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【書評】最高の体調。なんだか調子が悪いのは「文明病」のせいかもしれない。

入江シンゴです。プログラミングのメンターサービス「MENTA」を運営しています。

動画版もあります↓

メンタリストのDaigoが「僕が日本で一番尊敬する人の本です」という紹介をしていたので、つい、即購入して読んでみました。

著者は鈴木祐さん。パレオな男という月間100万PVのブログを運営するサイエンスライターさん。月に1冊くらい書いてるすごい方です。そういえば最近読んだ、「ヤバい集中力」も鈴木さんの本でした。

最高の体調。というタイトル。うつ、肥満、散漫な集中力、慢性疲労などすべての問題はつながっており、その原因は「文明病」である。というのが著者の主張です。

「文明病」が心と身体をむしばんでいく

1995年、ワシントン州の牧師、ボブ・ムーアヘッド氏は「現代の矛盾」というエッセイを発表しました。

私たち人間は、長大なビルを作り上げたが、いっぽうで気は短くなった。
道路を広くしたわりに、視野は狭くなった。
お金を使っても身につくものはなく、ものを買っても楽しみは少ない。
家は大きくなったが、家族との関わりは小さい。
便利になったのに、時間はない。
専門家が増えても、それ以上に問題も増えた。
薬は増えたのに、健康な人間は減った。
私たちは酒を飲みすぎ、タバコを吸いすぎ、時間をムダに過ごし、少ししか笑わず、毎日を急ぎすぎ、怒りすぎ、夜更けまで起きすぎ、目覚めたらすでに疲れている。

この文章に共感する人は多いと思います。僕も共感します。これだけ便利な世の中になったのに、なにか満たされていない。幸福からはむしろ離れていっているような気さえします。

「文明病」とは、近代社会の変化によって引き起こされる、現代に特有の病気や症状を意味します。

人類は600万年もの間、狩猟採集生活を続けてきました。農耕生活に移行したのは1-2万年前に過ぎません。現在、人類の体が社会の進化に追いついておらず、そのズレが体を不調にしています。

122歳で息を引き取ったジャヌカルマン氏は「世界一の長寿」としてギネス認定されました。彼女がすごいのは歳をとってもパフォーマンスを維持し続けたことです。85歳でフェンシングをはじめ、100歳まで自転車でパリの町を走り抜け、114歳で女優として見事なセリフ回しを披露。

このように長寿でパフォーマンスが高い人の共通点がありました。それは「体の炎症レベル」が異様に低い。ということでした。

炎症が長引くと人体を守るために免疫システムが常時激しい戦いをしなければなりません。そのせいで血管や細胞にダメージがおよびます。そして全身の機能が下がっていきます。

パプアニューギニアで暮らすキタヴァ族は漁獲とイモ類の栽培で暮らす伝統的な狩猟採集民族。彼らの健康状態を調べたところ、脳卒中や動脈硬化にかかるケースはなく、糖尿病の発症率は1%ほど。癌の割合もほぼゼロだったそうです。キタヴァ族のような古代からの暮らしを続けている部族には、炎症がずっと続くというような慢性炎症が見られませんでした。

その違いは大きく3つに分類されます。

多すぎる:古代には少なかったものが豊富すぎる
少なすぎる:古代には豊富だったものが少なすぎる
新しすぎる:古代には存在してなかったものが現れた

そして、人類本来の自然な形に修正していくことで、最高の体調に近づけようというのが本書の主張です。


腸内細菌は細菌やバクテリアから身を守ってくれます。ところが、実は現代では腸内細菌を減らしてしまっていることが多いのです。

かつては身の回りにあふれていた微生物が近代化のプロセスを経て減り、そのおかげで免疫システムに狂いが出ています。

減っている理由はひとつは衛生の問題。必要以上の抗菌グッズで菌が減り、免疫システムが弱くなっています。もうひとつは食糧問題。腸内細菌がおもな食料としている食物繊維が減っているため。

抗菌グッズを必要以上に使わないこと。そして、食物繊維が多い食品をとること。食物繊維は、野菜とフルーツに多く含まれています(ゴボウ、寒天、海藻、きのこ類、オクラ、リンゴなど)。

環境

古代と比べて大きく変わったもの。それは自然が減っていることです。現代では人口の7割ものに人たちが都会に暮らしています。

2016年にダービー大学が「自然とのふれあいはどれだけ体にいいのか?」を調べたとところ、「確実に人体の副交感神経が活性化する」ということがわかりました。

副交感神経は気持ちが穏やかな時に働く自律神経で、日中に溜まった疲れやダメージを回復させる働きをもっています。つまり、自然は人体の披露を回復する働きを持っています。

