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データで見るファミ通クロスレビュー

ゲーム好きの人の人も、そうでない人も、ファミ通という名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。

ファミコン通信時代から計算すると、創刊から35年を超える超長寿雑誌でございまして、wikipediaによると、日本で発売されるほぼ全ハードのゲームソフトの他、映画・DVD、TV番組、書籍などの総合情報を扱い、日本でほぼ唯一のゲーム系週刊誌と紹介されているほど、ゲーム雑誌の代表というにふさわしい雑誌でございます。

中でも有名なのは、クロスレビューというコーナーでございます。これはは、4人の編集者レビュアーとしてゲームソフトをプレイし、各人10点満点計40点満点で採点するコーナーで、ほぼ創刊当時から続く、人気コーナーでございます。

システムの斬新さから、とても影響力も大きいコーナーでして、他のゲーム雑誌でも似たようなコーナーが乱立したり、高評価を受けたゲームが売れるなど、ファミ通の中でも有名なコーナーではございますが、少し気になることがあるんですよ。


それは、どこからが高得点と言えるのか、と言う事です。


一応公式として、4人の合計点数30点(平均7.5点)以上ならシルバー殿堂32点(平均8点)以上ゴールド殿堂35点(平均8.8点)以上プラチナ殿堂という称号が与えられていて、大まかな指標も出されております。とはいえ、創刊から35年もたっていますから、高得点が出ているゲームも複数でており、結局のところヤバい!と言えるような高得点は、何点なのかというのが、わかりにくくなっていると思うんですよ。何点のゲームが「すごい点数や!」と驚けばいいのかわからない状況になっているような気がするんですよね。

そこで本日は、データで見るクロスレビューと言う事で、公式HPで紹介されている、4209件のクロスレビューを分析し驚くべき高得点と言えるのは何店なのかを、考えていきたいと思います。

集計概要

この記事を書くにあたり集計の概要ですが、2021年8月22日現在ファミ通公式HP(https://www.famitsu.com/)に掲載されている4209件のレビューデータ収集し、分析を行っていきます。

こちらのレビューでは、一般のユーザーのレビューや点数も公開されていますが、今回はあくまで編集者のレビューだけを対象とした、公式の点数をもとに分析を行います。

それでは早速、分析をしてわかった事を紹介していきたいと思います。


1.平均ポイントは「7.72点」

集計して何より驚いたのが、この平均点でございます。なんと、大体のゲームがシルバー殿堂入りを果たしているんですよ。

公式の殿堂入りシステムをまっすぐに考えると、シルバー殿堂入りを果たすだけで珍しくゴールド、プラチナなんて化け物のような快挙のような印象を受けますが、今の時代シルバー殿堂入りは平均点くらいの点数なんですね。

しかもゲームの機種毎に比べると、PS3のゲームソフトなんかは8.01点となっており、ゴールド殿堂入りが平均点となる点数なんですね。一番平均点が低いWiiでも7.1点となっており、このシルバー殿堂入りという指標自体は、正直あまり意味をなさないモノになっている印象を受けます。


2.「6点以下」のゲームは、150件しかない。

次に気になったのが、6点以下の少なさです。HPに掲載されている4209タイトルのうち、6点以下のゲームは150件しかありません。

全体のパーセンテージで言うと、150件は全体の3%に過ぎません。

逆に言えば、6点以下のゲームが登場すると、それはそれでレアなゲームと言えるでしょう。


3.8点のゲームが一番多い

平均点から考えると当たり前といえばそれまでですが、点数帯で考えたときに、一番多いのが8点のゲームになります。

全体の12.06%が8点のゲーム、次に多いのが7.8点で11.18%、そこから、7.3点の10.58%7点の9.14%と続きます。

ちなみに、シルバー伝統、ゴールド殿堂という名前が付いておりますが、パーセンテージで考えるとシルバー殿堂以上の作品は全体の62.97%ゴールド殿堂は42.66%プラチナ殿堂でも15%もある計算となります。

