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にわか短歌ファンの界隈探索クロニクル 4ヶ月目 2024/8

かなり行動量の多い4ヶ月目の記録です。

8/1
吉川宏志さんの第十歌集・短歌日記『叡電のほとり』を購入。1日1首+短文のスタイルは通して読みやすく、また「今日とその周辺」を時々手に取って眺めるのにも良い。表紙の色もよく、小ぶりな判型も良い。まえ一乗寺に5年くらい住んでいたので、修学院にお住まいの吉川さんの日常はとても親近感がある。

この日、突如5首連作を閃き、短歌同人誌「西瓜」の読者投稿欄「ともに」初出詠。

8/3
服部真里子さんが選ぶ公募企画「短歌まってます」に3首出詠。題は「蝉」。

8/5
「NHK短歌友の会」の季刊作品集『彩歌』夏号がはじめて到着する。5首中4首掲載。うち2首は笹先生の添削が入っている。悪くない感じだったが、特に韻律の感覚は、出詠した3ヶ月前とは大きくアップデートされているので、次はもうちょっといいと思う。

低気圧の近づく気配ながびいて嘔吐こらえるような曇天
ためらいを咎めるように照りつける四時の西陽が真正面から ※添削有り
ふてぶてしい力士のような鳩一羽 満腹の目でわれを見下ろす
もし俺がチタンだったら錆びないしいつでも気分軽くいられる ※添削有り


うたの日、朧(ろう)さんの作品に痺れる。旧かな文語体、読点で刻む不思議なリズムで定型に収める技巧。いつか真似したい。

8/7🦌
立秋の水曜、有給をとって奈良の若草山までひとり吟行に赴く。近鉄奈良駅から麓まで20分、登山道をぐぐっと上って頂上まで行って下りて1時間ぐらい。ちょうどいいショートトリップ。けっこういい発見があった。しかし暑かった。

作った5首連作『若草山に秋を待つ』は、短歌友の会の秋号掲載分に出詠した。

若草山

8/10🦆
鴨葱書店が主催するイベント『歌人と歩く鴨川吟行』に参加。三条大橋から清水五条まで1時間半ぐらい歩き、そのあと七条から鴨葱書店までプラス20分ぐらい歩き、だいぶ素材を仕入れた。そのあと45分の作歌時間では5首つくって2首お披露目。面白かったです。

豪華な顔ぶれが話題の『文學界』9月号が届く。


8/11
早瀬はづきさんのスペースを聞く。連作「カストラート」と「ヴァニーユ」の解説。聞き応えがあった。特にヴァニーユの「コンテキストで配置するのではなく、ストラクチャーの新規性を狙った」というような話が、ちょうど「連作ってどう作るんだろう」と考えていたところにピンときた感じがした。

その勢いで、はづきさんが選者をしている「毎月短歌」連作部門に、若草山吟行で作ったうちの5首を出詠する。入選はしなかったけれど「印象に残った1首」で引いていただいた。

50cmの角もつ牡鹿 伸びてゆく力が自然なんだな 人も

このころ、青松輝さんこと「ベテランち」のYouTubeをちらほら観る。


8/12
京都の書店・泥書房へ。雑誌「現代短歌」のバックナンバーセールということで、102号(乾遥香さん特集回)・100号(現代短歌社賞の発表回)、および泥文庫レーベルで出ている川野芽生さんの『幻象録』を購入。

ライブラリーにあるいろいろな結社誌に圧倒されながら色々眺めていたら、帰りがけ、真野さん?から「八雁」の結社誌を1冊分けていただく。島田幸典さん中心の八雁京都歌会は泥書房でやっているとのこと。通いやすそう。(9月は行けないけど、11月はお邪魔してみようかな……)


里十井円さんのスペースを聞く。実は泥書房に行った目的の一つは、里十井さんが2日間にかけて全員分を解説する〈Anthology of 40 Tanka Poets selected & mixed by Haruka INUI〉の現物を手に入れるため。買いに行った甲斐がありました。はづきさんも里十井さんも、一人のスペースで1時間以上ずっと喋り続けられるの、すごいな。


