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メイドカフェの昼下がり

先日、人生初めて
メイドカフェというところに
行ってまいりました。


って言うのも先日友達に誘われて、
大阪の難波に行きましてですね、
ちょっと時間あいたしどうしようか、
ってんでノリで行くことになったんですよ。


「初めてやわぁ!」

なんつって、
何回か行ったことある友達に連れてってもらったんすけど、
実は10年以上前に一回だけ、
メイドカフェに行ったことがあるんすよ。


たしか俺が高校の時やったと思います。
カリビアンコムの有料会員になることがだった、
カッチカチの高校生時代に一度だけ。

それも家族4人で行ったんすよ。
2つ下のがいてるんすけど、
卒業旅行にどこ行きたいつって親父が聞いたとき、
「メイドカフェ」って言いよって、
それで行くことになったんよ。

何で家族でメイドカフェなんかに…
って言う恥ずかしさとか思春期のいろんなものをもって、
初めてメイドカフェに入ったときの衝撃ったら、
半端なかったですよ。

だって、隣の青チェックシャツINおじさんが、
「おいしくなーれ」って言われて、
ニタニタしとるんですよ?

まぁ―震えましたね。
思春期の俺には、アニメ声の女の子に、
まぜまぜされてる大人は、刺激が強すぎましたよ。
喫茶店コーラ頼んだの後にも先にも最初で最後ですよ


そんなトラウマを抱えつつの、
10年ぶりのメイドカフェでございます。


俺もあの頃から比べたら成長しました。
たばこの味も覚えて、
パンツだってボクサーパンツに履き替えましたよ。

メイドカフェだって、非日常な空間だと理解して、
ごっこ遊びをする楽しみ方が正解だと、
考えられるようにもなりましたからね。

いうたらディズニーと一緒じゃないですか。

あそこは、指先まで夢の国にどっぷりつかることで、
非日常の楽しさを感じられるわけでしょ。

逆にあそこで、
「ミッキーって確定申告終わったのかな?」
とか考えてる方が、野暮なわけです。

世界観にどっぷりハマって楽しむ
今回のメイドカフェはそれをコンセプトに、
楽しんでやろうと思ったんすよね。


とりあえず店の前についたんですけど、
外から見た感じは普通のカフェみたいな感じでしてね、
メイドカフェっぽいアニメな感じも特になく、
普通にお茶できそうな見た目をしてるんですよ。

まぁでもこっちは、
がっつりメイドカフェを楽しみにやってきております

まぜまぜはもちろんですけど、
チェキを撮って、メイドさんをで使い、
ご主人様威厳を見せつける気持ちでいっぱいでございます。


いざ!


そうおもってに手をかけると、
マスクをつけたかわいらしいメイドさんが、
中から出て来てくれるわけですよ。


「おかえりなさいませ、ご主人様!」

――おおっ!!

「消毒と検温よろしいですか?」



世知辛い。



ご主人様である私は、
メイドを測られて、
アルコールで除菌させられまして、
流れるように奥の席に座ることになります。

店内はテーブルが5つくらいある小さい喫茶店みたいな感じでしてね、
シングルライダー2組居たので、
俺らを入れて店内には3組のお客さんがいるんですよ。

見る限りメイドさん2人で、
僕らを接客してくれてる一人と、
もう一人はレジでなんかごそごそしてるんすわ。

なんかメイドさんって、もっと客につきっきりで、
一生なんかを話してるんかと思ってましたよ。

こういうちょっとしたギャップも、
実際来てよかったなぁと思えるポイントでございます。


まぁほんでメニューを見るんすけど、
意外とメニューが多くてですね、
紅茶だけでも5種類くらいあるし、
なにを頼んだらええんか全然分からんわけ。

まぁでも飲み物はとりあえず珈琲でええですわ。

ホットコーヒーの横に、
星のマークがついてるけど、
多分指名料かなんかでしょう。
まぁ後で聞けばいいですわ。

問題はもう一品

普通の喫茶店なら、
コーヒーだけあったらあとは、
タバコが吸えたらもう何でもええんですけど、
ここはメイドカフェですやん。

俺の目標は、まぜまぜチェキですから、
とりあえずチェキは必須でしょ。

ただここで気になるメニュー
見つけてしまったんすよね。

飲み物の次のページ
デカデカと書かれてましたよ。


メイドさん手作りケーキ
500円で売ってるって。



もうこれは、
頼まざるを得ないでしょうよ。

だって、
絶対作ってねぇやん。

メイドって苗字パティシエでも知り合いにいるんすかね?
㈱メイドさんってお菓子屋でもあるんすかね?
メイドに盲目になってる、消費者サシに来てるメニューやないですか!

これは…
食うしかないでしょ…!


早速ベルで、
メイドさんを呼びつけます。


「注文いいですか?」

「はい!ご主人様!」

なれないご主人様にお尻をもぞもぞさせながら、
注文を進めます。


「このチェキって、一緒にとってもらえるんですか?

「あ…あのぉ…」

少し困ったようなメイドさん。
なんですか?
ブスすぎて共演NGですか?

