表紙

【フィアスコリプレイ:閉じたる村落】③ ~熊伝説の村~第二幕一巡目


※このリプレイには近親相姦・獣姦・食人要素などが含まれております。

【舞台設定~第一幕一巡目】
【第一幕二巡目~転落】

(状況)
・村には疫病が急速に蔓延し川沿いの森は炎上。
・村人は暴走し慶と志緒を捕縛して儀式を行おうとする。
・慶は菊臣の母、真雛の手掛かりを見つけるも檻の中へ。
・慶殺害計画は雛菊を通し志緒に伝わっている。
・大志は謎の熊と交戦して怪我を負った。
・菊臣は慶を助けようとする

【第二幕/一巡目】

■PC1:鈴鹿志緒(白2)【解決】
村の儀式が始まる。
志緒は神社前の広場の中央で儀式用の台に縛られ、慶は木の檻に囚われ、雛菊は両親に押しとどめられていた。
大志は神社の巨木に登って慶を狙撃するタイミングを狙い、その姿に気づいた菊臣は大志を止めに向かう。

【ポジティブ】大志と菊臣が乱入し、儀式が中断される
【ネガティブ】真雛と灰熊が乱入し、傷を負わされる(傷の程度は不明)

⇒ネガティブ
儀式は真雛と灰色熊が乱入することによって中断された。なんと灰色熊は、真雛と慶の間の子供だった。真雛は、嫉妬にかられたのか、儀式を止めるためか、志緒に向けて手にした刀を向ける。
姉を助けると決意していた大志の目の前で、志緒は刺されてしまうのだった。

慶:(檻の中でただ状況に身を任せるように伏せていたが、村人のざわつく気配に顔を上げる。ざわめきは悲鳴に変わり、そこには見覚えのある姿があって)「…真雛!」
鈴鹿大志:(神社の鳥居前の巨木の枝に身を潜め、狙撃の機会を伺っていたがざわめきに顔を上げ)「…あいつは!?」
鈴鹿志緒:(縛られて身動きが取れない状況で、黙って視線を伏せていたが村人たちの熱狂に似た気配に混じったざわめきに、顔をあげ)「……?だれ…?」
和村菊臣:(巨木の下まで辿り着き、大志を引きずり下ろそうと枝を見上げようとしたところでざわめきに気づく。振り返ると、見知らぬ女と灰色熊が広場に乱入している)「……一体、なにが?」
鈴鹿志緒:(写真でなら見た事がある顔だったかもしれないが、咄嗟には分からない。訝し気に瞬きした時、熊が呼んだ名前に、え。と思う間に近づいてくる姿を見る。手にした刀の、鈍い輝きに、それは違うと言いたげに微かに身をよじろうとして)
和村菊臣:(顔を上げた志緒の前にゆらりと立つ女の手には、鋭く冷たい光を放つ刀。女は刀を振り被り、その姿が顔を上げた大志の目にも入る)
鈴鹿志緒:(逃げられず、そのまま襲撃された。 痛みにあげた声も、灰熊から逃げ惑う人たちの悲鳴や怒号に紛れて周囲にも聞こえない)
鈴鹿大志:「——やめろ!」(背筋を這う悪寒、志緒の前に立つ女に向かって叫ぶが、間に合わない)
慶:(志緒を助けようとしたが、身体に痛みが走る。泣き叫ぶような吼え声が響き)
鈴鹿志緒:(刺された。腹を。それはダメ、と思う気持ちと、これで大丈夫と思う気持ちとを綯交ぜに感じた。その後も切りつけられた拍子に縄が解けかけて、ずるりと身体が地面へと崩れ。木にもたれる形で霞む視野の中、居るか分からない姿を探すように視線がうろつく)「……大志、……」
鈴鹿志緒:(それ以上続かずに、目を閉じる。近くで響いたはずの熊の咆哮にも、表情を歪めて見ている友人の姿にも、反応はない)
和村菊臣:(灰熊が暴れ回る姿に一瞬、異母妹の姿を広場で探すが物陰に潜むのが見えた。息をつく間もなく、女が刀を振り下ろす。志緒が刺されたのに目を見開く。すっかり混乱した儀式の様子に唇を噛んで)「……この機に乗じれば」

鈴鹿志緒→黒ダイス→(白2黒1)

■PC2:慶(白1黒1)【確立】
少し時を遡り、儀式の前。村人に捕まり着々と儀式準備をする中、慶は精神に直接語り掛けてくる声を感じる。
精神空間の中で出会ったのは、白銀に光る灰色の熊だった。
灰熊は全てを終わらせに来たと慶に告げる。自分が来たことで呪いが活性化しているが、自分にはすべてを終わらせることが可能なのだと――。

