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太陽酒場3sun オープン

耳を疑った。


え?なになに?今何を言ったの?


「いやだから、リョー、照り焼きのお店をつくらないか?」


そもそも僕たちは香港でアジアンダイニングのようなレストランをやろうと話していた。
それが急に照り焼きのお店。


ん?どうしたどうした?
という反応は間違っていなかったはず笑


話を聞くとNYに行った時にファストフードでテリヤキのサンドイッチ屋さんが猛烈に人気があったとのこと。
だからそれをやろうという話だった。


僕はそもそもお店がやりたかった。
確かに香港でレストランというも少し方向性が違うといえば違うけどシンプルに面白そうだなと思った。
それもまたいいかなと。そこで実力をつけて、日本でその後お店を出してもいいわけだし。
でもファストフードとなるともうそもそも論からして違ってくる。


僕はそもそも日本人を元気にしたかった。
だからお店をやりたかった。そこは人が集まるお店だ。
そこで日本人を元気にしたいのだ。


お金を稼ぐだけというのならそれはそれでいいと思うけど自分がやる土俵とは明らかに違うところだと感じた。
そこで勝負するなら、一人でも、小さくても、自分の力でお店をやりたい。
香港だなんだと話は出ていたけれど、結局自分一人でやる覚悟がまだできていなかっただけなのかもしれない。
でもここで腹が決まった。


そうか、じゃあそれなら各々の道を行こう。


ミトゥは自分の商売を、自分は自分でお店を開く。ここ日本で。


それじゃあまた。


また一人になった。


年を越して、最初2ヶ月だけと言っていた居酒屋も、みんなと仲良くなって4ヶ月くらいいた。
でももうこれ以上いてもだらだらしてしまうだけだとお店もやめた。


またちゅうぶらりん。
物件が決まってるわけでもない。
なにかが進んでいるようで、進まない。


去年の自分と比較しても、確かに動いてはいるが、そこまでの変化は感じられなかった。
でもただ一つ変わったことは、心が柔らかくなったのか、幸せの基準値がだいぶ落ちたこと。
それは意識していたことでもあるんだけど。
去年の自分より、明らかに幸せだった。それだけは間違いない。


でも状況はそんなに変わっていなかった。
だからその状況を変えなきゃいけなかった。


なんにもない自分。


だからこそ今、動かないと人生は動かない。
だから僕は動くことにした。


小さな店でもいい。もういいよ!やろう!
その当時僕が考えていたのはサンドイッチ屋だった。
小さなサンドイッチ屋を初めてそこからちょっとずつでも資金を稼ぎ居酒屋を出す。
商売は正直、喜んでもらえるものであればなんでもよかった。
早く始めたかった。


だから決めた。
その時3sunという名前も決めた。ノートに書いてある。
サンドイッチ屋3sun。
僕はいたってまじめだ笑


一人になっても、模索しても、本気スイッチだけは入っていた。
自分との約束。
幸せに生きる。そして自分に嘘をつかないを通すため。


動かなければその時点で不幸せ。それだけはわかってた。だからがむしゃらに動こうと。


まずは店を作るために実際なにが必要なのかを調べた。
こういう時は本を買うに限る。


そしてもう動こうと、できる限りの準備だけはしていこうと。
ということでまずはなにも決まってないけどお店の名前とコンセプトを決めた。


ここではっきり名前は3sunにしようと。
そしてこの時やろうと思ったのがダイニングバーみたいなお店。
※今思い出した!最初はお店であればなんでもいいと思ってたんだ笑
居酒屋をやりたいと言い出すのは店を本当にオープンしてから。


コンセプトは色々と考えたけど、自分との約束がブレないように人のためになることが大前提。
だからお店のコンセプトは
「きてくれた人の心を明るく照らす太陽のようなお店」
に決めた。
↑このコンセプトは今も2店舗共変わらない。


実際今に自分ができるくらいの大きさ。
広さはどれくらいで、家賃はいくらでとか。全部書いた。
これも自分の力量以上はやらないという信念に則って。
等身大の自分で勝負できるように。


ひとまずまとまった。
そこから今できることを一つずつ潰していく。
そしてお店をやるには衛生責任者講習というものを受け資格を持っておかないといけないということがわかった。


今はなにも決まってないけれど、いつかはやるんだからそれない今取ろう。
やれることは全部やっておこう!
ということで速攻で調べて今住んでいる大和市で次にその講習を受けられる日を調べてみた。
すると講習日は翌日。
あらら、もう無理かな。
また今度にしようかな、、、とか思わない笑
もうすぐに行動!