「今はコロナなので…メイドさんだけのお写真になるんですぅ…」



メイドさんだけの写真!?

メイドコスプレ一般人の、
ピン写をいただきましても…


早速チェキの夢は打ち砕かれながら、
オーダーを進めます。


「そしたらこの…コーヒーの横にある、
 星のマークって何ですか?」

「こちらは、まぜまぜがあるメニューになります!」


まぜまぜだ!!!

高校生の俺に大人の闇を見せた
あのトラウマ儀式、まぜまぜだ!


「ただ今は感染症対策で、
魔法をかけてご提供します。」



それは、ただの珈琲やん。

まぜまぜがアカンのなら、
手作りケーキもアウトやろ。



ちょっと残念やなぁって思ってるとさ、
俺の表情を察したのか、
メイドさん少し慌てたように、
話しかけてくれるんすよ。


「あ…あのぉ!メイドさん達がまぜまぜしちゃうと!
 ぶしゃーって!ぶしゃーってなっちゃうかもしれませんのでぇ!」


分からん。

日本語でしゃべってくれ。



まぁそんなこんなで
珈琲メイドさん手作りケーキを頼みまして、
友達紅茶とかを頼んでオーダーは終わったんですよ。

一旦メイドさんもはけまして、
友達に「どんな感じで楽しめばええんかな?」なんて聞きながらさ、
なんとかこの世界に入ろうと頑張る訳ですよ。

そもそも「日本語をしゃべれ」なんて、
絶対に思っちゃいけないことっすもんね。

とにかく俺はご主人様で、あの子たちはメイドさん

この空間は非日常のメルヘンを味わう場所なんだと。



俺が非日常を必死に頭に叩きこんでるとさ、
さっきのメイドさんが、慌ててこっちに走ってきたんすよ。


「しゅいません、ご主人様…」

紅茶を頼んだ友達に、
話しかけるメイドさん


「ご主人様が注文された紅茶がなくなってて…はわわわぁ…」

――はわわわぁ?

「私のおすすめも、あの紅茶だったんですが…ふにゅ…」

―― ふにゅう?

「昔は妖精さんがいたんですが、
 今は全部メイドさん自分たちでやってるのでぇ…ぬぅ…」



こりゃ長くはいられねぇなぁ。

とりあえず語尾いらん言葉無くしてくれ

後、妖精さんは居ない。



でもなんか、それを言われた友達は、
普通に別の紅茶を頼んでやがるんよ。

なんならちょっと、
ご満悦そうでもあるんすわ。

思いましたよ、
やっぱコイツレベルが高いなぁって。

だって多分あれでしょ、
これがドジっ子ってやつなんでしょ?

「生産性が低い」ふわふわ言葉にした、
あのドジっ子ってやつですよね。


これがむずいんすよ。

別に腹は立ちませんけど、
頼んだものがなくてうれしいとは、
全然思えないっすもん。

その後、そいつのところに、
バスロマンみたいな色した紅茶届きましたけど、
なんで笑顔でそれ飲んでんのか、
てんで理解できません
もんね。



「お待たせしましたぁー」

俺の目の前に、ホットコーヒーと、
申し訳なさそうにケーキが載ったデカ皿が置かれる。

「ホットコーヒーと、
メイドさん手作りケーキでございます!」

「どうもー」なんて言いつつ、
届いたのを見ると、
チョコのパウンドケーキですわ。

生クリームを皿の端に置いて、
逆サイドにケーキが1ピース置かれてまして、
率直な感想思ったよりちゃんとしてる

何ならセロファンくらいついてるんやろうなって
思ってたくらいですからね。
まぁ一応の手作り感はある代物でございます。

とりあえず一口すくいまして、
少し生クリームを付けて口へ運びます。



美味しく、無い。



ただ別にまずい訳でもない

逆にものすごい新鮮な味なんですよ。

外で食べるものってさ、
まずい時ってぶっ飛んでまずいでしょ。

飲食店の飯ってさ、
作り手が研究した結果を出してるやないですか。

だから、作り手と俺の舌が合わなければ、
そりゃぶっ飛んでまずいモノになるのも当然でしょ。

でもこのケーキは、
別にぶっ飛んでまずい訳じゃないんすよ。

全体的にパサパサしていて、
味が薄くて、固い

喉も乾くし、うまいものではないが、
食えない程まずい、わけではない

この味、まるで…


オカンが作る、パウンドケーキや。




まじかよ、手作りの可能性出てきたやんけ。

ごめんなメイドさん。
ウソやろ、みたいなことを言って。

ごめんなメイドさん。
マジで作ってくれてるのに、
美味しくないとか言ってもうて。



首を傾げながらケーキを食べ終えたころ、
後から入ってきたおじさんが、
何やら一緒に来た人と話しているのが聞こえてきた。


「昔は妖精さんがおったからなぁ!」

「今はメイドさんだけだけど、
 昔は妖精さんもいて、メニューも多かったんだよぁ」


高校時代の俺が、あの頃のまま
そこでコーラを飲んでるような気がした、
メイドカフェの昼下がりでございました。

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