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年明けの一読

『コロナ時代の僕ら』
パオロ・ジョルダーノ著 飯田 亮介 訳
早川書房
原題: Nel contagio (直訳:感染下において)

を遅ればせながら読んだ。

昨年、2020年の年明けに、
遠くに住む友人達と連絡を取り合った。
挨拶と近況報告をし合っていた。

オリンピックの前後に、
会う約束をしていた。
訪日してくれる予定の友人達もいた。
予約も済ませてくれていた。


それから3カ月後には、
無事を確認し合い、健康を祈り合った。
約束のことには、お互いに触れないようにした。



友人達は、表現力が豊かで、
心を尽くしたコミュニケーションをとる。
おかげで、
英語や、イタリア語であっても、
ネイティブではない私にも、
彼女達の言葉は、真っ直ぐ届く。

この本の著者も、
同じような言葉のつかい方をしている。
どの国のどの立場の人が読んでも、
できる限り不快に感じないように、
心をくばりながら丁寧に考えを記している。

日本よりも厳しい状況の中にいながら、
早い段階で、
現実を確りと受け止めていることが、
最初の数頁を読んだだけでわかった。

友人達からのメッセージに、
返す言葉が見つからないまま、
この本も、
最初の数頁から先に進めないまま。

現実を真っ直ぐに直視した著者の視点。

整理整頓された広い視野の中で、
境界線を取り払い、
偏りのないように設定されている。

迷いの無い言葉達は、
散らかったままのグチャグチャを見ながら
途方にくれたままの自分を、
直視するように迫ってきた。
怖くなって、目線を逸らした。

目の届かないところに、そっと置いたまま、
半年以上が経ってしまった。

うろたえて停止したままの自分に、
目を背けていた。

 *

年明けに、
2度目の緊急事態宣言が予告される中、
読んでおこうと思い至った。

グチャグチャのままだと、
境界線が埋もれて見えなくなる。
思考が止まって、感情が溢れかえって、
自分の手に負えなくなってしまっていたから。
優しさに甘えすぎて、迷惑もかけてしまった。


自分で解決することと
誰かを頼ってもいいこと、

伝えておかなければいけないことと
自分の中で消化しなければいけないこと、

自分に厳しくしなければいけないことと
自分に優しくしなければいけないこと、


境界線を見極めるための思考。

きちんと整理をして、余地をつくった。
ウィルスの流行、地震、豪雨、事故や病気、
いつも不意をついてくる。
突然、どんな事態に置かれても、
何とかとどまってひと息つけるように。
思考を止めてしまわないように。

同じかそれ以上に、
激しく厳しい時の流れの中でも
堅牢な姿勢で、現実を受け止めていた視点。

目線を揃えて、
頭の中を整理した。

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著者のあとがきに救われた。

友人達には、
温もりをできる限りこめた言葉を送った。
それ以上に温かい言葉が届いた。

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ありがとうございます♡
たいせつな人に伝えておきたい想いや個人的な出来事を記した散文です。やさしいにほんごの練習の場としても使わせていただいています。どなたでも読んだり見たりしていただけたら嬉しいです。