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6.トラウマ体験あるある⁉@無痛分娩

 TwitterなどのSNSで盛り上がっている無痛分娩ネタを、専門家の入駒慎吾が考察していくシリーズです。今回の「麻酔なしの分娩=拷問」というつぶやきからヒントを得て、無痛分娩であるあるなトラウマについて考察していきたいと思います。

無痛分娩とは麻酔で陣痛を緩和するプロセス

 これまでもコメントしてきましたが、無痛分娩では麻酔を用います。麻酔を使って、陣痛を緩和します。決して精神論ではなく、科学(医学)で対応する方法ということになります。人間だけでなく動物の特徴として、不快極まりない“痛み”という感覚を回避する手段があれば、必ずそれを選択するものなのです。

正に拷問!!

 このように、痛みを回避する方法を知っている妊婦に、それを選択させないというのは、正に拷問だと思います。人間は本当に残酷なことを思いつくものですね(涙)。ただ、こんなわかりやすくはなくても、無痛分娩に関わる拷問(トラウマ)はあり得るんです。

トラウマ その1

 無痛分娩を希望することは、妊婦さんのバースプランの1つとなります。医療従事者は、その妊婦さんのバースプランを安心・安全に達成できるようにプロフェッショナリズムを発揮することになるはずです。しかし、自分たちの価値観を押し付け、その痛くないお産(無痛分娩)というバースプランを捻じ曲げてしまうことがたまにあります。とても悲しいことではありますが、私も何度か近くで経験しました。プロフェッショナリズムと価値観の押し付けの違いをしっかり認識できるといいのですが・・・。

トラウマ その2

 無痛分娩を選択し、それを受け入れられた妊婦さんでも、まだ安心はできません。ご自分が無痛分娩を受ける施設の無痛分娩のシステムが重要になります。日本では昼間に無痛分娩で出産するように、人工的に分娩に向かわせる計画分娩による無痛分娩が一般的です。子宮の出口を広げる処置と陣痛促進剤の投与がセットになっていることが多いです。このような手順で進めるつもりでも、時として突発的にお産が早まったりします。こんな時、日中でないという理由で、無痛分娩が受けられないことがあるんです(涙)

トラウマ その3

 予定通り無痛分娩(麻酔)が始まり順当に経過していても、分娩直前に陣痛を強めるという理由で麻酔を中止するやり方があります。このやり方には、いわゆるエビデンス(科学的根拠)はありません。しかし、ある一定数の施設でまかり通っている方法であることは間違いありません。このことは、前もって説明を受けていれば納得できるのかもしれませんが、もし聞いていなかったと考えると背筋が凍ります。一番痛い所で、麻酔を切るという事実・・・。

トラウマの行きつく先

 トラウマはPTSDを生み出すわけですが、事お産に関しては“産後うつ”のリスクになると言われています。痛くないお産を望みながら、自分のバーズプランを達成できないことが引き金になっているようです。逆に、無痛分娩を希望しようがしまいが、自分のバースプラン通りにお産をすれば、産後うつは増加しません。妊婦さんのガッカリは、精神疾患のリスクになるんです。将来の国の財産となる子供たちの子育てに、悪影響を及ぼしかねない産後うつのリスクが増えないことを願っています。


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