耳の穴を増やした話

痛い話なので閲覧にご注意ください


以前からちょくちょくやりたかったニードルでの軟骨開けをした。
一昨年初めて軟骨を開けた。その時は病院(麻酔有りお値段12,000円)での施行だった。4ヶ月以上ホールが安定せず、いつのまにか塞がってしまっていたのでリベンジしたかった。
また塞がってしまう可能性があるものに12,000円は出したくなかった。私はせこい人間なのでニードルで自分でやろうと思い至ったのだ。
私はせこいだけではなくビビりで、ドラえもんの世界だったら間違いなくスネ夫だ。金持ちじゃないスネ夫なので良いところがない。
ニードルの予習のためにレビューを読み込むと「時間がかかるほど地獄」ということがよく書いてある。なるほど、苦しみは一瞬の方がいいもんな。やるなら勢いだと学ぶ。
箱を開けて初めて見るニードル、思ったより物々しくない。ミシン針よりちょっと長いくらいだ。
レビューでは「簡単に刺さる」と書いてあったが本当だろうか?
軟骨はアンテナヘリックスを開けることにした。大体の位置を決め、いざ一瞬の地獄巡り。
ぷつ、と音が耳にダイレクトに聞こえる。痛い、というよりは何か熱くなっている気がして、じわじわと込み上げてくる謎の感覚に混乱する。力を少し入れると、つっ、と音と共に反対側にほんの少しの金属が出ている。つつつとするする入っている。
よし、この調子なら大丈夫だ。
私はせこい上にびびりだが何より阿保なので簡単にそう思った。
つつつ、と指がニードルの上を滑っているのをニードルが軟骨を貫通しているのだと錯覚していた。半分以上入ったと思ったのは勘違いで、全く一ミリも進んでいなかったのである。
たかが軟骨、されど軟骨。軟といえども骨なので硬いのだ。入らない入らない。
流石にぐっ、と押し込むと痛さが耳全体に広がる。進まない。かと言って抜くわけにもいかずそもそも抜こうとしても痛い。終わらない地獄が「まだまだだよ」とニタニタしている。
まずかった。
ものの数分で終わると思っていたのに終わらない。刻一刻と時が過ぎる。
まずいのだ。
子のお迎えの時間になってしまう。
「ママ、あの人耳に針が刺さってるよ」「しっ見ちゃいけません」なんて指をさされたくない。針を耳に刺すだけでもう十分だった。
私は半泣きでニードルを押し入れる。ぐっ、ぐっと押せばほんの少しだが進んでくれた。やった、地獄の終わりが見えて来た!
あと少しというところで一度止める。ファーストピアスを用意するのだ。
ニードルを貫通させきる前に、ファーストピアスをセットして一緒に穴に通すのが普通らしい。
普通なのだ。
普通なのに、何故ファーストピアスがニードルと喧嘩をするのだろう。一向にファッピがニードルの後ろにセット出来ない。
私のイメージではニードルの穴部分にファッピが入り、そのまま楽に貫通!の予定だった。
ニードルの穴に入らない。同じサイズを買ったはずなのに。
力業でニードルの後ろにつけて押してみるもファッピがすぐ何処かに逸れてしまう。流石に私も半泣きではなく本気でベソベソし始めた。
何故ならニードルが1人で貫通してしまったからだ。
ファーストピアスを見捨ててニードルは軟骨を貫通した。血がぴゅっと出て「あっドラマとかでよく見るやつ!抜くと一気に血が出るやつだ!」とキャッキャしたのは血流が良くなってテンションが上がったからに違いない。
このままだとただただニードル軟骨に刺しただけの人になってしまう。それは嫌だった。なぜ私はアンテナヘリックスに穴を開けたのか。穴の位置がすこぶる見えにくく、耳を裏返さらないと穴がわからなかった。頑張って穴を探してファッピを刺した。
1番痛かった。

そんなこんなで初ニードルはやり遂げることが出来、アンテナも刺すことが出来たのだった。次回また開ける時はサイズに気をつけたい。

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