【ポジティブ】灰熊は告げる「自分の力で、この村は呪いから解放される――」
【ネガティブ】「――この村のすべてを滅ぼすことによって」

⇒ネガティブ
灰熊が自分と真雛の子だと理解する慶。村人や志緒を案ずるが、一番気がかりなのは菊臣のことだった。しかし、木の檻は依然として彼の動きを阻む。

慶:(全てを滅ぼす。そう告げて銀色に光る熊の姿が消えると同時に、目の前に景色が戻ってくる。儀式の準備を進める村人達。体調の悪そうな者も混ざっている。険しい顔の男。幼子の手を引く女。村の為に共に儀式を行うはずの志緒の顔が脳裏へ浮かぶ。しかし最も気がかりなのは)「菊臣…菊臣…」(守らなくては。動き出そうとした身体は、しかし木の檻に阻まれどこへも行けなかった)

慶→黒ダイス→(白1黒2)

■PC3:和村菊臣(白1黒1)【確立】
時間軸は再び、志緒さんが刺された直後まで進む。
この混乱に乗じれば慶を助けられると思った菊臣は大志が潜む木を後に急いで広場に駆け戻るが、広場まであと一歩というところで、混乱を生んだ女と灰熊が目の前に現れる。最後に会ったのは20年以上前の事であったが、近くで見るとその顔には見覚えがある。「おかあさん…?」と呟くと、女は微笑んで頷く。「迎えに来たわ。辛かったでしょう、全ての元凶のこの村を一緒に滅ぼしましょう」
女と灰熊の向こうには木の檻が見える。そこには囚われた慶の姿があり、止まった足のすぐ先に季節外れの白い雛菊の花が咲いていた。

【ポジティブ】ずっと交わしていた手紙で慶が村を大切に思っていたこと、父や義母は許せなくても妹に罪はないことを思い出し、あなたとは一緒にいけないと母に言う
【ネガティブ】おかあさんは間違ってない。慶を捕えるこの村など偽物の家族ごと滅ぼしてしまえと、一歩踏み出す。その足の下で雛菊の花が踏み潰された。

⇒ポジティブ
菊臣は母の方へと踏み出そうとしたができなかった。慶の心、妹の存在のために、菊臣はこの村を滅ぼしたくないと母に伝える。

和村菊臣:「おかあさん……」(目の前の人が誰か、もう一度繰り返す。視線が揺れて、木の檻の中の黒い熊の姿が目に入る。ずっと交わしていた手紙の中で、彼はいつも村を大切に想っていた)
和村菊臣:(母の方へと踏み出そうとした足は、縫いとめられたように動かない。母の姿を目に映し、次にその横のは灰熊へと視線を移す。先程、あの灰色の影が広場で暴れた時、妹が逃げたことにほっとしたことが脳裏に蘇る。確かに、あの時、妹の無事を自分は喜んだのだ)
和村菊臣:「慶。……慶は、村のためになりたいと言っていた」(呟く声は掠れていて小さいが、それでも首をゆっくり横に振って)「おかあさん、貴方とは行けない。俺は、この村を滅ぼしたくない」
和村菊臣:(足の先で小さな白い雛菊の花が揺れた)

和村菊臣→白ダイス→(白2黒1)

■PC4:和村雛菊(白1黒1)【解決】
両親に押し留められ、兄の奇病を治す為と自分に言い聞かせながら儀式の行方を見守っていたが、真雛と灰色熊の乱入で儀式は中断。このままでは兄の命が救えないと焦る雛菊の脳裏にある記憶が閃く。

【ポジティブ】特効薬の金丹を金庫の中から手に入れる。もう持ってるか、今から取りに行くかは好きに決めて良い
【ネガティブ】灰色熊が目の前に現れ手を振り上げる。殺されると思った瞬間、兄が自分の身代わりに傷を負う。

⇒ポジティブ
志緒が刺され、兄を救う手立てもなく半ばパニックになった雛菊の脳裏に昔の記憶が蘇る。父が神社の人間と、村が混乱に陥った時のための金庫の暗証番号の話をしていたのを、漏れ聞いていたのだ。
暴れ回る熊の隙を掻い潜り神社へ戻った雛菊は床下から秘密の金庫を見つけた。暗証番号は9030(くまさま)。金庫の中には村の奇病の特効薬である熊の肝を練り上げた金胆が入っていた。

和村雛菊→白ダイス→(白2黒1)

■PC5:鈴鹿大志(白2)【解決】
志緒が刺されたのを見た大志は猟銃と斧を持って木から下り、暴れ回る熊と混乱する人々を掻き分けて倒れた志緒のもとへ向かう。

【ポジティブ】志緒の命に別条がないことを確認し、混乱に乗じて熊を殺す計画を実行する
【ネガティブ】実は前から真雛と内通しており、村を混乱に陥れて姉を連れて逃げる計画だったが、真雛に裏切られて志緒の命が今まさに消えるところ

⇒ポジティブ
大志は志緒の拘束を解き、二人で逃げようとするが目の前に灰熊が立ち塞がる。森で灰熊を猟銃で撃って負わせたと思った傷は、神通力によるものかほとんど毛皮を通っていなかった。死を覚悟した大志は灰熊ではなく檻の中にいる慶を撃つ。実は慶の本当の父親は、鈴鹿家の入り婿である大志たちの父親だった。父親は罪を他の男に擦り付け慶の母を捨て、慶の母は絶望して自殺した。大志は慶を撃つ事で、この村と自分達の血筋全てを終わらせる事を願ったのだった。

