが、「S」の熱狂は構わずランガを巻き込んでいく。

裏の顔を持つ個性豊かなスケーターたちと繰り広げられる、サイコーでアツいスケボーレースバトル×無限の可能性が今、ここに始まる──!!

 制作会社のボンズは近年女性向け作品に傾倒している節がありますし、内海監督は『Free!』『BANANA FISH』で知名度を上げた方でもありましたので、放送開始前は疑念が拭えなかったんです。これは男性が見ても楽しめる作品なのかと。

 ところがその疑念も何のその、第1話は文句の付け所がなかったですね。スケートボードのアクションがキレッキレで、すごくカッコいいんですよ。「手書きでこその、この迫力!」と言ったところでしょうか。スケートボードのアクションというのもかなり斬新ですし、アクションシーンだけでも一見の価値ありです。正直震え上がりましたよ。

 また、エンディングにも工夫がなされていて好感が持てました。スケートボードといえばトリックが醍醐味ですが、あえてトリックに失敗したときの技名(?)を「NUTCRACKER」「MATASAKI」等でキャラクターが披露していくのは面白い発想だなと思います。


怪物事変

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【スタッフ】
  原作:藍本 松(集英社「ジャンプSQ.」連載)
  監督:藤森雅也
  シリーズ構成:木村 暢
  キャラクターデザイン・総作画監督:立花希望
  総作画監督:西岡夕樹、遠藤江美子
  怪物デザイン・アクション作画監督:宮本雄岐
  アニメーション制作:亜細亜堂

【キャスト】
  夏羽 (かばね):藤原夏海
  織 (しき):花江夏樹
  晶 (あきら):村瀬 歩
  隠神 (いぬがみ):諏訪部順一
  ミハイ:小野大輔
  紺 (こん):花守ゆみり
  飯生 (いなり):花澤香菜
  野火丸 (のびまる):下野 紘

 ジャンプSQ. 原作のオカルトアニメです。
 物の怪、つまり「怪物(けもの)」たちを中心にシナリオが展開していくアニメですね。設定的には『虚構推理』に似たものがあります。まあ、設定だけですが。

とある田舎の静かな村、そこでは家畜が次々と変死する奇妙な事件が頻発していた。事件を解決するため東京から呼ばれたオカルト専門の探偵・隠神は、村人たちから「泥田坊」と呼ばれている不思議な雰囲気の少年と出会う。

 正直言って『怪物事変』がバカ売れするような事態にはなりません。トレンドに上がることも、まあ無いといっていいでしょう。アニメーションの作画で勝負するような作品でもないですからね。

 しかしですね、トレンドに上がるものが本当に面白い作品なのか?ということですよ。別に逆張りしているつもりは毛頭ありません。

 まず第1話で感じたのは「見せ方」です。錯乱しているところを一人称視点にして「見せる」。制作会社の亜細亜堂は決して予算に恵まれている訳ではないのは確かです。しかし、予算がなくとも面白く「見せる」方法はいくらでもある!と言わんばかりの姿勢を感じるのです。

 それだけでなく、第1話だけでいうのであれば、脚本が非常に丁寧だと思います。このあたりは、亜細亜堂制作の『本好きの下克上』にも通ずる部分がありました。『本好きの下克上』もヒットしない部類の作風ですが、面白さだけは抜きん出るものがありました。その理由は、やはりシナリオを丁寧に描く力なのでしょうね。


無職転生~異世界行ったら本気だす

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【スタッフ】
  原作:理不尽な孫の手(MFブックス/KADOKAWA刊)
  キャラクター原案:シロタカ
  原作企画:フロンティアワークス
  監督・シリーズ構成:岡本 学
  助監督:平野宏樹
  キャラクターデザイン:杉山和隆

【キャスト】
  ルーデウス・グレイラット:内山夕実
  前世の男:杉田智和
  ロキシー・ミグルディア:小原好美
  エリス・ボレアス・グレイラット:加隈亜衣
  シルフィエット:茅野愛衣
  パウロ・グレイラット:森川智之
  ゼニス・グレイラット:金元寿子
  リーリャ:Lynn
  ルイジェルド・スペルディア:浪川大輔

 今期の大本命は何といっても『無職転生』です。これだけは絶対に外せません。

「俺は、この異世界で本気だす!」
34歳・童貞・無職の引きこもりニート男。
両親の葬儀の日に家を追い出された瞬間、トラックに轢かれ命を落としてしまう。
目覚めると、なんと剣と魔法の異世界で赤ん坊に生まれ変わっていた!
ゴミクズのように生きてきた男は、少年・ルーデウスとして異世界で本気をだして生きていく事を誓うー!
ルーデウスを待ち受けるのは、ロリっ子魔術師、エルフ耳のボクっ子幼馴染、凶暴ツンデレお嬢様、
そのほかの様々な人間との出会い。そして過酷な冒険と戦い。
新しい人生が動き出す!
「人生やり直し」ファンタジー、開幕!