「あのー、明日の講習予約まだしてないんですけど受けさせてもらえませんか?」


「いいですよ」


即決。
次の日僕はもう、食品衛生者講習の資格を手にしていた笑
もうここまできたんだ。
それならお店も一度探してみよう。


家賃の希望はもう昨日の時点で書いた。
だからその紙を持って、そのままお店を探しに行くことにした。


購入した本にはこう書いてあった。


物件を探しに行く時は必ずスーツで。


僕は慣れないスーツを着て準備をした。
本当は僕の出身地である藤沢でお店をやりたいと考えていた。
でも僕は元来雨男。
なにかやるという時はいつも雨。


小さい時の遠足はいつも雨。
大切な用事もいつも雨。
そしてそんな雨が大好きだった笑


この日も順調に雨が降りそうだった。
そりゃそうだ。物件探しという大冒険に今から乗り出すんだから。


はじめての物件探し。
言ってみれば店を自分でやったことのない初心者。
僕は想像した。
この感じで行くと、雨が降る。
雨でびしょびしょになったスーツ。
その姿のまま不動産に行く。


「なんだよ、初心者かよ。商売なめんなよ。帰んな帰んな!」


ただでさえ生まれてはじめての大冒険に繰り出すんだ。
はじめての航海でそんな風に言われたら、僕は心が折れてしまうかもしれない笑


「その航海を後悔してる。」


とかさぶいギャグをこれから言わなくちゃいけなくなる。
それだけは避けないといけない笑


だから僕はまず近場から攻めることにした。
第一希望は藤沢。
第二希望は大和。


大和は小さい頃からよくきていたし、一応大学の4年間は大和で暮らした。
そこまで勝手知ったる場ではないかもしれないけれど、大和は好きだ。
そしてなにより今住んでいる場所。
電車に乗って行かないで気軽にいけるならまずここだ。
ダメならダメで、帰ってくればいい。


そんな気持ちで家を出発。
駅前にある不動産屋さんをまずまわってみた。


ドキドキしながら中に入り、お店を探してますと用意してきたA4の紙を渡す。
そこに家賃いくらでどれくらいの大きさでどの業態でなどなど希望を書いてある。
もちろん費用は抑えるために居抜き物件のみで探した。


最初の物件はダメ。
二軒目もダメ。


「今はないなー。あったら連絡しますよ。」


思っていたより不動産の方の対応は優しかった。
でも物件はない。
3件目に入った時はよさそうな物件が3,4つくらいあった。
じゃあその物件をみさせてくださいとお願いし、大家さんに電話してもらって聞いてみてもらうと、不思議なことに全部もう決まってしまったとのこと(これは本当だと思う)
なので結局、物件をみることもなくお店を出た。
またお願いしますと。


外にでてふとあることを思い出す。


「あ、そういえばあそこにバーみたいな空き物件あったよな」


犬の散歩を当時よくしていたので僕は大和小さい路地とかもよく知っていた。
そういえば駅前だけど小さな小道を入ったところにお店があるのを知っていた。
お店は完全クローズ状態で路面店だけど中を覗こうにもなぜか中から鏡みたいなシールが貼ってあって中が見えない。
横は普通のガラスだけどそこにも木の板が置いてあって中がみえない。
でも、あいている。


一度そこを確認し、僕はそこが近くの不動産屋さんに小さく張り出しが出ていることも知っていた。
でもバーっぽいしな。
そんな気持ちで気にも留めていなかった。


でも今ひとまずみれるならみてみるだけでもいいんじゃないかと。
動き出すことに今、意味があるんだから。


で、不動産屋さんに行くとすぐにみせてもらえることに。


すぐに歩いてそこのお店に行き中を見せてもらった。
どうやらもう4年くらいも借りてのつかない物件らしい。
そして鍵をあけて中を見せてもらう。


ドキドキ、


ドキドキ


僕は衝撃を受けた。



木造りの超かっこいい店内。
すごく立派な一枚板のバーカウンター。
椅子も一本の木をまるごと切り抜いた大きな丸太の椅子。
バーカウンターも足元も木造り。


そこには、僕がこの一年間(お店を作ると決めてからの)ずっと想像していたやりたいと思っていたお店のすべてがあった。
本当にびっくりした。
中はほんとにぐしゃぐしゃで物まみれですごかったけど、僕にはキラキラしてるようにみえた。
いや、キラキラしていた。
宝の山をみつけたような感じ。