鈴鹿大志:(悲鳴。怒号。獣の咆哮。広場は逃げ惑う人々と積み重なる死体と血と泥で穢された。木々の向こうに見える空が赤い。火は未だ勢いが止まらず、橋が落とされた今、この村は滅びから逃げられない)
「姉さん!!!」
(雛菊は見失った。女は今、菊臣と何かを話していてこちらには気が付いていない。灰色熊は慶の檻の近くにいる。血を流して倒れている姉に駆け寄って抱き起こす。腹近くを刺されているがまだ息がある。だがこのままでは)
鈴鹿志緒:(縛られていた木にもたれかかるように気を失ったまま、血の気の失せた顔でぐったりしていた。抱え起こされると、痛みが走ってうめいた後で薄く瞼を持ち上げて、虚ろながら弟を見た。生きてはいる。かろうじて)
鈴鹿大志:(縛られた縄を斧で断ち切り、自分の服を引き裂いて傷口にあてる。自分の負った傷からも血が垂れ落ち、顔も腕も手も脚も赤黒く染まっていく)
「穴が…洞窟の位置は分かるか、シオ。あの奥の穴を潜ると地下道があって川の向こうへ繋がってる。一緒に逃げるんだ。今度こそ——」
(姉の肩を支えてよろよろと立ち上がる。灰色の熊が、こちらを振り返る。灰色の毛並みの胸元が赤く染まっている。至近距離で撃った筈だが、ダメージにはなっていないように見える)
鈴鹿志緒:(戒めを解かれると、宛てられた布越しに探るように己の腹の傷に触れる。まだ何処か覚醒しきっていないような表情で弟の声を遠く近く聞き)「……逃げ、る…逃げ…ても、終わらない、それは——」
鈴鹿志緒:(支えられて立ち上がると、ふらつくのを堪えながら浅い呼吸の合間に小さく首を振る。動くのを躊躇うように弟の顔を見た矢先に立ち上がった灰色の毛並みの熊と目が合った。今まで知っている熊と違うその風貌に、瞬き。あれは何だと言いたげな顔)
鈴鹿大志:(檻の中の慶を見る。村のために生贄の運命を甘んじて受け入れる獣。姉をずっと犯してきた獣。何もかも諦めているような目をした獣。自分はずっとあいつが嫌いだった)
(死の床にいた父を思い出す。すまない。俺のせいで。すまない。父を見下ろし唾を吐いて立ち去った。それから死ぬまで一度も顔を見なかった)
(灰色熊がこちらに一歩踏み出す。痛む片手で猟銃を構える。銃口の狙う先は——檻の中の慶)
「終わりにしよう。村も、鈴鹿も、これで、全部。……兄さん!」
(引き金を、引いた)
慶:(駆け寄ってくる菊臣の姿が見えた。灰色の熊へ吼え声を上げながら木の檻へ体当たりを続けるが、動く度に走る身体の痛みに破ることは叶わない。もう一度…そう思った時、乾いた音が響き渡る)「———」(なく声は途切れ、黒い巨躯は地に倒れた)
和村菊臣:(檻へと駆け寄る。外から開ければ、あんな粗末な木檻など容易く慶を解放できるはず。そう疑わず、伸ばした手が銃声で凍り付く。巨体がれる音が、耳を打つ)「————けい。けい、慶!」(悲痛な声で名前を呼ぶ。誰が撃ったか、振り返るまでもなく確信はあった)
鈴鹿志緒:「にい…?」(間近で聞こえた銃声と、発砲時の衝撃とで覚醒しきった頭で聞いた言葉に、弟を見る。何かが倒れる音にすぐに逆方向を見る。 驚いたように目を丸くして)「…え、何で御熊様が。 …なんで…なん、…」
鈴鹿志緒:「ああ、ああ、あああああああああああ!!」(状況を拒絶するように両手で頭を抱えると絶叫して。叫んだ事でまた血をこぼして、それでも弟が支えているのならば、倒れない。寄り添うように、隣に立ったままでいた)
鈴鹿大志:(銃口から煙を立ち上らせながら、黙って志緒を抱き寄せた。広場に立っている者はもはや自分達と真雛、菊臣に駆け寄ってくる雛菊、それだけだ。後のものは生死定かではなく血と泥に塗れて地に臥している。怒りか悲しみか、灰色の獣の咆哮が赤い空に響く——)

鈴鹿大志→黒ダイス→(白3)

【第二幕/一巡目終了】

・ここで中央のダイスがすべて黒に。第二幕二巡目は最後のワイルドダイス以外、すべてネガティブ結果となる。

【第二幕二巡目へ続く】

あらすじ協力:ミコシバ@mikosibayeah、おぐら@dorirucha
・RP部分は編集が入っています。
・PC4のRPはPL意向により抜いています。

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