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3月25日公開オススメ映画『ナイトメア・アリー』『ベルファスト』『ヴォイジャー』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、3月25日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。

ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。

ナイトメア・アリー

©2021 20th Century Studios. All rights reserved.

ギレルモ・デル・トロ監督の最新作『ナイトメア・アリー』は、あやしくも魅惑的なカーニバルの見世物小屋のような一作。
「自分は見世物で観客を操る側だ」と信じる主人公・スタン(ブラッドリー・クーパー)が、悪夢の小道に堕ちていく姿を描いています。

ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの傑作ノワール小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」を原作とした本作は、前半はカーニバルの見世物小屋が舞台。
本物のようなまがい物のような、見てはいけないもののような、目が離せないような。そんな世界で、読心術師や芸人、あやしいマネージャーなど、一癖も二癖もある登場人物たちが生活しています。
そこには、人間か獣なのかわからない、獣人(ギーク)もいます。

そして後半、カーニバルを出たスタンは、都会の一流ホテルで上流階級の人々を相手に読心術ショーを披露するエンターテイナーになります。
しかし、ある心理学博士(ケイト・ブランシェット)との出会いで、彼の状況は一変。人を手玉に取って儲けようとする彼に、ある裏社会の大物との出会いがあるのですが……。

ギレルモ・デル・トロ監督がアメリカン・ドリームを描いたこの映画『ナイトメア・アリー』。あやしく目が離せない、クセになるような一作でした。

『ナイトメア・アリー』(150分/アメリカ/2021年)
原題:Nightmare Alley
公開:2022年3月25日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
劇場:全国にて
Official Website:https://searchlightpictures.jp/movie/nightmare_alley/
©2021 20th Century Studios. All rights reserved.

ベルファスト

名優にして名監督としても知られるケネス・ブラナーが製作・監督・脚本を務めて映画化した自伝的物語が、本作『ベルファスト』です。

北アイルランド・ベルファストの街で家族と暮らしていた9歳のバディ。幸せだった彼の生活が、1969年8月15日に一変。プロテスタントの武装集団が、カトリック信者を攻撃し、街に暴力が広がっていきます。

生まれ育った街が突如、暴力に蹂躙され、破壊されていく。住民たちは分断され、街を出るか出ないか、決断を迫られる……。
2022年の現在、我々は同じような暴力に蹂躙される人々を、ニュースで見ています。
だからこそ、悲劇にただ蹂躙されるのではなく、たくましく生き抜こうとするバディと家族たちの物語が、より強く心に迫るのです。

第94回アカデミー賞では監督賞、脚本賞、助演男優賞、助演女優賞、主題歌賞、録音賞の7部門にノミネートされている本作。
皮肉にも、この今だからこそ、ケネス・ブラナーの故郷への想いがより強く感じられるのでした。

『ベルファスト』(98分/イギリス/2021年)
原題:Belfast
公開:2022年3月25日
配給:パルコ
劇場:TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国にて
Official Website:https://belfast-movie.com/
© 2021 Focus Features, LLC.

ヴォイジャー

人間の本質とは一体どんなものなのか? それは善か、悪か、それとも……。
宇宙を舞台に、そんな根源的なテーマを描き出した映画が登場しました。それがこの映画『ヴォイジャー』です。

この『ヴォイジャー』の舞台は、航行中の宇宙船ヒューマニタス号。この宇宙船には30人の子どもたちと一人の大人が乗り込んでいます。
彼らは人類を救う礎となるべく、人類が居住可能かもしれない惑星へ86年という時間をかけて送られる子どもたちです。
閉ざされた空間の中でほぼ一生を過ごすことを運命づけられた彼らは、欲望や感覚といったものを抑制する薬を飲まされていました。

それに気づいたのは、リストファーとザックの二人。彼らは薬を飲むのをやめ、感覚や欲望に目覚めていきます。そして秩序に基づいた暮らしが行われていた宇宙船の中に、混沌と悲劇が起こるのです……。
閉ざされた空間で、人間性を抑制されてきた30人の若者が本能に目覚めた時、そこはどうなるのか。人類を救う使命は遂行されるのか……?

『レディ・プレイヤー1』のタイ・シェリダン、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの愛娘であるリリー=ローズ・デップ、『ダンケルク』のフィオン・ホワイトヘッドという才能あふれる若手俳優たちが集まった映画『ヴォイジャー』、だんだんと変化していく彼らの演技にも注目してほしい一作です。

『ヴォイジャー』(108分/アメリカ=チェコ=ルーマニア=イギリス/2021年)
原題:Voyagers
公開:2022年3月25日
配給:アルバトロス・フィルム
劇場:グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて
Official Website:https://voyager-movie.com
Ⓒ 2020 VOYAGERS FINANCING AND DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


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