前世の約束8

泉が退院してまだ信じられないが泉が隣にいる日常が始まる。泉は果たして僕の事を好きになってくれるのだろうか?しかし周りに知られたくないという事だが皆がいるとき泉とどう接していいか分からなかった。皆の前では休み時間も部活中も前と何も変わらない。帰りも一緒に帰る事が出来ないので僕らはいつも学校が終わったら僕の家の前で待ち合わせをしていた。
泉 「お待たせ。待った?」
伊緒「いや。」
泉 「どうしょうか?」
伊緒「1ヶ月たったけどどう?」
泉 「何が?」
伊緒「俺の事好きになれそう?」
泉 「もう随分前から私、伊緒君の事好きだよ。」
伊緒「本当に?」
泉 「うん。」
伊緒「やったー!」
僕は飛び跳ねて喜んだ。遂に泉と恋人として付き合うことが出来る。
泉 「でも皆にはまだ言わないでほしいの。」
伊緒「何で?」
泉 「・・・・。」
伊緒「分かった。」
こうして僕は泉と付き合う事になった。泉はなぜか僕と付き合う事を人には言いたがらなかった。きっと別れて間もない内に他の奴とすぐ付き合ったと思われたくなかったのだろうと思う。だが僕にとってはそんな事はどうでもよかった。
1996年冬。僕と泉は付き合って始めてのクリスマスを迎える。
泉 「クリスマスはどうしようか?」
伊緒「人混みは嫌いだからホームパーティがいいなぁ。」
泉 「じゃーそうしようか。」
泉 「プレゼントは何が欲しい?」
伊緒「こたつ。」
訳の分からない事を言ってしまった。こうして僕達の始めてのクリスマスは僕の家で過ごす事になった。
伊緒「恭介!明日暇?」
恭介「暇だけど。」
伊緒「ちょっと付き合えよ。」
クリスマスの前の日曜日、僕は中学からの友達の恭介と泉のプレゼントを買いに行く事にした。恭介は違う高校なので、別にいいと思い僕と泉の関係を話した。 恭介もその頃二人目位の彼女がいた。
恭介「へぇーお前が彼女にプレゼントかぁ。」
伊緒「そこで経験豊富な恭介さんにお願いした訳よ。」
恭介「OK!まかせとけー。」
こうして僕達は、朝10時に待ち合わせして原宿に行った。恭介も彼女にプレゼントを買うみたいだ。恭介は中学の頃はそれほどまで親しくなかったが高校に入り、そりが合うので急激に仲良くなった。僕から見た恭介は大人だった。僕がふざけてちゃらけても恭介はいつも笑うだけで、決して一緒になって、ちゃらけたりはしなかった。
伊緒「今までプレゼントって何買った?」
恭介「たいしたもん買ってないよ。香水とか財布とか。」
当時は香水が大流行していた。
伊緒「いくら位?」
恭介「1万から2万位かな。」
伊緒「今回は何買うの?」
恭介「俺は香水でいいや。お前は?」
伊緒「決めてない。」
僕らは原宿に着いた。原宿に来たのは何年ぶりだろう?着くなり恭介は香水を買った。僕は1時間2時間見ても全然決まらない。
恭介「飯にしようぜ。」
伊緒「あー。」
こうして僕らは昼食を食べる事にした。
恭介「予算は?」
伊緒「2万位。」
恭介「気合い入ってるねー。まぁ始めての彼女だもんな。」
伊緒「悪いな。付き合わせて。」
恭介「ゆっくり選んでくださいよ。」
バイトしていくらか貯金があったので、僕は奮発した。僕らは昼食を食べまた原宿の街の中へ入って行った。プレゼントを買うなんて慣れてない僕は何買うかさっぱり浮かんでこなかった。また時間だけが過ぎて行く僕らはたまたま通りかかったラフォーレ原宿に入った。中に入り時計店に入った。
伊緒「これがいい。」
僕がやっとの思いで選んだ物は1万6千円のVIVAYOUというブランドの時計である。手首の型をとってある銀のバンドにオレンジの針、とてもかわいい時計だ。
恭介「始めてにしてはセンスいいじゃん!」
伊緒「だろー。」
恭介「絶対彼女喜ぶよ!」
伊緒「だといいけど。」
僕はプレゼントを早く泉に渡したかった。泉は僕に何をくれるのだろうか?冗談でこたつと言ったけどまさかね。そうして僕らは付き合って始めてのクリスマスを迎えた。

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