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『充実』vs沼津 (4/30)H レビュー

・沼津戦レビュー


長らく苦しんだホームでの試合。
ついに望んでいた結果を手にすることが出来た。
さらにこの時点で首位に立つことができたことは精神衛生上いいことであることは間違いない。

・メンバー


山雅は前節と同じメンバー
サブメンバーに吉田と米原が入り、外山と安田が外れた。
また、しばらくスタメンを張っていた宮部がメンバー外。前節外から見てみるという理由だったが、調子を落としていることが考えられる。

沼津は4-1-2-3。
渡邊が中心のチームで、怪我・コロナで複数人負傷者が出ている影響を感じるスタメンに。

・序盤の攻防


お互いのやり方を伺いながらの序盤。
先に主導権を握ったのは山雅。

まず守備から。
沼津に対してハイプレスを実行し、相手に蹴らせる。
そして最終ラインでは高さの優位を活かして弾く。
そこから攻撃というほぼ狙い通りのことが出来ていた。

また、攻撃でも沼津の前5枚が内側かつ前よりに固まっているところの間に上手く顔を出し、アンカーの濱の横でSHの選手が受けて前進という狙いを実行。

おそらく沼津のスカウティングとしてそこまでプレス強度・練度が高くないという情報があったのだろう。
無理せず蹴ることも挟んだが、割と繋いでいけるという意識がチーム全体にあったと言える。
また、右SHの菊井がかなり中央から左サイドの辺りに顔を出し、右側で前がアイソレートする局面を作り出し、そこに住田や常田からロングボール供給という形も作り出せていた。


フォーメーションのかみ合わせ的に(山雅の4バック時の可変であれば)相手のマークがはっきりしない状況は作りやすく、ひとまず入りのゲームプランとしてはいいプランになっていたと言えるか。

・フォーメーションチェンジ


ただ、ここから山雅は予想外の動きをする。
相手が慣れ、2トップで追い込みきれないシーンが出たような印象は確かにあった。しかし大きな綻びが出るほどではなく、攻撃は思った以上にアンカー脇よりもアイソレートが効き始め、糸口が見えたかのように見えていたが、試合開始僅か20分でフォーメーション変更が行われた。

さらに仰天なのはそのタイミング。
リアルタイムで見た時に気づいたのは下川が右サイドでファールを受けたプレーがきっかけだったのだが、その前に決定的瞬間が映っていた。

常田がボールを持っている最中、堂々とボールを見ずにフィールドを横切る下川
確認した時にはまさかこのタイミングで!とびっくりしたが、プレー中に、更にはビルドアップ中のサイドからフォーメーションチェンジをしたのである。
このタイミングについては正直危ないのだが、何故そのタイミングだったのかや、何が合図だったのかは分からないため、なんとも言えないのがもどかしい。

そしてその理由としてひとつ考えられるのが守備。
FWの渡邉が左サイドに流れて起点になることが多く、CBの大野が吊り出される。
そのタイミングで最終ライン中央の人数が減ってしまうことを防ぐ形だ。
そして前線では、中盤が落ちてコントロールする沼津のビルドアップ隊に対して1トップ2シャドーの同数で監視できることから、より圧力を高められるというメリットがある。

相手の狙いに対しても対応しやすい

攻撃においてもいい側面があり、それは前のアイソレートを活用できること。
ロングボールが収まらないのであれば下川を右に置き、近い位置から配給しようというアプローチだ。
実際下川が右CBにいることで、左右両方で同じようにビルドアップすることが可能になった。

加えて変更直後にはその下川が起点になった攻撃で得点。
正直得点に関してはそこまでフォーメーション変更は関係なく(唯一下川の存在が右にいたことは影響しているが)、4バックのままでもそこそこやれていたのだが、上記メリットを優先した形になったのだろう。

そして何よりそれをスムーズにやれていることが重要だ。
フォーメーションチェンジの練習があることや、事前に配置を整理しているところで、かなり綿密に事前準備ができていたことを伺わせる。
以前やっていなかった訳ではなく、それが顕在化しただけではあろうが、とにかくスタメンチームの充実度を表す事象だったように感じる。

・押し込まれた訳


前半の最後に3-1-4-2へと再度システム変更をしており、守備時は5-3-2のように守る。
比較的今節のWBは守備時にSH気味に振る舞い、デフォルトで高い位置をとることが多かった。
おそらくWGがそこまで張らなかったことと、縦ズレを意識的に行っていたことが理由に挙げられるだろう。

しかし60分以降2トップの疲労によりプレスが滞る。
5-3-2の2枚で再び追いかける際に、なるべくIHがサポートするのがベターではあるのだが、その背後に潜られて出ていけない。
フレッシュであれば掻き回すことも可能だがそれも不可能。
ということで押し込まれてしまった。

シンプルに交代すればフレッシュ度は上がるのだが、コンディションや横山を引っ張りたい(戦術的理由で)という思いと葛藤することになる。(後述)

結局71分に2トップを入れ替え、息を吹き返す訳だが、ビクトルのビックセーブがなければあわや同点というピンチも招いたことは、この試合において割と大きな反省材料となった。

・ノッてる歩夢、新たな攻め方を探れ


そのようにコンディションや特徴的に現在負担が強いのがFWである。
6得点で波に乗っている歩夢と、2得点で好調を維持している蓮この2人が基本的なスタートになっているが、蓮もコンディション万全ではなさそう。
歩夢も代表合宿があり疲労がある他、そもそも代表活動でチームを離脱する可能性を有している。

歩夢に関してはそもそも大半の時間出場しているため、直接関わっていないゴールを含めても、出場時間外に入ったゴールは2つ(全15ゴール中)しかない。
そのどちらも決めたのは外山なのだが…。
いずれにせよ歩夢抜きの時間を我々はあまり過ごしていないのである。

活躍しているとはいえまだ19歳。

この点も今節交代で迷った理由に1つなってくるだろう。
今節においては重大な結果に至らなかったため、次節以降の課題になるが、
水物の攻撃だからこそもう1人乗ってくるメンバーが出てくれば楽になる。

もちろんお膳立ての仕方も変わるため、チーム全体の取り組みが必須であり、現在コミュニケーションが活発なチーム内においてたくさんの工夫を産み出してくれることを期待したい。

・次節に向けて


中3日での北九州戦。
オーソドックスな4-4-2から、昨シーズンのイメージとちょっと違うスタイルで攻めてくる。
ただ奢ることなく勝つだけ。
念願のクリーンシートも手にし、更なる飛躍が期待できる。
また、クリーンシートにおいてもそもそもシュートを4本しか打たせていないという点も評価できる。(もちろん相手の精度の問題は少なからずあるが)
ボールを支配していなくとも、試合を支配するようなサッカーを出来れば、自ずとこのような結果が着いてくるだろう。

さらに今後は、フォーメーションチェンジには今後も注目。
そこから山雅の意図、準備の質が見えてくる。


原点回起