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北欧デンマーク独自の専門家Pædagog(ペタゴー)との対話

毎週日曜日の21:00-21:45にオンラインで、子どもや若者の幸福、発達、学習、教育のサポートをする北欧デンマーク独自の専門家Pædagog(ペタゴー)との対話を行なっている。誰でも閲覧し、参加できるように、Facebook liveで配信。コメントや感想、質問を取り入れるオープン形式をとっている。

6/27(日)は、”子どもたちの放課後”、つまり”学校以外の時間”についての話をしていった。私には小1の娘がいるけれど、学校の授業が終わった後、公立の学童を利用している。 

デンマークには、学校が終わった後にユースセンターという場所がある。公立の施設だけれど、日本の学童とは、大きくイメージが違う場所。今日、Madsも言っていたけれど、日本のカタリバ(日本だと高校生が対象?)のようなコンセプトや取り組みが、デンマークの小学生〜中学生が過ごす公立の一般的なユースセンター。

日本の公立の学童は、”子どもの放課後の居場所”である。特に、共働きの親にとっては、子どもを安全に預かってくれる場所としては、とてもありがたい。室内で安全に過ごし、オヤツも用意してくれる。小学校の低学年は、まだ、一人で家で過ごすには不安もある。公立の学童以外には、民間の学童か、習い事といったところで時間を過ごすことになる。
ただ、考えてみたら、私が子どもだった時代には、小学校の低学年のころには学童という存在はなかったし、家にランドセルをおいたら、すぐに近所の公園に遊びに行って、そこにいる異年齢の子どもたちと遊ぶという過ごし方をしていた。もう35年くらい前のことだから、何の参考にもならないけれど・・・。

さて、現代に戻して、公立の学童を考える。
クリエイティブなアクティビティがどれだけ行われているのかは、実際のところ、わからない。ただ、我が娘は、毎日、数枚の塗り絵と、たくさんの折り紙を持って帰ってくる。娘は、元々、制作活動が大好きなので、このことを楽しんでいる。ただ、来る日も来る日も、塗り絵と折り紙なのだろうか。。。

もちろん、日本においても、学校併設の公立の学童によって提供している内容は、様々に異なるだろうとは思う。以前、NPO法人放課後アフタースクールの取り組みを視察させていただいたときは、曜日ごとにカリキュラムが用意されていて、オプション(追加料金?)で選択できるようになっていた。
経済的に余裕があり、より様々な体験をさせたい親であれば、民間の学童を選ぶかもしれない。英語を専門にしていたり、学習塾との間のような、連日、様々な体験プログラムを提供しているところもたくさんある。ここでまた、私は、一つの疑問が湧くのだけれど、その”様々な体験プログラム”は、子どもたちがやりたくて選んでいるのか?ということ。

デンマークのユースセンターで見たのは、”子どもが、その日、その時の気分で、やりたいことがかなり自由度高く選べる選択肢が、数多く用意された環境”があったということ。陶芸や、料理の部屋、手芸の部屋や、ゲームの部屋、PCの部屋、音楽(ドラム)の部屋、巨大なマットの部屋、ただまったりするソファーラウンジ・・・など、子どもが何をして過ごしたいのか?という子どもの選択肢があった。これも、子どもたちのwellbeingということにつながるのかもしれない。単に子供が”安全に過ごす場所”ではなく”安全にwellbeingに過ごす場所”。

そのような環境で働いているMadsからしたら、日本の現在の公立の学童は、びっくりするのも無理はないけれど、改めて、思ったのは、日本とデンマークでは、教育に関する公的な費用の投入の仕方かもしれない。デンマークでは、医療費も教育費も、公的なものは無料である。ユースセンターは、義務教育ではないので無料ではないけれど、それでも、誰もが比較的、低額で利用できるような金額設定で、非常に充実している。だから、そもそも、高額な民間の学童というものが必要ないのかもしれない。
また、学童の他に、親子の時間についての話にもなった。
日本の私たちは、子どもの放課後や休日の時間、子どもたちとどのように過ごしているだろう?