ちなみに9点以上のゲームは、全体の10%ほどとなっています。

高得点と言えるのはどこか、と考えたときこの9点ひとつの指標になるのではないでしょうか。


最後に

ファミ通のクロスレビューはには、アンチな意見と呼べるものも多く出ているのは事実でございます。

特に話題になったのは、ジョジョASBのゲームレビューです。ファミ通クロスレビュー満点をつけたジョジョASBでしたが、ユーザー評価が最悪で、糞ゲーから名作までというゲームwikiでも「クソゲー」と評価されるほどのゲームになってしまいました。そんなゲームを満点と評価するクロスレビュー当てにならないアンチな意見が飛び交ったのは事実でございます。

当時、評価を金で買ったんじゃないかメーカーを忖度して点数を付けているんじゃないかなど、様々な意見が飛び、有名コーナーだからこそ、ゲーム好きの中では結構な話題になった話ではありますが、この分析をしてひとつ思ったことがあります。


それは、ゲームをやりつくした人の意見だから、高くなってしまって当たり前じゃないかと言う事です。


今回、クロスレビューでは高評価のゲームが多い事が解りましたが、これはゲームをやりつくした人たちが、点数を付けているからではないかと思うんですよ。知り尽くしているからこそ、作り込みクリエイターの努力見つけることができるんじゃないかと。目新しさに気が付けるんじゃないかと。

僕も音楽お笑いが好きで、このnoteに紹介記事を書いていますが、自分に置き換えても同じだと思うんですね。音楽が好きで詳しくなるから、各楽器隊のちょっとしたテクニックが評価出来たり、お笑いセオリーの逆の逆を行っている部分が笑えたりすると思うんですよ。そういうコアな評価が行われているから、クロスレビューの点数って高くなるんじゃないかと思うんですね。


そう思わせてくれたのは、このクロスレビューのもう一つの要素に有ります。

クロスレビューというものの本質は、コメントにあるんですよ。


ゲーム好きの、ゲームをやりつくしたゲームマニアの人達が、どこをどう評価して、それに対してどう思ったかを知れることこそが、このクロスレビューの面白さなんだと、大量のデータを集計して、コメントを読んでいて気が付いたんですよ。クロスレビューのコメントのクオリティすさまじいんですよね。

それこそ、今僕が激ハマりしてるゼルダの伝説ブレスオブザワイルドというゲームがあるんですが、このゲームにある編集者がこんなコメントを残しています。

物語設定を始め、所持アイテムや特殊能力を駆使してのギミック突破といった部分で、シリーズ作品らしさを押さえつつ、“敵や動物が本当にここで生きている感じ”を、AIと演出の両面で見事に表現しています。邪道なプレイを単に容認するだけでなく、対応するささやかなイベントも用意していたりと、“自分だけの冒険”をしている感覚をあの手この手で盛り上げてくれるこの世界に、驚きしかありません!!
ーファミ通クロスレビュー「戸塚伎一」


この無駄がないのに、エネルギッシュで、人をワクワクさせるこのコメント。

本当に、すごくないですか?

ファミ通のクロスレビューは、ゲーム好きの言葉のプロたちの表現を見て、一緒にワクワクする場なのではないでしょうか。



もちろん高得点を見て興奮するのも面白いと思います。かく言う僕も、点数を調べたくて、この分析を進めた一人です。

しかしファミ通クロスレビューは、ゲームをやりつくした人たちが、そのゲームで何を感じたかを見る場所として、コンテンツとして優秀なのだと改めて感じました。

誰でも口コミを投稿できる時代ですから、情報量としては雑誌がネットに勝つことは難しいかもしれません。

ただ、ゲームをやりつくした文字のプロたちが、評価コメントに残すというシステムがある限り、ファミ通クロスレビューどんなレビューサイトよりも信ぴょう性の高いコンテンツなのではないか、と僕は思います。



最後に、点数の情報を一つ。

クロスレビュー満点過去33作品というのは有名な話ですが、少し広げて9.5点以上のゲームと考えても、166作品しかございません。

これは全体の4%に満たない作品数でございます。

どこからがヤバい!と言える点数なのかと言うのは、ココがポイントなのかもしれませんね。

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