緊張状態からの症状⑦酸欠

自律神経の緊張状態は状態が長引くにつれ、自律神経のみならず他の神経にもダメージを与えます。

例えば運動神経。
運動神経とは脳からの命令を受けて筋肉に司令を出し、身体を動かす時に使う神経です。
運動神経がいい、などといった言葉を使いますが、ここでは固体の能力値の差の話ではありません。

慢性的な緊張状態は身体のあらゆる臓器を硬直させ、機能を制限してしまう、というのは今までの内容で理解できたかと思います。
硬直し、動きが悪くなる、という点では肺も同様です。
ただし、肺は臓器そのものが動けるわけではなく、単なる膜のようなものでできています。
肺を動かしているのは主に横隔膜という筋肉の働きによるものです。

横隔膜は肋骨の下側、胸郭(肋骨と胸骨、胸椎でできた鳥かご状の部分)の下側を塞ぐように覆う筋肉です。
横隔膜も筋肉の一種ですが、手や足に付いている筋肉とは少し性質が異なります。
一般的な骨格筋は大脳からの命令(自分で考えて出す命令)によって自覚的に動かします。横隔膜ももちろん同じく自分で動かせます。
しかし、意識していなくても24時間呼吸を続けていることからもわかるように、横隔膜は無意識的にも動いていますよね。
横隔膜は運動神経、自律神経のどちらの命令でも動く、神経の二重支配を受けている数少ない筋肉です。

緊張状態の時、動物は敵に存在を悟られないよう、呼吸を速く浅くします。
そうすることで呼吸音を弱め、敵に認知されにくくなります。
緊張状態が慢性化すると、横隔膜の動きが制限され、そのうち徐々に硬くなっていきます。
連動して肺の動きも弱くなり、周りを囲う肋骨などの骨格、肋間筋などの筋肉もそれぞれ硬直し、胸郭そのものが固まってしまいます。
自分の力では動かせないほど横隔膜や胸郭が固まってしまうと、意識して呼吸しようとしても身体が思うように動かせません。
そうなると呼吸によって身体に取り込むことのできる酸素の量が大幅に減ってしまい、慢性的な酸欠状態を引き起こします。

酸欠は非常に多岐に渡る症状に繋がっていきます。
酸欠で脳からの命令が不足することによる各種臓器の衰弱
脳が働かないことによる集中力の欠如、記憶力の衰弱
酸欠で著しく不安になることでのメンタル系の症状(うつ、パニックなど)
妊娠中のさらなる酸欠でのつわりの症状
気圧によるさらなる酸欠での症状
など、酸欠と身体の不調とは密接な関係があります。

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