#666 機械鎧(オートメイル)
先日、テニスの大会に出場した時のこと。参加者の中の1人の選手が、右腕に義手をつけている方でした。ラケットを左で持ちながら、丁寧に義手の掌にボールをのせ、腕をあげる反動でボールを高くあげ、そのままラケットを振り抜く。
彼のプレーを観戦しながら、大会に参加するまでの過程を自分なりに想像してみます。右手を失う前からテニスをしていたのか、それとも失ってからテニスを始めたのか。前者だったら、好きなテニスを奪われる絶望があったかもしれない。後者は、他の競技ができなくなった結果、片手で打てるテニスを選んだかもしれない。あ、もしかしたら、先天的なものかもしれない。義手を用いて、あれだけトスをあげるまで、どれだけ練習したのだろう。自分が今もし片方の腕を失ってしまったとしたら、テニスを続けるだろうか。でも、彼と出会ったおかげで、おそらく自分も続けられるだろうと言う気持ちになる。
いよいよ私との対戦。当然、プレーの中にぎこちなさはあるけれど、試合が始まれば、最初私が感じた違和感などどうでもよくなる。ただ、テニスをする者同士、勝利を目指して一生懸命プレーするだけ。試合が終われば、互いの頑張りをリスペクトし、いつかまた再選する時まで、お互い練習を重ねるのでしょう。
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