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働くことと本を読むこと 〜『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』〜 【夏休み新書チャレンジ24】

今日のチャレンジは、三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』です。出版されたのが4月、その後書店で在庫が見当たらないほど売れた本です。YouTubeでのレビューやいろいろな反響が大きかったようですね。私も最初はSNSで知りました。

それだけ、今の日本では「本読みたいけど、読まれへん!」と思っている人が多いのでしょう。

タイトルにある通り、「働く=労働」と「本を読む=読書」の関係について、明治の時代から掘り下げて考察しています。さらにそもそも本の大衆への普及ともからめているので、近代から現代における社会構造の変化と大衆文化まで詳しく書いてあるので、人によってはちょっと読みにくいと感じるかもしれません。でもそこには確かに何らかの関係があるように感じます。

最近、「〇〇の教養」という本をよく見かけます。近世(日本でいうとほぼ江戸時代)から脱皮した産業革命以降の世界では、工場で働く労働者や企業で働くサラリーマンという存在が生まれました。その過程で「読書=教養」という構図ができあがり、現在の状況に至るのではないかと思います。

ただ、現在ではこの「教養」という言葉が単に知識を得ること、だけのように極めて表面的に解釈されているような気がしてなりません。それでは『ルドルフとイッパイアッテナ』に出てきた黒猫のルドルフと同じレベルですね。

この本では野良猫になったルドルフが「猫にも教養ってもんが必要だ」と教えられる場面があり、小学校の図書館に忍び込んで日本地図や漢字の勉強をするのですが、人の教養も同じように知識を詰め込むことでよいのでしょうか?

少し話が逸れました。

結局、人の行動を決めるのは目的と情熱です。何のために本を読みたいと思っているか、それでどうなりたいと思っているのか、が大切ですよね。でもそこに至るまでに過度な労働、もしくは現代における会社に全身を捧げる生活が読書を妨げていると思いませんか? そう本書は問うている気がします。

三宅さんからの提案も巻末にまとめてありますが、必ずしも同意することばかりではないかもしれません。労働と読書の関係を参考にした上で、「では自分はどうしたいのか?」を問いかける必要があるでしょう。本書はそのきっかけになる可能性を持っていると思います。

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