一番いいのは公園に10分でもいいので行くこと。それが難しければ、実は「ニセモノの自然」でもリラックス効果があることがわかっています。例えば自然音を聞くとか、自然の写真を見るだけでも効果があります。観葉植物もいいそうです。

ストレス

心臓麻痺の死亡者は世界で年に1,700万人。そのうち25%は激しいストレスによるものと考えられています。精神にストレスがかかった状態だと、心臓のエンジンはふかしっぱなしになり、夜になっても休む暇もありません。その結果、心臓や血管に過度の負担がかかり、突然死に至ります。

ストレスを感じた時に効くひとことがあります。

例えば、自分が大勢の前でスピーチをする場面を想像してみましょう。あなたの頭には「セリフを忘れたらどうしよう」「笑われるかも知れない」といった思考がうずまき、ほどなく全身にストレス反応がおきます。こんな状況でもっとも効果が高いのが「リアプレイザル」です。

スピーチの直前にストレス反応が起き始めたら「楽しくなってきたぞ!」や「興奮してきたぞ!」と自分に言い聞かせるだけで、本当にそのような気持ちになってくることがわかっています。

ハーバード大学の実験では、すべての被験者に「スピーチ」「カラオケ」「数学のテスト」などを指示したところ、自分のストレス反応を「楽しくなってきた」とポジティブに解釈したグループは、それぞれ17〜22%も成績が良くなったそうです。

僕も飲み会とかでこれをやっていて、これは本当にそう思ってやってるんですが、はじまって数分で「楽しくなってきましたね!」と言ってました。そうすると、本当にそのあと盛り上がってくるんですよね。今思えばこれもリアプレイザル効果です。

寝不足が続くとダメージを修復できない

睡眠負債」という言葉があります。

これは睡眠の量を借金に例えた表現です。毎日の寝不足が少しづつ溜まっていくと、やがて債務超過に達して様々な疾患を引き起こします。睡眠負債が怖いのは、本人も気づかないうちにじわじわと債務が増えていくことです。

たとえば1日30分づつの寝不足が続いた場合、最初のうちは借り入れが少なくて気が楽ですが、放っておくうちに返済できなくなり家計が破綻。心疾患や鬱病などの症状がでて手遅れになります。

睡眠は日中のストレスを回復させる働きがあります。だから、寝不足がつづくとストレスが溜まって体に悪影響を与えるのです。

睡眠不足の解消にはよく言われることですが「日中に太陽の光を浴びる時間を増やす」「寝る前はデジタルデバイスをみない」「寝る前には室内の照明を暗くする」などがあります。僕も最低限7時間以上は眠るために、入眠しやすくなるように環境をつくっています。

運動はストレスを激減させる

2016年、キャンベラ大学が「エクササイズでどれだけ私たちのパフォーマンスが上がるのか」を調べたものがあります。

その結果、まずわかったのは、どんな運動でも、ある程度の負荷があれば脳には良い影響があるという事実でした。筋トレでも水泳でもランニングでも。とりあえず体を動かしておけば、脳機能は確実にアップします。

パフォーマンスが上がる最低条件は以下の通り。

・1回のセッションで45-60分ぐらいの運動をするとストレスが改善し、認知機能も向上する
・「週に2回の運動」と「週に4回の運動」を比べた場合、両者に大きな効果の差はない
・運動のレベルは「軽く息が上がるくらい」から「ヘトヘトになるぐらい」までの範囲でやる

カールスルーエ工科大学の実験では、1回30〜60分の軽いウォーキングを週2回だけ行った学生は、なんの運動もしなかったグループにくらべてストレスが減り、期末テストの成績も向上したそうです。

天才と呼ばれた人たちも、必ずといっていいほど散歩をルーティーンにいれていました。歩くことは健康にいいだけでなく、ストレスを減らし、脳機能を向上させます。僕も外にでるのが難しい時は、家にステッパーをおいていて踏みながら仕事をしています。

体調は根本から治していく

マッサージをしてもそのときは気持ちがいいけど、またすぐに体が痛くなります。この本を読んで対処療法的なことをやるより、腸、環境、ストレス対策など自分の体が快適に動けるような根本的な対策をやっていこうと思いました。

年末には嘔吐下痢病、年始にはインフルエンザにかかってしまい、体調を崩してしまうとそこから復活するまでに時間と体力を使うことを身をもって体験しました。普段からベストコンディションな体調づくりに気をつけて、仕事のパフォーマンスを高めていきたいです。

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