この日、京都新聞の投稿欄『京都文芸 歌壇』の佳作でとても気になる一首を見つけ、やっぱり新聞投稿がんばろうっていう気持ちになる。以後3週連続で3首出詠した。

8/15
大阪中崎町・葉ね文庫へ。ここは唯一、「塔」を店頭で購入できると聞いて。届いたばかりの封筒の山の中から、最新刊「塔8月号」を掘り出してそのままいただいてきましたw。いま最も気になっている大手結社・塔短歌会。迷い中。

あわせて、服部真里子さんの第二歌集『遠くの敵や硝子を』と、笹公人さんの第五歌集『終楽章』を購入。


8/16-17🏯
金沢へ家族旅行。中2娘の希望で目的地が「石川県立図書館」と「金沢海みらい図書館」で、それぞれラインナップの異なる歌集をひたすら読んで過ごす。県立図書館の揃えは本当に充実していた。ここの近くに住む理由がある。

石川県立図書館


8/18
地元の図書館で、千原こはぎさんの歌集『ちるとしふと』を手に取る。デザイナーをされている千原さんの連作「Ctrl+Z(アンドゥ)」は、めちゃくちゃ共感性の高い職業詠の一連で、にわかに興味を持つ。確かこの流れの中で牛隆佑さんを知る。

池田宏陸さん×今紺しださんのネプリ『流星電波観測所』を出力する。角川短歌8月号に掲載されていた「U-25選手権」の評対談、読み応えがある。

8/21
NHK短歌友の会オンライン提出コースの「特別選評会」がZoomで開催される。60分、掲載全首について江戸さんと笹さんが評をしてくれるという、稀有なイベント。オンラインコースはこの春始まった「1期生」11人しかまだいないので、先行者利益がある。手書き提出・手書き添削のある「友の会」自体は、何百人もが作品集に短歌を寄せていて、一大結社の趣がある。

選をしていただいた笹さんに「比喩が独特」だとほめてもらう。

ナナロク社オンラインショップにて『あたらしい短歌選考会の記録』ならびに青松輝『4』を購入。

8/22
第10回羊雲歌会、解題。11点3席タイと好評をいただく。先月も10点3席だったので意外に打率が良い。羊雲歌会は長文の評を書くのが楽しくて、今回は他の参加者の方でもかなり長文の(しかも濃密な)評を投下される方が複数いて、ほくほくしている。引き続きいちばん楽しみな歌会はここ。

この本を汚すと決めて水風呂へ飛び込むような最初の傍線

8/23
『短歌研究』9月号が到着。いろいろ好きな歌が見つかるが、中でも佐藤モニカさんの60首連作『いにしへの盾』に痺れる。痺れすぎて、PCのメモアプリに全首打ち込んで味わった。

短歌の月刊誌の中では短歌研究がいちばん好きな作品・歌人が多い気がするので、定期購読を申し込んだ。角川短歌はちょっと違うんだけど図書館にあるのでいいにする。


8/25
大阪・豊中の書店「犬と街灯」にて、牛隆佑さんが主催する『犬街歌会』に参加。事前申込なしで、その場でA3ぐらいの紙に太めのサインペンで歌を書き、それをみんなで眺めながら評を言い合うというスタイル。このスタイルは読み上げる時に歌がはじめて開示されるので、色々調べる時間がなく、反射神経が必要とされる。面白いスタイル。

牛さんが編集したおばあさまの私家版歌集『乙丑神無月廿八日』を購入。千原こはぎさんデザインの装丁が印象的。

8/27
「スペース短歌」を聞く。


9月の予定

  • 9/1 (日) 瓜芸こと京都芸術大学にて、塔短歌会創設70周年記念現代短歌シンポジウムin京都2024。台風来てるけどギリ開催してくれそう。

  • 9/3 (火) 19:00 たんたか短歌、初出詠してみたんだけどどうだろう…

  • 9/8 (日) 文学フリマ大阪。一度は会ったことある人がかなり出店されている。お目当ては鴨川吟行フリペ、Lily、haiku souvenir、花野菜、詩の盆踊り、わりかしワンダーランド…

  • 9/15 (日) 松村正直さんの「別邸歌会」参加予定

  • 9/20 (金) 短歌とともに暮らす入り口〜榊原紘の短歌教室

年内に名古屋遠征して平和園にお邪魔してみたい。


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