 「はいはい出ました、異世界なろう系作品。もう見飽きました。」というそこのアナタ。1話だけでも視聴してみてください。『無職転生』がホンモノの異世界系作品であるということを思い知ります。

1.アニメーションの作画技術が別格

 まず制作会社のスタジオバインドなんですが、こちらは何と『無職転生』を制作する目的で立ち上げた会社なんです。
出資したのは『STEINS;GATE』『Re:ゼロから始める異世界生活』『ゴブリンスレイヤー』でおなじみのWHITE FOXですね。これはですね、MAD HOUSEが片淵監督作『この世界の片隅に』を制作するためにMAPPAを設立したのとよく似ています。それだけ気合が入った作品ということです。

 肝心のアニメーションなんですが、映画レベルの作画を地上波でやっちゃった形ですね。水魔法のアニメーションだけで何枚原画を使っているんだ…と率直に感銘を受けました。作画もさることながら、中級水魔法を噴出させるときのジェット音が作画を後押ししていて、音響面で迫力を出すことも忘れない。音響と作画で中級魔法の威力を演出しており、これまでの異世界系がサボってきたことを平然とやってのけるのが素晴らしい。

2.あまりにも丁寧な脚本

 34歳・童貞・無職の引きこもりニート男が主人公な訳ですが、主人公の転生前の人生にここまで焦点を当てた作品は見たことがなかったです。確かに『転スラ』や『幼女戦記』といった異世界系作品でも転生前の生活が描かれていました。しかしですね、『無職転生』ほど深く掘り下げたうえに、主人公が抱えていた「トラウマ」を異世界に昇華した作品はなかったはず。
 よくよく考えると当たり前のことなんですが、これまでその「当たり前」が描かれていなかったのは言うまでもありません。

 そして、転生作品におなじみの「俺TUEE」展開ですが、これまでの作品は冒頭からぶっ飛んだスキルを会得しているパターンが多かったように思います。しかしこの作品では、初級魔法から中級魔法と順を追ってスキルを習得していく過程がきっちり描かれています。なので、「剣と魔法の世界」で魔法を習得していくことの純粋な楽しさを表現した作品になっているかと思います。


3.アダルトな描写を切り捨てない&杉田智和氏のアフレコ

 作画良し、脚本良しの『無職転生』ですが、アダルトなシーンがストレートに描かれています。
 
何と言っても、このような大衆受けしにくい場面を躊躇なく描いてしまう勇気に感服しました。前述のように、これだけ気合が入った作品であるからこそ絶対に売れさせたいと思っているはずなのに…。そんな勝負を挑む姿勢がカッコいい作品ですね。
 異世界ならではの描写ですが、お茶の間で見ていると場が凍り付きますので、視聴の際はご注意を。

 アダルトなシーンにもかかわらず、少し笑えてしまうのは杉田智和氏のアフレコの力でしょうね。どうしても『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョンの語り口を想起してしまいます。また、34歳・童貞・無職の引きこもりニート男が主人公ということもあり、見る人によっては嫌悪感を抱きかねないキャラクターな訳ですが、そのキャラクターの印象を杉田氏のアフレコがを打ち消していたようにも思えます(第2話まで視聴すれば主人公のバックボーンもさらに深く描かれるので、その嫌悪感も多少解消されるのですが)。
 一つ言えるのは、杉田氏のアフレコが『無職転生』においてスパイス的な役割を果たしていたということです。


 以上5作品を紹介しましたが、この他にも注目作品はあるかと思いますし、『Dr. STONE STONE WARS』や『BEASTERS(第2期)』といった続編タイトルも当然期待できる作品だと思います。
 2021年冬アニメは作品数的にもかなり豊作だと言えるでしょうし、個人的にも非常に楽しみです。

 まあ結局のところ、今期は『のんのんびより のんすとっぷ』しか勝ちませんし、『ゆるキャン△SEASON2』で優勝するのは至極当然の話ですね。


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