コマ送りMVの正解を見つけてしまった
音楽が好きな人の盲点になりやすいポイントって、意外とMVやないかと思うんですよ。
アップルミュージックやら、Spotifyやら、サブスクが盛んになってきてる中で、いろんな音楽に雑多に触れやすくなったと思います。一昔前やとTSUTAYAに借りに行くか、CD買うかの二択しかなかった訳ですから、かなり楽になったもんでございますわ。
ただそんな中で見落としがちなのがMVやと、俺は勝手に思っとるんですよ。
ドライブや通勤で、音楽を聞き流すことは多いでしょうけど、MVを見るって言うと、腰据える必要がある訳ですから、当然頻度は減る訳でございますわね。
ただ、MVこそ至極なんすよ。
音楽がいいのに、MVが悪いはずがないんすよ。
逆に言うと、MVがよかったら曲もよくなる訳で、音楽を聴くすべての人はMVを見ていい曲に出会ってほしいと切に思ってるわけなんですよね。
こんな前置きをしながら、今回俺はさ俺的に面白いMVの紹介をしようと思ってたんすよ。
Sakerockとか、岡崎体育とかの、爆裂面白いMVを紹介しようと思ってたんすよ。
でもさ、その途中で見つけてもうたんですよ。
ただ単に、最高やと思うPVを。
皆さん、Benthamって知ってます?
Benthamって東京の4人組バンドでしてね、ハイトーンボーカルが光るロックバンドなんですよ。
今を時めくヒゲダンの事務所、ポニーキャニオンから2017年にメジャーデビューしまして、かっこいい曲を作り続けてるんですけど、ご存じですかね。
メジャーデビューする前も後も、曲は凄い良くて、MVに関しても洗練されて行って、ええ感じの奴ばっかりなんですけどね、とりわけ彼らのメジャーデビュー前のMVがさ、もうヤベェなんてもんやないんよ。
特に見て欲しいのが2つあってさ、一つが、「パブリック」って曲。
まずこの「パブリック」って曲が、Benthamのデビューシングルで、なおかつ今でもアップルミュージックでずっと一位になるくらいの、人気曲なんですね。
なんて言っても、そもそもこの曲がええんよ。
まずビビるんが、この曲のコードですよ。
展開もあって、かっこいいのにさ、この曲4つのコードしか使われてないんすよね。
一生4つのコードだけで、展開を作って熱いメロディーを奏でてる、まさにBenthamを代表する名曲なんでございますよ。
そんな曲のMVなんすけど、良い温度の攻め方しとるんですよ。
ってのも、ゆっくり動く早送り型のPVなんすよ。
MV自体は全編街中でメンバーが、楽器弾いたり歌ったりしてる形で、初めから最後まで言うたらそれしかないんですよ。ただ周りだけが早送りになってるように見えるみたいなそんな感じなんですね。
かといって本人は止まってるんじゃなくて、歌ったりしてるんすよ。それをCGとか合成を使わず、早送りだけでやってるんですよね。
別にやってることとしたら、「そっか。」くらいの事ですわ。
ただ、これのええところが、全然うまくやろうとしていないところなんよ。
歌とかフリを曲に完璧に合わせて、周りだけ早くするみたいなテクいことはあえてせずに、本人たちは早送りするとちょっと違和感のある動きをずっとしてるんですよ。
ただ、その違和感がなんかかっこいいんすよね。
何がって言われるとすごい難しいんやけど、なんかカチッとハマってないだるさっていうんすかね、このMVが作り出してる空気感がめちゃくちゃかっこいいんですよ。
ほんでもう一つ。
これはパブリックを超えて衝撃やったんすよ。
ここ最近見た中で、ダントツ一位で最高傑作やと思いましたよ。まじで。
それがこの、
Benthamの「僕から君へ」って曲です。
勿論、曲もめちゃくちゃいいですよ。
全然このNOTE読んでないで、一旦音楽聞いてほしいですもん。
ただこの曲は、曲の良さも勿論ですけど、MVがさ、ホンマにヤバいんすよ。ってかこの曲、コマ送りPV、ドラマ仕立てPVの正解を出しちゃった感がすげぇんよな。
まずコマ送りPVといえば、andymoriの「すごい速さ」って有名やと思うんすよ。
時代的にも斬新やったやろうってのもありますけど、このPVってひょうきんで楽しそうなメンバーの雰囲気と、曲の疾走感がぴったり合った神MVやと思います。
それは間違いないことです。
ただ「僕から君へ」は、このコマ送りに、ドラマを足したんですよ。
そのドラマの空気感と言い、撮り方と言い、構成と言い、鳥肌なんてもんやないです、最高でございますよ。
そもそもさ、個人的に俺はドラマ仕立てのMVって、そんなに好きやないんですよ。
MVってミュージックビデオですから、音楽の為の映像なわけですよ。
だからその映像が、主張しすぎたらあかんと思ってるんですよ。
ドラマを流しちゃうと、主張するばかりか、音楽に方向性まで付けてしまうでしょ?
音楽としての受け取り方を映像が変えてしまう可能性があるやないですか。
その映像にストーリ―っていう意味が含まれてたらさ。
そんなこと思ってるようなやつでも、「僕から君へ」のコマ送りドラマは完璧やと思ったんすよ。映像が美し過ぎんすよ。
言うてまいますけど、ドラマの中でやってることは、鍵拾って付き合いだした男女が、喧嘩してそれぞれの道に行くだけでございます。民放で見たら即チャンネル変更ですよ。Youtubeの「俺の名前はブス田キモ男、28歳!」から始まる漫画CМ見た時の、スキップボタンくらいすぐチャンネル変える。
まぁでもストーリを文字にすればそんなんですよ。その楽しい日常がコマ送りにされて、楽しい悲しいうれしいを眺めるなんて、毒にも薬にもならんような事です。
ただこのMVのえぐいのがさ、緩急のつけ方なんすよ。
まずコマ送りでストーリーは進んでいくんやけど、カメラが回り込む形でコマ送りになってるんですよ。やから、よくよく見てみると演者の動きって全くないわけ。やのに、動いてる何万倍も情景が伝わってくんのよ。
ってか、「やのに」やなくて「やから」なんやろうね。変に動きがないからさ、その表情とか動作でイメージが膨らむんやと思うんよ。
ほんでそこから、緩急になるのがバンドシーンなんすよ。
バンドの演奏してるところは普通の動いてる動画やからさ、それほどバンドに動きはないのに、躍動感がものすごい伝わるんよ。
ほんでドラマの方も撮り方がすごくてさ、基本ずーっとコマ送りやのに、Cメロの物思いにふけるシーンだけ、唯一動きがあるシーンが挟まれるんすよ。
しかも、だからといって走ったり抱きしめたり、激しい動きはないんよ。
自然に物思いにふける二人を、動く映像で見せてるんですよね。
そこからコマ送りになって二人のうれしさが伝わる、バンドが動く映像で楽器をかき鳴らす、んなもん、前のめりなりますやん!
普段、人の上げ足を取り続けてるような俺でも、素直に「ええやん」って思ってまいますやん!!
柄にもなく、普通に良いと思ってしまったことに、若干の恥ずかしさを覚えてしまいましたが、本当にこの2つのMVだけは見ていただきたいものでございます。
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