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患者はどこから来て、どこに行くの?|市場調査レポート10日目

はじめに

おはようございます。医療介護データ研究所の まじめな所長 です。

先日公開した、市場調査のためのデータセット病床機能報告のデータセットを使ったレポート作成の過程を公開しています。

今回は、患者がどこから来て、どこに行くのかについて調べてみます。

データは病床機能報告を使います。

入棟前の場所・退棟先の場所というデータがあります。

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病床機能報告の中では、「入棟前の場所・退棟先の場所」という項目があります。

入棟患者の内、家庭から来た人が何人で、院内転棟が何人でというデータです。

病床機能報告では、人数でデータが出ていますが、このデータを割合でみると地域の傾向が見えてきます。

患者はどこから来て、どこに行くの?

では、さっそくデータを見ていきましょう。

今回も、大阪府茨木市を事例にさせていただきます。

比較のために、全国平均のデータと大阪府茨木市のデータを並べてみていきます。

■急性期一般の入院経路と退院先

・全国平均

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・大阪府茨木市

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入院経路と退院先をツリーマップで表現しています。ツリーマップは項目の割合を面積の大きさで表現したものです。

急性期一般入院基本料は、全国平均でざっくりみると、家庭から患者さんが来て、家庭に帰していくという機能になっていますね。

大阪府茨木市でみても、大きな傾向はかわりなさそうですね。

強いてあげるなら、入院経路として院内転棟の割合が少なく、家庭からや、他医療機関からの割合が高いことがあげられます。

急性期については、全国平均と比べると、自院内というよりも外から患者さんを受け入れる傾向が少し強いということがわかります。


■回復期リハビリの入院経路と退院先

・全国平均

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・大阪府茨木市

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回復期リハビリ入院料は、全国平均でざっくりみると、他医療機関又は院内転棟で患者さんを受け入れて、家庭に帰していく機能になっていますね。

大阪府茨木市の特徴としては、他医療機関の割合が少ないことがあげられます。入院経路についても退院経路についても、他医療機関の存在感が薄くなっています。

地域的な事情なのか、病院機能の偏りの問題なのか、あまり医療機関同士の連携が活発ではないのかもしれません。


■地域包括ケアの入院経路と退院先

・全国平均

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・大阪府茨木市

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地域包括ケア入院料は、全国平均でざっくりみると、院内転棟と家庭から患者さんを受け入れて、家庭に帰していく機能になっていますね。

地域包括ケアについては、全国平均と大阪府茨木市を比べて大きな差は感じられませんでした。

強いて言えば、退院先として介護施設の存在感が大きいことがあげられるのではないでしょうか。


■療養病棟の入院経路と退院先

・全国平均

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・大阪府茨木市

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療養病棟入院基本料は、他の病棟と比べると、多様な入院経路で受け入れて、多様な退院先がある病棟となっています。

入院経路では、院内転棟44.5%、他医療機関27.1%、家庭19.0%、介護施設9.0%という割合です。

退院先についても、死亡等35.6%、家庭26.5%、院内転棟11.3%、他医療機関9.7%という割合です。

大阪府茨木市の特徴としては、院内転棟の割合が93.4%と非常に高いこと。退院先として、家庭の割合が4.3%と低いことがあげられます。

全国と比べると、だいぶ機能が偏っている印象を受けますね。

前回の病院マップのデータでも、療養病棟は病床利用率が非常に低い病院が見られたり、平均在院日数が非常に長い病院が見られたりしていました。

大阪府茨木市については、他の病棟に比べて、療養病棟に課題がありそうな印象を受けています。


おわりに

今回は、ツリーマップを使って、患者はどこから来て、どこに行くのかを見てみました。

今回紹介したデータと、自院のデータを比較して見ることで、集患の課題や病棟機能的な課題が見えてくるかもしれません。

以下のリンクから各地域のデータを調べることができますので、ぜひ触ってみてください。

引き続きレポート作成&ツール作りを進めていきます。

興味を持ってくださった方はぜnoteとTwitterをフォローいただけると嬉しいです。

参考リンク
・市場調査レポートの作成 1日目
・市場調査レポートの作成 2日目
・市場調査レポートの作成 3日目
・市場調査レポートの作成 4日目
・市場調査レポートの作成 5日目
・市場調査レポートの作成 6日目
・市場調査レポートの作成 7日目
・市場調査レポートの作成 8日目
・市場調査レポートの作成 9日目

それではまた!

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