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先輩後輩関係を強調する、”ホモソーシャル男子”たちの上手なあしらい方(シン・時事恋愛)

「体育会系」は、ずっと気になっているテーマで、いつか一冊にまとめたいと思っていたところ、友人のサンドラ・ヘフェリンさんの新刊が、まさにそのテーマ。読むのが楽しみです!

いわゆる、体育会系、部活文化、男だけのノリは、まさに、日本の企業が抱える病のひとつです。多くの女性にとっては、ついていけないどころか、弊害にもなっています。

当時は、「適当につきあっておけばモテるよ」という文脈でコラムを書いたのですが、今となると、その闇の深さに、「うーん」とうならざるを得ません。

ですので、あくまで恋愛の現場における笑い話として、お読みいただければ幸いです。

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みなさん、こんにちは! 働く女子のための”恋愛社会学”をレクチャーする「時事恋愛」、今回のテーマは「男子たちの先輩・後輩関係」です。
 
 先日、「恋と仕事のキャリアカフェ」に来た女性が、「久しぶりに合コンに行ったら、男性陣の一番上と一番下が年齢が10歳ぐらい離れていて、なんだかやりにくかったです」とぼやいていました。
 
 みなさんもそういう経験、ありませんか?
 
 合コンや食事会に赴いてみたら、男性たちが大学時代あるいは職場の先輩・後輩チーム。後輩は「〜〜さん、次何飲みます?」と常に先輩に気をつかい、先輩は「おう、じゃあ、焼酎で」とおおむね鷹揚な態度。どれだけ酔っても敬語関係は崩れず、一番年下の男性は、ドリンクを作ったり店員への交渉をしたりと、幹事として立ち働くのが当然という空気が流れます。
  
 そのくせ面白いのが、先輩たちはそれほど威圧的な態度を取るわけでもなく、後輩たちも敬語混じりながらも突っ込むところは突っ込んで、一体となってキャッキャと楽しそう。ときとして男性たちだけで内輪話で盛り上がり、女性陣をほったらかしにして仲のいいところを見せつけます。
  
 テレビのトーク番組で、吉本の芸人たちが「ちょっと、兄さん、何バカなこと言ってるんですか〜」「おまえそんなこと言うと、今度の沖縄旅行連れて行かないぞ〜」(関西弁の書き起こしは自粛しました)と、人目もはばからずにイチャイチャしているあの構図です。
  
 冒頭の女性のように、この空気感が苦手でどこかしらけてしまう女子も多いようですが、みなさんはいかがですか?

 この男性同士の強い連帯関係は、学術的には「ホモソーシャル」とも言われ、いわゆる”体育会系”にありがちな文化です。学生時代に”本物”の体育会に所属していなくても、日本の男子たちは小さいころから部活文化、先輩・後輩文化にもまれて育ってきています。そして、ザ・部活とも言うべき”会社組織”の中で、その傾向はさらに強固なものとなっていきます。
 
 さて、男性たちが自ら進んでその関係に身を置きたがるのは、オスとしての本能があると思われます。放っておくとすぐ、「どちらが優れているか」を張り合う傾向のある彼らは、平等な関係で扱われるとついがんばりすぎて疲れてしまうのです。敬語関係という(表面的には)明確な序列に組み込まれているほうが、ストレスなくゆったりと各自の役割を果たし、自分のキャラを発揮できるというわけです。
 
 男性陣が同列関係(大学の同期や会社の同期)の合コンと比べると、その違いがよく分かります。”同期合コン”では、常に「どっちがモテるんだ?」という水面下の小競り合いがおこなれ、表面的には仲がよさそうでも、殺伐とした空気が流れがちです。もちろん、そういう”本気合コン”を好む女性もいるかもしれませんが、少なくとも、”先輩・後輩合コン”に流れる、どこかまったりした「お食事会」的な空気は損なわれます。

 というわけなので、後輩くんが敬語で話したり、先輩氏が命令口調で話すのに、それほど深い意味はなく、むしろ仲良しが仲良しでいるための合い言葉のようなものなので、真に受けて引いたりする必要はありません。
  
 逆に、そんな彼らからすれば、小さいときから「みんなで仲良く」ということに慣れている女性たちの、変幻自在のコミュニケーションのほうがよっぽど不思議です。初対面の年上の女性に対しても、会話2往復ぐらいで「〜〜ちゃんって呼んでいい?」とタメ口を始めてしまう女子たちに、男子たちが唖然としている光景をよく見かけますよね(男性たちは異業種交流会などでも、いつまでもずっと「さん」づけで呼んでいて、なかなか打ち解けません)。
 
 「幼稚園のときからの幼なじみ3人組」で合コンに現れる女性は珍しくありませんが、男性たちからすれば、それはまったくもってあり得ないことなのです。
 
 ◆「体育会系ごっこ」に乗っかるだけでモテる!?
 
 では、そうした先輩・後輩の絆を強調し、ときとして「〜〜さんに失礼なことを言うんじゃない!」と、女性陣にもその枠組みを押しつけようとしてくる彼らには、どう対処すればいいのでしょうか?
 
 基本的には、その「体育会系ごっこ」に乗っかってあげることをオススメします。
 
 後輩くんと話すときには、「〜〜さん(先輩)、グラス空いてるけど、お酒頼まなくていいかな?」と気を使うと、「あ、ほんとだ、ありがとう!」と喜ばれます。
 
 逆に、先輩氏と話すときには、「○○くん(後輩)って、ホントに面白い人ですね」と持ち上げると、「そうだろう〜? あいつは、ほんとかわいいんだよ」と相好を崩してのろけてきます。
 
 こうして、彼らの枠組みにつきあってあげるだけで「あの子は気配りができる」「あの子は周りが見えてる」と評価が高くなり、モテてしまうので笑えます。
  
 ちなみに、鉄の結束で結ばれた彼らは恋愛上の抜け駆けをすることはめったになく、とくに先輩氏の気に入った女性を、後輩が横からかっさらうということはあり得ません。ですから、気に入った男性との恋愛活動は、後日個別で行うようにしましょう(これも、アピール合戦を繰り広げて隙あらばツーショットになろうとする、”同期合コン”とは大きく違うところです)。
 
 もちろん、後輩くんと実際におつき合いが始まったら、先輩氏には報告・挨拶が必要となるなど、どこまでもめんどくさいこのシステムですが、これが、日本の男子のDNAにすり込まれた「タテ社会・体育会系イチャイチャ」の正体です。
 
 もちろん会社での飲み会にも役立つこのテクニック。子供のままごとにイチイチ目くじらを立てず、「はいはい、そうねそうね」と合わせてあげる余裕のある方は、ぜひ試してみてください!

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