2022/5/14 週間マーケットレポート

週間の値動きと概況

アメリカ長期金利(10年):2.922%
アメリカ10年BEI:2.69%
実質金利:0.232%

ニューヨーク市場は前週比で下落しています。6月と7月のFOMCでは0.5%の利上げが議題になるというFRBパウエル議長の発言を、複数のFRB高官が支持しました。また、FRBメンバーからは金融引締めに関する発言が相次ぎました。アメリカ消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)についてはPPIコア以外は予想を上回り、高止まりしています。

ウクライナでは、東部ドンバスでロシアがやや優勢、南部ヘルソンは膠着、ハリコフではウクライナが優勢となっています。ドンバスではロシアがドネツ川北側から占領を進めていますが、渡河時に大きな損害を受けるなど引き続き戦力の消耗が激しいようです。

生活必需品や公益といったディフェンシブセクター以外はおおむね下落しています。

(考察・感想)
ウクライナ侵攻の終わりが見えず、FRB高官からも引き締め発言が続いたことで今週は株価が下落したかと思います。FRBがさらなる引き締め姿勢を見せ、長期金利と実質金利が上昇している状況では、安全なポートフォリオにして様子見をするのが良いかと思います。引き続き投資可能なタイミングを見定めていきたいと思います。

消費者物価指数(CPI)とFRB高官発言

ここ数年の消費者物価指数(CPI)の推移は以下となります。

https://twitter.com/KathyJones/status/1524368936464044032/photo/1

前月比のデータをもとにここ数ヶ月の推移を見ると、以下のようになっています。

Goods:前月比+1%程度の上昇が続いていたところ、3月の前月比は-0.4%、4月の前月比は+0.2%と落ち着いてきている
Services:Shelter(家賃)が続けて+0.5%伸びているという要因が大きく、前月比+0.5%程度が続いている
Food:1月以降は前月比+1.0%が続いている
Energy:上下が激しいものの、4月の前月比は-2.7%と一服感がある

こうしたインフレ昂進を受け、今週はFRB高官から引き締めに関する発言が相次ぎました。

FRBパウエル議長「米経済がほぼ想定通りに展開した場合は、今後2回の会合で0.5%ずつ追加利上げするのが適切となるだろう」
デイリー総裁「0.5%のペースでの利上げは極めて理にかなっていて、今後数回の会合でその動きを停止する理由は存在しない」
ボスティック総裁「おそらく2回、もしくは3回(0.5%の利上げを)実施し、インフレが引き続き2%の目標に近づくか見極めた後、利上げを小休止し、状況を確認する」
メスター総裁「永遠に0.75%の利上げを排除するのではない」

(考察・感想)
下記のように、インフレ昂進が始まったのが2021年4月あたりなので、ちょうど1年経過することになります。原油価格などが昨年ほどの伸びを見せない限り、前年同月比ではピークアウトととらえられることも多くなりそうだと思います。しかし、インフレ率を8%から2%に戻すのは難易度が高く時間がかかるでしょう。ウクライナ侵攻とサプライチェーンの目詰まりというコントロールできない要素がある中で、FRBが引き締めに動くと株価が下落するリスクも大きいように思います。

消費者物価指数(CPI)前年同月比
https://info.finance.yahoo.co.jp/fx/marketcalendar/detail/9052

見通し

1.ウクライナ情勢
東部ドンバスでロシアがやや優勢、南部ヘルソンは膠着、ハリコフ周辺ではウクライナが優勢です。各地域での安定的な支配が定まるまで停戦交渉はなさそうです。

2.金利動向

アメリカ長期金利(10年)がどこまで上昇するかに注目です。以下は日足チャートです。

短期では、インフレが継続しつつ各国中銀の引き締め姿勢がはっきりとし、株価がすぐに最高値を更新するのは難しい状況かと思います。エネルギー関連の制裁が強化されたり、長期金利が引き続き上昇すると、株価も大きく下落しそうです。為替はウクライナ情勢次第で巻き戻しがあるかもしれません。

長期では、長期金利が大きく上昇したため、安全なポートフォリオとしています。また投資比率を上げれる状況になるか様子を見ていこうと思います。

先進国インデックス   30%
現金・国内債券 70%

来週の主な予定

5/17(火)アメリカ小売売上高
5/17(火)FRBパウエル議長発言
5/19(木)ECB理事会議事要旨


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