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創作 霊験 (3)-④ 油問屋の娘の祝言

 恋に夢中な油問屋の娘の気付かぬうちに、縁談話は着々と、進んでいた。
 娘は、毎日機嫌がよく肌艶もいい。化粧や着付けに余念がない。
 お嬢さん、うれしいそうですね、と、雇い人に声をかけられると、あら、そう、ふふふ、なんて、思わせ振りに笑うその顔が輝いている。
 辺りは、こりぁてっきり、番頭さんとの縁組を承知してのことだろう、祝言を楽しみにしてのことに違いない、と思いこむ。
 芝居小屋は店からかなり離れている。
 しかも娘と役者が逢瀬を重ねるのは、その芝居小屋の上演中だ。送り迎えの丁稚でさえも気付かぬ仲だ。

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