色々と話を聞きながらお店をみせてもらった。
もうなんならその時点で泣きそうだった。でも我慢した。


「前向きに!前向きにやりたいと思っています!よろしくお願いします!」


店をあとにし、やりたいという気持ちを本気で伝え、ひとまずこの日は家に帰った。


そして家に帰って号泣。
大号泣。


今まで思い描いていたすべてがそこにあった奇跡。
僕は天からみている誰かに、お前はここで顔晴れって言われてる気がした。


「お前のためにここ用意したけど、やる?どうする?」


チャンスの女神は前髪しか生えてないと聞く。
今ここでチャンスを逃したら、いつ夢が叶うのかわからない。


自分の為にここを用意してくれたんだ。
やっと自分が思い描いていた、人を本当の意味で喜ばせるお店を作れる。
リアルな一歩を踏み出せる。
いろんなこと考えて、とにかく泣いた。
感動としか言い表せない。


そしてそこで覚悟を決めた。
よし!やるぞ!ここでやる!


当初考えていたお店よりだいぶ小さいし、なんなら形はバーだし、バーで働いた経験も行った経験もほぼ皆無だったけど、なんとかなると思った。
もうこれは本当に、なんの後ろ盾もない。ただ、なんとかなると思った。
なんともいえない自信。自信だけはあります!っていうあれ笑


バーでは勝てない。
お酒に特化した店も無理。
かといって料理がそんなにできるわけでもない。
でも僕は人が好きだ。そしてきっと、目の前にいる人は元気にできる。
でもその前に飲食店をやるのだから飲食としてちゃんと成り立っていないとダメだ。
いろんな人がそう行っていたし、やりたいことがよくわからずになくなっていったお店も僕はけっこう知っている。


だから手をかけない店を作ることにした。
コンセプトはそのままだけど、ターゲット層や、実際になにを出すかとか、どんな年代の人がくるどんな店なのかを書いた。
創業計画書ですね。
旅をしていた経験から、世界のビールを置くことにした。
旅をしていた時そうだったように、ビール片手にワイワイ楽しく飲める店がいいなと。
というか、自分が海外を旅していた時感じた楽しい雰囲気を、そのままここで作ろうと。
イメージでいうとパイレーツオブカリビアンの酒場のイメージ。
豪快に乾杯して、ワイワイ楽しくお酒を飲む場。
だからバーというより酒場のほうがしっくりくる。
狙うのはバーと居酒屋の中間の酒場。海賊が集まるお店。


お金は足りない分は、親に借りた。
もうここで躊躇してる時間はなかった。
このチャンスを逃したらもういつくるかまじでわからない。


カクテルとか、お酒とかは、周りの人に教えてもらった。
テキーラとかショットのお酒というのも楽しそうだけどほぼ飲んだことないからどれくらい入れたらいいのかも知らない。
だからひとまずゲットしたショットグラスに並々注ぐことにした。
それなら誰も文句はいわないだろうと(ちなみに今もこのスタイルです笑)


最初がほんとごちゃごちゃしていたけれど、みんなが助けに来てくれて、お店の改装もすべて自分たちの手でやれた。

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ちなみに一番最初の改装日に颯爽ときてくれたのは震災のボランティアで知り合った仲間でした。
本当に感謝しかない。
あ、当時のyoutubeまだあったんで貼っておきます!

https://www.youtube.com/watch?v=sOfLfUSz5Bo


そんなこんなで、お店はオープン。
2012年の6月16日。


幸せに生きる。
そして自分に嘘をつかない。
本当の意味で人が喜んでくれることをやる。


日本を元気にするという志が本当にこの店で固まるのは、ここからもう少しあとの話。

今日もみて頂き感謝です

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