私は、今は、会社員という働き方をしていない。
日によって仕事の時間は非常に様々である。週末に仕事があることも多い。それでも、できるだけ、子どもと一緒にできる”何か”の時間は、毎日、確保している。本当にたまたま、我が娘は、制作活動が好きなので、平日は画用紙に絵を書いたり、工作をしたりするという室内活動が中心なのだけれど、週末は、様々な実験遊びをして過ごすことも多い。娘の友達が、泊まりに来ることも歓迎している。お友達とお泊まりで過ごすと、お互いの学びがいっぱいある。学校の中だけではわからないことを一緒に体験する。我が家に遊びに来るお友達たちは、みんなとても躾がされていて、お行儀がいいなぁと思う。我が娘・・・もう少し、躾をしたほうがいいか?と、思いたくなるほどに(笑)。寝る前に、いつも日記を書いているというお友達が来ると、娘も刺激を受けて、真似して書いてみたりする。

日本の親たちは、きっとみんな、子どもたちともっと一緒に過ごしたいだろうと思う。平日も週末も、子どもたちと、様々な遊びをしたり、アート活動をしたり、スポーツをしたりしたいのではないかな?・・・と思いながらも、ちょっとまた、疑問が湧いてきた。さて、「一緒に活動したい」と思っているかだろうか?もしかしたら、「子どもにはたくさんの経験をさせてあげたい。ただし、自分は親としてお金は払うけれど、一緒に・・・ではない」という方が本音かもしれない?!

日本の大人たちは、何だか、とても忙しい。日本の大人たちは、仕事の時間が人生の大半を占めているように感じられる。となると、”子供と親が一緒”によりも、”子供の教育をアウトソーシング”という構造が生まれがちになる。
そしてまた、日本の教育費は高い。
習い事、お稽古ごとにも、学習塾にも、お受験にも、サマーキャンプにも、英会話スクールにも、とにかくお金がかかる。となると、親たちは、さらに子どもたちに様々な教育(?)を受けさせたいと、より一層、収入を得るために仕事に没頭する。そして、子どもとの時間は、さらに無くなっていって、教育のアウトソーシングが進む・・・というような構図が私の頭の中に浮かんでいる。

さて、日本はもうすぐ夏休み。
Madsに、夏休みに子どもは、8:30-19:00(最大)まで公立の学童にいくことができると話したら、「それはもはや拷問だ・・・」と驚愕していた。確かに、本人が望んでいないとしたら、毎日、11時間近く、塗り絵と折り紙だけを過ごす1ヶ月半だったら、ちょっと何か改善策を考える必要があるかもしれない。民間の学童との並行利用かもしれないし、もちろん、一番良いのは、親も子どもと一緒に夏休みの時間をとって、めいいっぱい遊ぶことだろう。

子どものwellbeingはとても大事。ただ、その前に、子どもたちのwellbeingを提供する日本の大人たち(教育者・親・他・・・)のwellbeingがどうなっているだろうか?特に、日本において、フルタイムで組織(企業・行政・学校等、様々ある)で働く大人たちの実情については、仕事柄、聞けば聞くほどに、様々な部分で心を痛める。個人の問題だけではないし、組織の問題だけでもない。産業構造や行政や国の政策や、様々なことが複雑化して、今の現状が出来上がっている。一筋縄ではいかない。だから、今、変えるときなのだと、本当に思っている。

子どもがいるワーキングママ&パパも、私のクライアントにはたくさんいる。私は、ママ&パパがwellbeingでいるかどうかは、子どもが将来wellbeingを自分の実感知として体感したことがある人に育つかどうかという点で、大きく影響すると考えている。

もうすぐ夏休み。
「子どもと一緒に何やろう?」と楽しみにしている親たちもたくさんいるかもしれないし、「子供をどこに預けよう?」と悩ませているかもしれない。いずれにしても、子どもの幸せを願わない親はいないと、私は信じている。ただ、「物理的な時間が確保できないよ」という声も、確実に、聞こえてくる日本の現状。

デンマークでは、子どもの長期休暇をどのように過ごしているのか?
次回は、その辺りについても、Madsと一緒に話していこうと思います。

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