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【symposium3】「クバへ/クバから」第3回座談会(シンポジウム)上演記録「『沖縄の風景』をめぐる7つの夜話」第7夜(12/27)「写真集制作に向けた公開編集会議の上演」(Part.5)

(Part.4はこちら

ヘッドコピーとキーワード

三野 休憩中にも考えていたんですが、さっきぼくが言った話に補足すると、今回の上演や座談会が写真集の「言い訳」として扱われたくない気持ちが強いんだな、と。写真集のコンセプトが、なにこれふつうじゃん、みたいに読者に理解されたことによって、テキストが「長い言い訳」として読まれるかたちには絶対したくないんです。写真群は写真群でコンセプチュアルかつ強度もある状態なんだけれども、沖縄に関する問題について議論してきたものが別としてあるから、写真群とテキストがセパレートされた本であること自体が、メタ的なコンセプトとして明示される。沖縄出身でない制作者の作品は、今までももちろんあったけれども、これまでは「クバから」(テキスト)がない状態でパッケージされてきたように思うんです。今回は「クバから」的なものを残した上で出版することによって、沖縄写真史における意義も持ちうるのではないかと。

笠井 視聴者の方へ補足をすると、(写真集の仮タイトル)「クバへ/クバから」は「/」で二分割されていて、「クバへ」は沖縄の外にいる人たち、あるいは被写体と撮影者との関係、対象へと向かっていく関心・行動を指します。「クバから」は、三野さん自身が撮影したものを、沖縄の外に持っていく動きでもあれば、これまで議論を重ねてきたように、沖縄の写真史で、いまの沖縄で起き・撮られたものを視聴者に届けることを指します。この「/」にかなりの圧をかけた語りになる。タイトルがはまってきてますね。

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三野 そうですね。

笠井 さっきの話に戻ると、三野さんが問題にしているのは、そのようなものとして作られる書籍『クバへ/クバから』の、こう言うとちょっとべたすぎかもですけど、「これはこのような写真集です」と示すヘッドコピー(メタファー)がひとつあったほうがいいと。対して山本くんが問題にしたのは、この企画をダイジェストし、活動経過や中心的な主題をまとめるためのキーワード(メタファー)として「仮設性」を置くと、ひとつのかたちになるのではないかと。
 2分冊にすること自体は2人ともなるほどな、と思っていて、さらに山本くんは、テキスト篇と写真篇を一冊ずつ作るにあたって、写真篇の歴史性やコンセプトのまとまりも保つ必要があるという。

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写真家・舞台作家の三野新と、いぬのせなか座による、沖縄の風景のイメージをモチーフとした写真集を共同制作するプロジェクト「クバへ/クバから」…

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